この質問で「5分で退席、怒りの会見」などと煽られては、ファン・ハール監督がかわいそう…。
「個人的には、監督がすぐに代わるのは好きではない」と語るヴェンゲル監督は、実績がある監督が続々とプレミアリーグを去っている昨今の状況を、危険だと感じているのでしょう。この発言が下敷きとしてあり、マンチェスター・ユナイテッドの指揮官は、会見の冒頭で「どう思う?」と漠然と聞かれたわけです。これに対する返答の内容がエキセントリックだったのは確かですが、ファン・ハールさんの物腰は静かでした。
「この部屋にいる人のなかで、私に対して謝罪したいと思っている人はいませんか?いない?そうだろうと思ってたけど」。すかさず記者が、われわれがあなたに何か謝らなければならないことをしましたかと聞くと、ゴシップの渦中にある指揮官は、感情を抑えながらも毅然とした口調で抗議を始めました。
「私が既に解任されたという記事を読んだ。私の元同僚(=モウリーニョさんのことです)が、クラブに後任としてやってきた、と。みなさんは、私の家族がどうなったと思っているのか?妻、子供、そして孫たち…。そしてファンは?私の友人たちは?…みんな、私に電話をしてきた。そしてさらに、アーセン・ヴェンゲルが何かいったという。私が今、メディアの人たちと話したいと思うのか?プレミアリーグのルールがあるから、仕方なくここにいるのだ。何かいえば、ねじ曲げて書かれる。私は、選手たちの自信を向上させることしかいうつもりはない」
「今週はできることはすべてやった。ミーティングを開いた。選手たちやコーチと戦略分析をやった。クリスマス・ランチをとり、スピーチをした。私は、(練習場がある)キャリントンのすべての人たちから支持されていると感じた。しかし、メディアのみなさんに同じ感覚はない。われわれは決していい成績ではなく、それについてみなさんが記事を書くのは自由だ。ただし、4週間前にはわれわれは首位にいた。4週間後に、また同じ順位に上がるかもしれない」
ここで記者に、マンチェスター・ユナイテッドの監督なら、プレミアリーグで成績がよくないときにはプレッシャーを受けることは知っているだろう、ビッグクラブで指揮を執った経験豊富なあなたほどの人物が今さら噂に驚くとは思えないが…といわれると、ファン・ハールさんは即座に否定します。
「違う。あなたがたは、事実のみを報道すべきだ。私がアレックス・ファーガソン、デビッド・ギル、エド・ウッドワードから呼び出しを受けると、あなたがたは想像で書き立てる。それは間違いだ。私はみなさんの質問に答える義務があるが、もうそうする必要はないだろう。私は今、ストーク戦に集中している。私がするべきは、選手がいいプレイができるようにすることだ」
「そしてみなさんには、”メリー・クリスマス”とお祝いをいわせていただこう。よいお年をお迎えください。この部屋にあるミンス・パイとワインをどうぞ。では、さようなら」
とまあ、これが一部始終なわけですが、記者の方はちょっといただけないですね。会見の趣旨を考えれば、まずは「次に対戦するストークは失点が少ないチームですが、どう攻略しようと考えてますか?」などなど、プレミアリーグの話から入るのが筋でしょう。ましてや、あまりにも答えづらい質問には、ファン・ハール監督でなくても「何をいわせようと思ってんの?」と警戒するのが普通だと思います。サー・アレックス・ファーガソンなら、そもそもこの質問自体を許さず、間違って出そうものならその記者は永久出禁でしょう。不振に関する嫌な質問にも「心配している。解任はされたくない」と、率直に答えてきた方には、もう少し気遣いがあってもいいのではないかと思いました。
過去に率いたクラブで選手と合う・合わないが何度も報じられ、尊大と受け取られがちなファン・ハールさんはネガティブに書かれることが多い指揮官ですが、初年度の補強はうまくいったとはいえないなか、前年プレミアリーグ7位に沈んだチームを1年でチャンピオンズリーグ出場圏内に復帰させた力は評価されるべきではないでしょうか。ブリントのコンバートとスモーリングの成長による守備力の強化、リンガードなど若手の抜擢、マルシアルをスムーズに導入したことなど、今季プレミアリーグにおいても戦術に明るく経験豊富な監督ならではの功績もあると思います。
とはいえファン・ハール監督の話はつまらないことが多く、人物としては特段好きな方ではないのですが、「自分たちで解任を煽り、それに対する批判をさらに利用して当事者にどう思う?と聞く」というやり方があんまりだと思い、書かせていただきました。日本のマスコミのみなさんも、意志を込めて「まくしたてたり、キレたりするのはダメでしょう」と書くならいいのですが、明らかに元の映像を見ていないと思われる記事もあり、伝聞に徹するならともかく盛るのはどうかと思います。…ファン・ハール監督、このうえは、ストークとチェルシーに完勝してゴシップを吹っ飛ばしてください。勝って勝ってプレミアリーグで優勝争いに食い込んでいただけるなら、サッカーが多少退屈でも構いませんので。
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ネタにされやすい監督だと思いますし、こういうのが英メディアだとも思いますが、これら一連の流れは不愉快に感じます。
正直好きな監督ではないですが、それにしても報道の在り方にただただ『敬意』がないと思います。
現地の空気に触れているわけではないのでこれもただの感想でしかありませんが、ある程度の礼節はあってほしいですね。
私も映像を観ました(やり取りが一部聞こえにくいため、ここでそれらを完全に理解しましたが)。
そんなにたくさんのインタビューの映像を見てきたわけではないのですが、私も「これは……」と思いました。
そもそも日本でも、殺人事件で学生が犠牲になると飛んで行って親御さんにインタビューしたり、芸能人のプライベートに過度に突っ込んで行ったり。
CLで敗退したあたりから、普段使っているユナイテッドのサイトのコメントが「とっとと解任しろ」ばっかりになり、少し距離を置いています。モイーズのときは私も同じことを何か月にもわたって言い、実際にそうなったときには大喜びしたのですが、そのときにとあるYouTuberが"It’s never ever nice for not just a manager, for any person, even for me or your family, your father that gets sacked and loses a job, you know."という言葉を聞き、それまでの自分の言動が恥ずかしくなりました。確かに仕事というのは、結果を出せなければクビになるのでしょうし、監督業はそれが特にシビアなのでしょうが、この一件の影響で、「ファンハールを解任しろ」と安易には言えなくなりました。
以前、ここの記事にもありましたが、昨シーズンシティを4-2で倒したときの4-1-4-1になぜ戻さないのか。あのときのサッカーを見せられた以上、私はファンハールを信じたいです。
更新ご苦労様です。
私も管理人さんのご意見とベンゲルのコメントに賛同しますね。少しばかり結果が出ないと
すぐ監督を解任する輩を批判するのもメディアなんですけどね。まだシーズン半ばですよ。
断言できますがこれからユナイテッドのパフォーマンスが改善すればメディアは掌どころか
腕ごと返してファン・ハールに賞賛の嵐を注ぐでしょう。それを見抜くことが出来なかった
自分達の不明を恥じることすらなく・・・悪い意味で無責任です。
それでも・・・私がファン・ハールなら『さすがベンゲルだね。彼はビッククラブを率いる
監督の難しさを君達より知っているはずだ。だからこそ私は君達ではなく彼の言葉を記憶に
留めておこうと思う。さて戯言は終わりにしてストーク戦の話をしよう。何でも聞いてよ。
それとも君達は噂にしか興味がないのかな?』と満面の笑みを浮かべて嫌味を言います。
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握手しようとしてないのに握手拒否とか書くメディアですから、5分で退席、怒りの会見と事実を書いてるだけまだましとも思います。
しかし質問はマナー違反。やはり次の試合のための会見なのだからその話からでないと礼を欠きますね。
メディアはここまでしてももうユナイテッドサポすら多くはファンファールを擁護しないだろうと見てなめてかかってるような感じもします。
ファンファールのためだけでなく個々の受け手のメディアリテラシーのためにこういう記事は有益だと思います。
パーソナル的な魅力に乏しい監督なので結果が出なかったら他の監督よりも風当たりが厳しくなるのでしょうか。とはいえ香川選手退団後の日本メディアのファン・ハール叩きユナイテッド叩きは目に余るものがありますね。批判記事を書いたら香川信者、ユナイテッドアンチが飛びついてきてくれるからなんてアホみたいな理由で盛りに盛った記事を乱立させるのはプロのする事ではないように思います。ただそれ以上に腹立たしいのがファン・ハールでありルーニーなんですよね。勝たなければならない試合と両者が意気込んでるストーク戦。いきなり良い内容のフットボールなんて出来ないでしょうから、せめて強い気持ちを持ってユナイテッドのスピリットを我々が感じられる試合をして欲しいです
私はステレオタイプなマスメディア批判は好きではありません。大衆に真実を伝えるために、ときに強引な手口を使うことも、ある程度は致し方ないとも思います。
しかし、嘘はいけませんね。そして、「そんなこと私に聞かれても…」というような質問もいかがなものか。今回の件についてはメディア側に問題があると感じました。
純粋なフットボール観点でいえば、やはり采配ミスも散見されますし、質問できることは他にたくさんあるはずですね。
LVGは自分の仕事をきちんとしています。就任前のビディッチ、リオ、エブラの3枚が消えた所から始まった所から戦える4バックをわずか1年強で築いた事実や2014WCであのメンバーのオランダ代表でベスト4に導いた偉業を認めないのは卑怯です。
攻撃に関しては、スピードと決定力を兼ね備えた選手を抱えた時には結果出してますからね。今年のメンバーにディ・マリアがいればウィングとして使えたので違う結果になったでしょうが、プライベートの不幸と入ったタイミングが悪く、1番フィジカルが必要なプレミアのCHを任さざるを得なかったのが不幸でした。代わりのデパイがスペースないとテクニック不足で機能しないのはファン・ハールのせいなんでしょうか。私にはスカウトのミスに思うんですが
あと香川選手は4-2-3-1だとトップ下以外できる場所がないので放出してもらえて良かったですよ。サイドの選手としては残念ながらヤングより下ですし、ルーニーがいるユナイテッドでやれることはありませんから。今の惨状で1番責められるべきは給与に見合わず、抜本的な改革の邪魔になってるルーニーだと思うんですがメデイアは気を遣ってるんですかねぇ…?
日本のスポーツマスコミが下衆なのもイギリスのメディアが意地悪なことも以前からのことなので、「またファンハールがひっかかっちゃったか」くらいにしか思いません。ファンハールが嫌いな人は「だからダメな監督なんだ」と思うでしょうし、多少同情的に見る人なら「こうやって批判の矢面に立たされるのも監督の仕事なんだよな」と思うに違いありません。私は後者ですかね。「馬鹿正直だから突っ込まれるんだよ」と思いつつも良く我慢してるなとも思います。
会見の動画見ましたが、ファンファール監督が言いたかったのは「もうその話はいい。私もやれるだけのことはやっていて我々はストーク戦に集中している。」ということではなかったでしょうか?
途中記者がまた蒸し返しましたが、会見の内容もプライオリティは後半に置いているように思いました。
激怒しているというより感情を抑えて淡々と話しているように感じました。もうこの話はやめないか、という感じで。
記者ももっと聞くことがないのでしょうか?年末年始の過密日程についてとか…怪我人の状況だとか…
質問も報道も自由ですがこれではあまりにファンファール監督はかわいそうだと思います。
みなさん>
こういう記事に、多数の真摯なご意見をいただけたことを、何よりもうれしく思います。本当にありがとうございます。総論、ご賛同いただくご意見が多かったのも心強く思います。
本文と多少重複しますが、私自身、基本姿勢は「おもしろいこと重視」なのでゴシップは嫌いじゃないほうでして、推論をそれとわかるように書くのであればいいと思います。さまざまな切り口の記事が、数多く載っていること自体はサッカー文化の豊かさでもあるでしょう。
ただし、記事に書いたように「選手や監督に直接話が聞ける貴重な場を得た際は、敬意とマナーは最低限必要」「選手や監督の言葉自体を脚色・ねつ造するのはNG」だと思っています。今回いちばんがっかりしたのはこんな記事です。個別のメディア批判をする意図はないのですが、著作権法遵守の観点でメディア名と署名は添えさせていただきます。文章の内容を批判するときは、正しく引用する(=自分の解釈で批判対象の文章をいじるのは重いルール違反)のがルールですので、該当箇所を正確に抜粋します。
記者が「そういう解任の噂は、サポーターが不満を抱えているから起こるのでは?」と問うと、すかさずファン・ハールは反応し、次のようなコメントを吐き出した。
「とにかく、私はストーク戦に集中している。以上だ。皆さん、メリークリスマス! そして、良いお年を!」 (2015年12月25日 SOCCER DIGEST Web 内藤秀明氏)
…これは、ひどいです。記者はこんなことをいっておりませんし、実際の記者の問いに対して、ファン・ハール監督はきちんと反論してから席を立っているのに、記者を無視して癇癪を起して立ち去ったように書かれています。英国のメディアは、移籍関連を中心に憶測は多いかもしれませんが、発言した内容自体をここまで曲げるケースはないように思います。「プロの記者ではなく、何もわかっていない若いアルバイトのライターが無邪気に書いている」という運用のメディアもあり、これはとても怖いことだと思います。