イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

スペイン1-2日本…手の震えが止まらなかった追加タイムに頭をよぎった「あの夜」のこと。

サッカーを見ていて、パソコンでメモを取れなくなるほど、手が震えたのは初めてです。スペインVS日本と、コスタリカVSドイツは同時刻開催。全チームにチャンスがあり、敗退の可能性もあったグループEは、最後まで順位が目まぐるしく変わる激戦でした。

ハーフタイムの時点では、ともに1-0で勝っていたスペインとドイツがワンツー。後半が始まり、5分で日本が逆転し、グループ首位に躍り出ました。侮れないコスタリカは、58分にテヘダが決めて同点。70分にはオウンゴールを誘って2-1とし、日本、コスタリカ、スペイン、ドイツという並びになりました。

優勝経験がある強豪がダブルで落ちる…!このときは現実感がなく、ただただ興奮していました。しかし、ワールドカップ史上最狂のサプライズの予感漂う甘美な時間は、たった3分。73分にカイ・ハヴェルツのチップキックが決まり、ハリーファもアルベイトも理性を取り戻しました。

とはいえ、コスタリカが再度勝ち越せば、スペインは3位に転落します。猛攻を続けていたルイス・エンリケのチームは、「首位と2位、どちらがお得?」などという計算はできなかったはずです。85分、カイ・ハヴェルツのボレーがネットに刺さり、2-3。この1発で、コスタリカが勝ち抜くには2点が必要となり、スペインの生き残りが濃厚となりました。

私の震えが始まったのも、ここからです。あちらがドローなら、スペインに追いつかれてもコスタリカとの得失点差でOKなのですが、ドイツが勝利となれば、日本も3ポイントが必須となります。恐怖を覚えた直接的なトリガーは、89分にドイツがゲットした4点めではありません。ひたすら守るサムライブルーを見ながら、「あのとき」も2-1だったと気づいてしまったのです。

タイムアップの笛が、いつ鳴ってもおかしくない最終盤。ラモス瑠偉の不用意な浮き球をカットし、カウンターからCKを得たイラクは、意表を突くショートコーナーを選択しました。対応したカズのスライディングは及ばず、ニアにいたオムラム・サルマンがヘッドで左隅に流すと、松永成立が見送ったボールは…。

ドーハで再び、「2-2の悲劇」が繰り返されるのか。あるいは、ドイツ戦に続く「ドーハの奇跡2」を味わうことができるのか。「フェラン・トーレスの決定的な一撃は、コースを読んだ権田ががっちりキャッチ」と打つのに、1分以上を費やしました。その後の日本代表は、ひたすらセーフティーファースト。7分の追加タイムに、これといったピンチはありませんでした。

かくしてわが国は、極上のアップセットを達成して首位通過決定。後半開始直後のラッシュで2ゴールという最高の展開を生んだのは、過去2戦の失敗を教訓にした森保采配でした。4バックを捨て、CB3枚でスタート。三笘と堂安をハーフタイムに投入した理由は、スペイン相手に2発というミッションが難易度が高かったからというだけではないでしょう。

コミュニケーションを取れる時間に彼らの起用を宣言することで、戦術理解を促し、士気を高めるという狙いもあったはずです。でなければ、左サイドで3人がグリグリのプレスを仕掛け、GKシモンを慌てさせるシーンなど創れないでしょう。逆サイドで受けたバルデに伊東が詰め、こぼれたボールは、22人のなかで最もテンションが高かったレフティの足元に収まりました。

堂安&田中が決めた後も、森保采配はパーフェクト。最も称賛したい決断は、68分に鎌田大地を冨安健洋に代えたことです。CBもSBもこなすアーセナルのDFがまかされたポジションは、右サイド。5-4-1で守り切るという明確なメッセージであり、直前に入ったジョルディ・アルバとファティを無力化する効果的な手段でもあります。

アルバは4本のクロスがすべて味方に通らず、ファティはシュートゼロ。プレミアリーグでモー・サラーを封じた男は、顔色を変えることなく大きな仕事を完遂しました。

ワールドカップで、700本以上パスをまわしたチームが敗れるという結果は、2例しかないそうです。ひとつは、1058本を記録したこの日のスペイン。もうひとつは771本で負けた1週間前のドイツです。奇跡的な首位通過を果たした要因のひとつとして、最終盤のアタックを封じた守備も忘れてはいけません。

「最後の1分ぐらいのときに、私のドーハの記憶が出てきました。ちょうどそのとき、選手が前向きにボールを奪いにいっていたところで、時代は変わったんだな、と。選手たちは新しい時代のプレイをしてくれているなと思いました」

彼もまた、自身がピッチにいた29年前のシーンが脳裏をよぎったと述懐しています。あの頃、アジアの壁を突破できなかった国は、世界の強豪の猛攻をはね返せる国に成長を遂げました。翌日、会社に行けなくなるほど泣き明かした夜を、古い思い出に変えてくれた選手たちに感謝したいと思います。

ありがとう。

次戦はクロアチア。1998年のワールドカップフランス大会で、われわれをグループリーグ敗退に追いやったダヴォル・スーケルのゴールも、今も鮮明に覚えています。あの苦々しい記憶も、返す刀で打ち消し、初のベスト8進出を決めていただければと期待しています。


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“スペイン1-2日本…手の震えが止まらなかった追加タイムに頭をよぎった「あの夜」のこと。” への7件のフィードバック

  1. えるこっぷ より:

    毎日楽しみに読んでいます。
    私はこのブログが本当に大好きで、趣味の充実、人生の充実に欠かせないものになっています。

    ただ、この記事はプレミアリーグと何の関係があるのでしょうか。

    ブログタイトルは偏愛的プレミアリーグ見聞録で、その説明にも専門ブログと記載があります。
    日本が突破して嬉しいのはわかりますが、プレミアリーグにかすりもしない記事は他所でやるか、こういう記事も含めるならばブログタイトルを変更してほしいと思います。
    日本戦のレビューはプレミア所属選手もいますしまだわかるのですが、この記事はブログの根幹、アイデンティティと矛盾しています。
    もしくは、冒頭に一言プレミアリーグと関係ない記事です、と付け加えてほしかったです。
    毎日読む2つの記事を楽しみに楽しみにしている私としてはどこでプレミアリーグと関わってくるのだろうと期待していただけに、楽しみを奪われてしまったような感覚です。

    奥山さんのことは大好きですし尊敬しています。
    私的な記事を載せるなとは思わないので、せめて一言、もしくは矛盾のないブログにしてほしいと切に願います。
    偏愛的プレミアリーグ見聞録はプレミアリーグの専門ブログ。
    だからこそ私は読み続けているのです。

  2. とらほーひなパパ より:

    僕は今回の記事で、奥山さんがプレミアリーグだけでなく日本代表へも熱い想いを持ってるんだなあと、そしてそれを味わうことが出来て感動しました。
    こんな歴史的偉業を連発したお祭り騒ぎの直後の、しかも個人ブログ、プレミアリーグは休みなんだし、たまにはプレミアリーグに関係ない記事も大いに結構です!どんどん熱い気持ちを書き記して下さい。決勝編も楽しみにしてます。
    一応前のコメント書かれた方に配慮して、「今回はプレミアリーグ関係ないよー」とかの冒頭文を足しておけば問題ないでしょう。

  3. Motsuki より:

    えるこっぷ氏へ。

    言い掛かりも甚だしいコメントですね。どんなブログを書こうと、ブログの運営者の自由です。冒頭に求められているような一文が添えられていたら読まなかったのに、という事でしょうか?ブログのタイトルと相反する記事が掲載されていたら違法なのでしょうか?

    違いますよね。えるこっぷ氏が“勝手に”プレミアリーグに関する記事を期待し、“勝手に”失望しているだけですよね?

    文頭と文末に取って付けたようなブログに対する感謝や期待の言葉を添えられてますが、コメントの本質は文句でありクレームですよね。あなたのコメントを見て、さぞ嫌な気持ちになられたのではないかと思います。

    お気付きではないかもしれませんので、念の為にお伝えしておきます。冨安について触れている段にて、「プレミアリーグでモー・サラーを封じた男」とあります。このブログのタイトルとの接点、ありますよね?しっかりお読みになってるのでしょうか。ブログのタイトルを変えてほしい、文頭に注釈を置いてほしかった、私的な記事を書くなとは言わない、等々。
    タイトルを変える必要性も注釈を置く必要性も微塵も無いと思料しますし、代表戦についての記事を私的とは言えないでしょう。もう少し、ご自身の振る舞いが第三者目線でどう見えるか考えた方がよろしいのでは?

  4. アイク より:

    更新ありがとうございます。
    また試合を思い出して胸が熱くなりました。感無量ですね。

    私にとっては、試合後にこちらのブログを楽しむまでが観戦体験です。タイムリーに面白い情報を毎日伝えて下さるので、もはやフットボールの楽しみを形作る貴重な存在です。
    フットボールとプレミアリーグを偏愛する最高のブログが、プレミアの選手たちの活躍するCL、EL、ユーロ、W杯を情熱的に追いかけ、その上日本代表戦まで楽しませて下さる。感謝しかありません。
    これから何卒宜しくお願いいたします。

    • ひよ より:

      私もアイクさんと同じ思いでいつも楽しませてもらっています。
      いつも楽しく読ませてもらって感謝しかないですが、今回は楽しい以上にとても胸熱になる記事でした。ありがとうございます!
      これからも何卒よろしくお願いいたします。

  5. makoto より:

    みなさま、さまざまなご意見ありがとうございます。
    ワールドカップについては、ブラジル大会のときに
    「ワールドカップについても書いてほしいな」といただき、
    「そうすね!」と調子に乗って始めたという経緯で、
    当時はプレミアリーグに全く関係ない記事をガンガン書いてました。

    今回のカタール大会では、イングランドと日本に加えて、
    各国代表のプレミアリーグの選手に関する記事に絞っており、
    すっかりおとなしくなりました。
    2014年は、クロアチアVSメキシコまでレポートしてたんですよね。

    このブログは、読んでいただいているみなさまに
    喜んでいただければと思って書いており、私利私欲は一切ありません。
    楽しんでいただけるなら、カタールVSエクアドルでも喜んで書きます。
    ただし、読者が少ないとやっぱりへこむので、
    毎日テーマは吟味してやっております。
    実際は、カタールVSエクアドルは、かなり勇気が必要ですね…。

    これまで10年、7000本以上の記事を書いてきており、
    何を書けばどのくらい読んでいただけるかは大体わかっています。
    4年に1度のお祭りの季節は、多少羽目を外してもいいかと思って、
    テーマの自由度を上げております。

    プレミアリーグから遠めの記事は、プレミアリーグから遠めですよと
    わかるようなタイトルを立てているつもりですので、
    適当にスルーしていただければよいのではないかと思います。
    読者が少ないとへこむので、スルーされたらそのテーマは
    自ずと減っていくでしょう。

    これからも肩肘はらず、おもしろいネタを見つけたら、
    「どうでしょう、コレ!」と自在にお伝えできればと考えております。

    ちなみに、ですが。
    今までのワールドカップは、トランスファーマーケットと重なっていたので、
    イギリスのメディアは両輪で記事を配信していました。
    今回は初めての「プレミアリーグの話題が激減する1ヵ月」です。
    「BBC」は、土曜日までの3日間でプレミアリーグ特化の記事は1本。
    「スカイスポーツ」は、12月に入ってからプレミアリーグニュースの
    更新がありません。

    ワールドカップが11月スタートとなると、
    現地もこの大会に完全に染まるのだなと思った次第です。
    「とにかくプレミアリーグの話を読みたいのだ」という
    現地サポーターも、ストレスが溜まる季節なのかもしれませんね。

  6. kop より:

    さすがに、えるこっぷさんのコメントは自分勝手すぎるというか、もはや釣りじゃないかと笑

    丁寧に返信されている(最後だけチクっとしてるw)のを拝見してなんかこちらも申し訳ない気持ちになります…ごくごくごく一部の変な読者のことは気にしないで下さい。

    このブログが大好きでW杯の記事も楽しく拝見しています。
    ぜひ続けてください!!

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