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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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追加タイム1分、劇的逆転ゴール!超絶スルーパスで世界を変えたソン・フンミンがピッチで号泣!

ウルグアイとの初戦はスコアレスドロー。ガーナ戦は0-2からチェ・ギュソンのヘッド2発で追いつきながら、クドゥスの決勝ゴールで敗れました。韓国代表を率いるパウロ・ベント監督の目論見は、「強豪ポルトガルと当たる前に最低でも4ポイント」だったのではないでしょうか。

ひとつも勝てずにグループHの最終戦を迎えたアジアの第一人者は、悔いが残る大会を静かに終えようとしているように見えました。最大の幸運は、ガーナとウルグアイを下したポルトガルが、首位通過ほぼ決定という状況だったことです。2位に落ちるリスクが高ければ、ブルーノ・フェルナンデス、ジョアン・フェリックス、ルベン・ディアスを休ませるという選択肢はなかったはずです。

先を見据えてメンバーを落としたとはいえ、ポルトガルのスタメンは錚々たる顔ぶれです。プレミアリーグファンなら、ダロト、ジョアン・カンセロ、ルベン・ネヴェス、マテウス・ヌネスが、いかに素晴らしい選手かはご存じでしょう。

最前線には、クリスティアーノ・ロナウド。エースを出場させたのは、母国の英雄エウゼビオと肩を並べるワールドカップ9ゴールという記録が目前にあったからでしょう。開始6分、ポルトガルがあっさり先制。ペペのロングフィードを受けたダロトがキム・ジンスを抜き去ってゴールラインまで抉り、ニアに転がしたボールをリカルド・オルタが難なく押し込みました。

0-1となり、必死で食らいつく韓国は、27分のセットピースを活かしました。左からのCKをニアに入れたのは、イ・ガンイン。落下点はポルトガルの守備陣が密集していたエリアだったのですが、最も近いところにいたのが、守備時のテンションが低いロナウドだったのは幸運でした。

ゴール前に上がったボールをよけようとするとは…!? 7番の背中に当たったボールがキム・ヨングォンの足元にこぼれ、スライディングボレーがゴールの右に突き刺さりました。追いついた韓国にとって、逆転は簡単なミッションではありません。ポルトガルは、ワールドカップで先制したゲームは滅法強く、過去18戦を15勝3分と無敗継続中です。

ハーフタイムは1-1。韓国にとって気がかりは、自らの結果だけではありません。ウルグアイにガーナが勝てばジ・エンド。ウルグアイが勝った場合は、得失点差の勝負となります。アルジャヌーブ・スタジアムは、0-2でウルグアイがリード。南米の小国がもう1点獲ると、韓国は2点差で勝たなくてはならなくなります。

グループステージの最終節となると、「勝ち抜けを決めたチームが、メンバーを落として手を抜いた」という表現が聞かれますが、「メンバーを落とす」と「手を抜く」の間には、大きなギャップがあります。出場しているサブの選手にとっては、ノックアウトラウンドで出番を増やすためのオーディション。ポルトガルのような層の厚い国は、控えの選手でもハイクオリティです。

そんな相手に、何としても勝ち越さなければならない韓国は、後半に入るとカウンターとセットピースでゴールを狙うも、なかなかシュートを打てず。母国のファンからゴールを期待されたロナウドは、シュート2本&オンターゲットゼロで65分に退きました。

67分にファン・インボムが放った強烈なミドルは、GKジオゴ・コスタが正面でセーブ。キム・ジンスのクロスを右足で合わせた70分のソン・フンミンのボレーは、ジョアン・カンセロが体を張ってブロックしました。タイムアップの時間が近づくにつれ、ポルトガルの選手たちは無理をしなくなっています。

時計は既に90分。こちらの1-1も、ウルグアイの0-2リードも変わりません。韓国の選手たちがいかに余裕がなく、必死だったかは、CKの守備を見るとよくわかります。追加タイム6分が表示された直後のキックに対して、ボックス内に10人。唯一外にいるのは、ショートコーナーをケアするソン・フンミンだけです。

ニアに入ったボールがクリアされると、右サイドにいたソン・フンミンが拾ってドリブルをスタート。フェイスガードを着けた7番に、スパーズで見せる躍動感はなく、ジョアン・パリーニャに追いつかれてしまいます。ダロトと2人がかりで囲まれ、終わりかと思った瞬間、中央からスプリントしたファン・ヒチャンに超絶スルーパスが通りました。

ジオゴ・コスタと1対1になったウルヴスのアタッカーは、迷わずダイレクトでフィニッシュ。GKの脇を抜いたボールがネットを揺らしました。2-1とした韓国は勝ち点4、得点5、失点5。同勝ち点のウルグアイはゴールも失点も2で、総得点が多い韓国が2位となっています。

タイムアップの笛が鳴った瞬間、泣き崩れたソン・フンミンは、ウルグアイVSガーナの結末を知りません。円陣を組んで結果を待った赤いシャツの選手たちと、スマホを握りしめて不安げな表情を浮かべるサポーターたちは、ほどなくウルグアイ敗退の報を受け取りました。

韓国のみなさん、おめでとうございます。プレミアリーグで活躍する2人による逆転ゴールに、テンションが上がりました。日本がクロアチアに勝ち、ブラジル相手に韓国がジャイアントキリングを達成すれば、「ドイツ、スペイン、ポルトガル、ブラジルを倒したアジア代表がベスト8で激突するドリームマッチ」が現実のものとなります。

波乱続出のワールドカップを象徴する一戦の実現に淡い期待を抱きつつ、せっかくだからブラジルを逆転で下してベスト4という偉業を見たいという気分もあります。いやー、いろいろなことがありすぎて、気が大きくなってますね。まずはお互い、次戦でベストを尽くしましょう。…はい、もちろん私がプレイするわけではありませんが。(ファン・ヒチャン 写真著作者/Steindy)


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