偏愛的プレミアリーグ見聞録

グーナーのみなさんにとって最高のニュースといっても、過言ではないでしょう。2022-23シーズンのリーディングスコアラー、ブカヨ・サカが新たな契約に合意間近と伝えられています。2019年のニューイヤーズデーに開催されたフラム戦でデビューして以来、プレミアリーグ通算120試合26ゴール23アシスト。21歳とは思えない出色のスタッツです。

サカとの交渉の進捗を聞かれたアルテタ監督は、「今いえることはない。契約が完了したら、いろいろ話せるけどね。われわれは最高の選手との契約を延長するつもりで、実現したらクラブにとって素晴らしいニュースだ」とコメント。明言は避けているものの、順調にゴールに向かっていると受け取っていいでしょう。

「スカイスポーツ」は、すべての関係者に契約を締結する意欲があるとレポート。新契約は週給20万ポンド（約3260万円）を超えると報じています。年俸1000万ポンドの大台に乗れば、チームNo.1。現状を伝える記事には、「長期的なプロジェクトを構築したい。そのためには、最高の選手がクラブにコミットする必要がある」という指揮官の言葉が添えられています。

今季プレミアリーグは23試合9ゴール。彼よりも決めているサイドのスペシャリストは、ニューカッスルのミゲル・アルミロンのみで、8アシストはデブライネの11に次ぐランキング2位です。1対1の勝負235回、ドリブル成功46回、シュートに至った18回は、いずれもリーグTOP。守備でも貢献度が高い7番がいなければ、ガナーズが順位テーブルの頂点に立つことはなかったでしょう。

サカのスタッツで最近話題になっているのは、ファールを受けた際に出されるイエローカードの少なさです。今季プレミアリーグで被ファール40回は9位。そのなかで、彼を引っかけた相手に差し出されたイエローは4枚しかありません。10回に1枚というペースは、被ファール数49回で10枚（4.9回に1枚）のグリーリッシュや、57回で9枚（6.3回で1枚）のザハを大きく下回っています。

データをまとめた「テレグラフ」のサム・ディーン記者によると、2019年のデビュー以来、サカが受けたファール数はリーグ9位で、7.3回に1枚。彼よりもファールチャージを受けている選手のなかで、ザハ、グリーリッシュ、ジョルダン・アイェウ、ジェームズ・マディソン、リシャルリソン、アダマ・トラオレ、ハリー・ケインは、もっと頻繁にイエローを誘発しているそうです。

ちなみに今季プレミアリーグでサカ自身がもらったイエローは、4.8回に1枚。やられたときと倍以上の差があれば、ヴィラ戦で自分を転がしたコウチーニョやドゥグラス・ルイスに食ってかかりたくもなるでしょう。「テレグラフ」の記者は、サカに対するチェックがカードにつながらない理由について、こう語っています。

「推測の域を出ないが…サカは全般的に、チャレンジを受けた際に地面に倒れ込むのを避けようとするからではないか。これは明らかに、賞賛に値するアプローチだ。しかしもっと積極的に、ドラマチックに芝生に倒れ込んでしまえば、多くの対戦相手が罰せられたかもしれない。現代のゲームの悲しい現実である」

なるほど。そういう一面もあるのかもしれません。しかし彼が転倒せず、プレイを続けようとしてきたからこそ、ドリブルで勝利してシュートを打つという数字でライバルを凌駕しているという見方もあるのではないかと思います。

今のスタイルを貫いてほしい。ただし、負傷しないよう気をつけて。イングランド代表24試合7ゴールのヤングスターが、モー・サラーと肩を並べるようなウインガーに成長し、クラブの悲願である欧州戴冠や60年ぶりのワールドカップ制覇を成し遂げる日が来ることを願ってやみません。