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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

痛かったジエゴ・コスタのリタイア…サイドを崩されたチェルシーはパリに連敗!

チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦、セカンドレグ。プレミアリーグ勢の先陣を切るのはチェルシーです。2月16日、パリ・サンジェルマンとのアウェイ戦は1-2と惜敗。78分にディ・マリアとカバーニにやられたものの、貴重なアウェイゴールを奪ってロンドンに帰ってこられたのは悪くない結果だったと思います。しかし、スタンフォード・ブリッジでの勝負にはジョン・テリーがおらず、ヒディンク監督はCBがベンチにいない状態で戦わなければなりません。イヴァノヴィッチとケーヒルは、イヴラヒモヴィッチ、ディ・マリア、ルーカス・モウラといったパリの強力な攻撃陣を抑えることができるのか。セスク、ミケル、ペドロ、アザール、ウィリアンは昨季プレミアリーグ優勝クラブのプライドを示してくれるのか。後半戦のプレミアリーグで6ゴールと復調したジエゴ・コスタにボールを集めて、先にゴールを奪う展開にしたいものです。就任以来、国内無敗の指揮官が左SBにケネディを入れたのは、攻めるぞというメッセージでしょう。

開始3分、いきなりチェルシーにビッグチャンス。敵陣で奪ったボールをウィリアンがジエゴ・コスタに流すと、切り返しを入れたエースが左足でシュート。GKトラップがかろうじて左に弾き、パリは最悪の展開を逃れました。6分、すかさずパリが反撃。ルーカス・モウラのスルーパスで抜け出したディ・マリアのシュートは角度のないところからの右足で、ゴール前に戻ったイヴァノヴィッチがクリアします。この試合は、0-0ではおさまらないでしょう。左右を問わず仕掛けてくるディ・マリアのドリブルがなかなか止まりません。プレミアリーグで苦しんでいた頃とは別人のような11番を自由にさせないことが、チェルシー守備陣の喫緊の課題です。

前の3人が斜めに走ってパスをもらう動きに、チェルシーはマークをずらされてしまいました。16分、イヴラヒモヴィッチが右に流れたのを見たディ・マリアのパスでケネディが置いていかれ、一度中をケアしようとしたケーヒルが引っ張り出されると、ゴール前は3対2です。余裕があったイヴラヒモヴィッチが選んだフィニッシャーは、いちばん外から飛び込んできたラビオ。アスピリクエタは触れず、パリがトータル1-3と差を広げました。20分、相手のペナルティエリアの前でインターセプトに成功したアザールは、中に折り返せません。

圧倒的なパリのペースだったゲームを同点に漕ぎ着けたのは、27分。自陣でのパス回しに甘さがあったフランス王者の隙を突いたペドロのインターセプトからでした。チアゴ・モッタから奪ったペドロがウィリアンとのコンビで中央を崩し、最後はウィリアンがジエゴ・コスタに縦パス。チアゴ・シウヴァは切り返しがあるのはわかっていたはずですが、淀みのない動きについていけませんでした。左足のシュートはGKトラップの脇を抜け、1-1。これで勝敗の行方はわからなくなりました。

33分、ルーカス・モウラが斜めに走ってケネディの後ろのスペースを使います。イヴラヒモヴィッチにクロスを通させてはいけない場面ですが、正確なボールがファーサイドへ。しかしここは17センチ低いアスピリクエタが体を寄せ、ヘディングシュートはクルトワの正面です。40分、ペドロの落としを狙ったセスクのミドルは左に切れ、42分に敵陣でのボール奪取からアザールが放った右足の一撃はトラップがキャッチ。追いついてからはチェルシーの前からのチェックが機能し、完全にゲームを掌握していました。勝ち越し点がほしい時間帯でしたが、パリの守備陣がシュートコースだけは抑えており、気負ったホームチームのラストパスは強引になりがちです。45分に中央から放ったジエゴ・コスタのシュートをトラップが弾くと前半は終了。後半、チェルシーが先にゴールを奪われると3点が必要という絶望的な状況に追い込まれます。ホームチームにとって最も重要なのは、立ち上がりにやられないことです。

やはり今季のチェルシーはウィリアンです。49分、左サイドを完全に突破したウィリアンがグラウンダーを入れると、アザールとアスピリクエタが連続で狙いますが、ダヴィド・ルイスとマクスウェルがブロック。プレミアリーグで年明けから無敗のチームは、後半の入りも悪くありません。58分、中央やや左から打ったペドロのミドルはうまく当たりません。おお、これは痛い!チアゴ・シウヴァを振り回していたジエゴ・コスタがピッチに座り込みました。ヒディンク監督の選択は、ロイク・レミーではなく若いベルトラン・トラオレ。62分にラビオの縦パスから左サイドを抜けたイヴラヒモヴィッチは、イヴァノヴィッチにコースを消されてラストパスを入れられませんでした。

65分、左からまわりこんだウィリアンが強烈なシュートを左隅に放つと、トラップのセーブからペドロ、ウィリアン、ウィリアンと連打。いずれもDFに当たってチャンスが潰えると、67分にパリが勝負を決めました。ボールウォッチャーになってしまったアスピリクエタがチアゴ・モッタのスルーパスに裏を取られてディ・マリアの突破を許すと、直前までオフサイドポジションにいたイヴラヒモヴィッチにイヴァノヴィッチはついていけず。至近距離からの強烈なボレーには、さすがのクルトワもノーチャンスです。

75分、アザールがNGといっています。昨季プレミアリーグMVPは、昨季までプレミアリーグにいたディ・マリアのような決定的な仕事ができませんでした。急遽オスカルがピッチに入った残りの時間の興味は、チェルシーがFAカップのエヴァートン戦に向けて自信を失わない終わり方ができるかどうかだけです。80分、マクスウェルとディ・マリアのワンツーで、またもアスピリクエタが簡単に裏を取られてしまいました。クルトワに接近し過ぎたイヴラヒモヴィッチのシュートは止まったものの、チェルシーの選手たちには戦う雰囲気はありません。スタンドは弛緩し、何も起こらない10数分が過ぎ、やがてタイムアップ。チェルシーは、今年もパリ・サンジェルマンに勝てませんでした。

2試合4発のうち、3つをお膳立てしたのはディ・マリア。後半からディ・マリアを左、ルーカス・モウラを右にスイッチしたブラン監督の戦術が当たりました。ターニングポイントは、ジエゴ・コスタのリタイアでしょう。チエゴ・シウヴァを翻弄していたストライカーがピッチを去り、脅威がなくなったのを見て取ったパリが全体を押し上げると、前半のいい時間帯は敵陣でボールを追っていたチェルシーの中盤がプレイエリアを20メートル以上下げてしまい、一発のパスでピンチになる状況に追い込まれてしまいました。急造SBだったケネディだけでなく、本来のポジションに戻っていたアスピリクエタまでが裏のスペースを蹂躙されれば、2失点は必至です。前半、押していた時間にリードできなかったこと、後半の相手の変化に対応できなかったこと、エースのリタイア、スタンドにいたジョン・テリー。チェルシーの主だった敗因は、こんなところでしょうか。ベストでぶつかってやっと勝てるかどうかの相手に、今日の最終ラインの出来は厳しすぎました。

ホームでのショッキングな敗戦、2人の負傷者…。週末のFAカップは、プレミアリーグで2番めにゴールが多いエヴァートン、しかも会場はグディソン・パークです。チェルシーは、今日のことを忘れて戦えるでしょうか。ここで敗れれば、欧州を失うという結末がいよいよ現実的になってきます。

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“痛かったジエゴ・コスタのリタイア…サイドを崩されたチェルシーはパリに連敗!” への2件のフィードバック

  1. makoto より:

    負けるべくして負けた試合でした。コスタの得点でいけるんじゃないかというムードはありましたが、彼が負傷交代した後の試合展開はとても見れたものではなかったです。
    明らかな負けの雰囲気を醸し出し、点を取ろうとしているとは思えない、取られないようにしようしている様には見えない展開を見ていると自分の応援していたチームがこんなにも脆弱だったのか、と目を覆いたくなりました。
    実況・解説者の方もそれに付き合わせてしまうかの如くトークの盛り上がりもなく、ニュートラルな目線で試合を観ていた方には非常に申し訳なく感じました。
    今回の負けはたった1試合の敗戦、長いシーズンの内の1つを落としただけ、来シーズンは厳しいがまた出られるであろうカップ戦の中の1戦を落としただけ。という結末にはとても持っていけそうにありません。この敗戦はチームに大打撃を与えそうでかなり心配です。それだけ観ていて辛かったです。

    —–
    chelさぽさん>
    ジエゴ・コスタがいなくなった後、ここぞとばかりに重心を前に移したパリのしたたかさが印象的でした。トラオレはいい選手ですが、相手のCBに警戒させたいなら、よりストライカーとしての動きができる本職のロイク・レミーのほうがよかったのではないかと思いました。おっしゃるとおり、あの後は気持ちで負けてましたね。モウリーニョ監督がソリッドにしすぎたチームを、いま一度厚くして「誰が出ても戦えるチーム」にできればと思います。

  2. M より:

    うーむ…こうなりそうとは思っていましたが、実際に見てみるとやはりショックですねぇ…
    色々あるシーズンですが、まだ終わってない以上何とか気持ちを切り替えて頑張ってほしい!

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