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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

2位はジエゴ・コスタとアグエロ…2016年に最もゴールに絡んでいる選手はフィルミーノ!

プレミアリーグ2015-16シーズンにおいて最もゴールに関係している選手、つまり「ゴール+アシストがいちばん多い選手は?」というクイズを出されたら、真っ先に思い浮かべる顔は誰でしょう。19ゴールで得点王争いのトップを走っているレスターのジェイミー・ヴァーディ、あるいは18アシストでプレミアリーグ最多アシスト記録にあと2と迫っているアーセナルのメスト・エジルを思い出す方が多いのではないでしょうか。しかし、残念ながら彼らは2人とも3位なのです。エジルの素晴らしいラストパスをウォルコットやエジルがあと3つ決めてくれたら、ヴァーディがいい位置にいる岡崎慎司に、もう3回パスを通せたら1位だったのですが、上には上がいるものです。

正解はレスターのリヤド・マフレズで、15ゴール11アシスト、トータル26。ヴァーディとマフレズの素晴らしい数字を見れば、彼らが両方いるチームがプレミアリーグの首位に立っているのは当然だなと腹落ちします。と、ここまで聞くと気になりますよね?「じゃあ、2位は…」。この選手が所属するクラブは、今季のプレミアリーグにおけるクラブ別ゴール数の「隠れ1位」です。29試合を終了した時点で、最も多くのゴールを挙げているクラブはヴァーディとマフレズで34発叩き込んでいる52ゴールのレスター、2位はハリー・ケインが17本、デル・アリ7本でトータル51ゴールのトッテナムなのですが…。実は2位はもう1チームありまして、キャピタルワンカップ決勝の煽りを受けてマージ―サイドダービーが延期になったエヴァートンは、28試合消化とひとつ少ないながらも51ゴールを挙げているのです。ここまでいえば、おわかりですね。ゴール&アシストランキング第2位は、18ゴール6アシストのロメウ・ルカクです。

さて、前説が長くなりましたが、ここからが本題です。混戦のプレミアリーグの行く末を占う意味で、ゴールとアシストが多い選手というテーマに、2016年というキャップをはめてみましょう。後半戦になってから数字を伸ばしている選手は、ラスト9試合のキーマンになるのではないでしょうか。調べてみようと思いながらふとサイトを見ると、イギリス紙「デイリー・ミラー」がこんな記事を掲載していました。「Liverpool’s Roberto Firmino has been involved in more goals than any other Premier League player in 2016(リヴァプールのロベルト・フィルミーノは、2016年になってからはプレミアリーグの他のどの選手よりもゴールに関係している)」。なるほど、いわれてみれば、今年に入ってからのフィルミーノは素晴らしい出来です。

「レスターのリヤド・マフレズの約72倍となる移籍金でホッフェンハイムからやってきた男には高い期待がかけられていた。しかし、彼にはイングランドの生活に慣れるための数ヵ月が必要だった」と紹介されたブラジル代表のアタッカーは、プレミアリーグ後半戦の9試合で7ゴール4アシストを記録しており、堂々のトップです。2位は9ゴール1アシストのセルヒオ・アグエロと、6ゴール4アシストのジエゴ・コスタで、以下7ゴール1アシストのジャーメイン・デフォーと5ゴール3アシストと復調していたウェイン・ルーニーが同点の4位。次いで3ゴール4アシストと同じ数字で並んでいるのは、ジェームズ・ミルナーと、今季プレミアリーグで最大の発見であるウェストハムのディミトリ・パイェです。

ズブズブのプレミアリーグファンは、こういった数字を見せられるだけで、「フィルミーノはここぞというところで外してないですよね」「パイェはアシストも素晴らしいけど、ドリブルとボレーのタッチがまた凄い」と勝手に盛り上がってしまうのですが、「デイリー・ミラー」が紹介したデータは、深掘りしてみるとさらなるおもしろさに辿り着くのです。2016年のゴール&アシストランキングのTOP3であるフィルミーノ、アグエロ、ジエゴ・コスタがゴールした試合の勝敗を見てみると…。

ロベルト・フィルミーノ(リヴァプール)
⇒9試合出場のうち5試合で7ゴール/クラブは4勝2分3敗、ゴールした試合は3勝2分
ジエゴ・コスタ(チェルシー)
⇒9試合出場のうち6試合で6ゴール/クラブは5勝5分、ゴールした試合は4勝2分
セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ)
⇒9試合出場のうち6試合で9ゴール/クラブは4勝2分3敗、ゴールした試合は4勝1分1敗

やはりチームの大黒柱が活躍するとチームの戦績は上がるものなのですが、チェルシーの復調と足並みを揃えて結果を出してきたようにみえるジエゴ・コスタに対して、アグエロは「黙ると必ず勝ち点をロスト」と極端です。リヴァプールもフィルミーノ依存度が高く、彼がゴールを奪わなかった試合は1勝3敗。3敗はいずれもクリーンシートで抑えられたゲームで、唯一の勝利は6-0で大勝したアストン・ヴィラ戦なのですが、彼はこの試合で3点めをアシストしており、ナサニエル・クラインの4点めもお膳立てしています。今回、さまざまな角度から数字を眺めてみて、あらためてフィルミーノの存在の大きさにびっくりさせられました。

注目はアグエロで、彼は年明けから9ゴールと最も多くのゴールを挙げているのですが、勝利した4試合の最上位は13位のワトフォード。年間を通じてTOP6からのゴールがPKを含む3つしかなく、0-3の最終盤に1点を返したレスター戦はホームで完敗、2ゴールを決めたウェストハム戦はドローと、勝利はひとつもありません。13位以下からのゴールが16ゴール中11ゴールのアグエロと、11ゴール中7ゴールのジエゴ・コスタには弱者いじめの色が漂うのに対して、ダブルを決めたマンチェスター・シティ戦でいずれもゴールし、アーセナルからも2発奪っているフィルミーノには勝負強さを感じます。アグエロが上位に弱いのか、上位と戦うと周囲がアグエロを活かせないのか。ストライカーの責任ばかりではないものの、最近のマンチェスター・シティが今ひとつである理由の一端が、絶対的エースの数字から窺えるような気がします。「デイリー・ミラー」は、「Believe it people. The stats don’t lie…(人は、スタッツは嘘をつかないと信じている)」と粋に記事を締めているのですが、総論ではなるほどと思いつつ、貢献度というものは数字だけでは量れないとあらためて感じた次第であります。

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“2位はジエゴ・コスタとアグエロ…2016年に最もゴールに絡んでいる選手はフィルミーノ!” への6件のフィードバック

  1. ヤンガナ大好き より:

    この2016年のスタッツ、面白いですね。上位三人が何れも南米産(自分のなかでジエゴコスタはブラジル)なのは、ストリートサッカーで鍛えられたハングリーさ、俺が決めるというフォワードメンタルの強さを物語っていると思います。

    フェルミーノは後半になって完全にプレミアリーグにアジャストしましたね!特に上位陣との戦いになればなるほど輝いてますね!

    ただアグエロ、コスタもハートの強さでは負けていないはずです。残りゲーム、上位陣はシティ、チェルシー戦に気を付けないと、二人に殺られると思います!

  2. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    いまやフィルミーノの活躍なしでは勝てないリヴァプール、スタッツでまとめられるとかなり色濃く表れますね。
    フィルミーノの活躍はとても喜ばしく半年かかったとはいえ、移籍金に見合う活躍ではないでしょうか。
    そしてフィルミーノの次に数字がいいのはミルナーと今季獲得した選手の活躍は嬉しいですね。
    しかし裏を返せば依存状態、絶対的なCFがいないのもリヴァプールの現状かと思います。
    期待すべきはオリギの成長とスタリッジ、ベンテケの復調ですが、私はイングスの復帰にかなり期待しています。
    今季は無理でしょうが、イングスはクロップサッカーにもっとも適した選手ではと期待してます。
    来季は補強もあるでしょうし、上記3人は今季フィルミーノと絡み結果を出せるか否かが問われているのではないかと思いました。

    なんにせよ本日はEL!どうもミルナーが体調不良で欠場濃厚だそうですので、ここはフィルミーノの活躍に期待大です!

  3. 新参 より:

    南米系ストライカーは駆け引き、貪欲という言葉がしっくりきます。

    アーセナルのジルーやウォルコット、ウェルベックは正直すぎて読まれやすく、「もー!バレバレだって!」と何度叫んだことやら。

    来季はひとり前線に南米系を加えたいですね。例えば、イブラ優先で不満なカバーニは狙い目かと。競合多数でしょうが、大金をはたく価値は大ありだとおもいます。

  4. K より:

    去年の補強で1番疑問だったのは金額の高いフィルミーノとベンテケをどう共存させるかでした。
    ロジャースはベンテケ中心のチームにしてフィルミーノはサイドでプレーさせられましたが、クロップ体制ではベンテケをベンチにしてまでフィルミーノを真ん中に置いた事が大きいですね。スピードも高さもありませんが、万能型の彼には決定力を上げてスアレス2世目指して欲しいです。
    ベンテケは両足、ヘディングの決定力だけ突出していてポゼッションサッカーのワントップをこなす技術も運動量も足りない上に、監督交代と同時に2トップで相性が良かったイングスが離脱したのがもってないですね。スタリッジ、コウチーニョの3トップが来年のメインになりそうでベンテケ・イングスと2人も2トップのオプションは要らなくなるのも、リヴァプールにはエヴァートンのように中心に据えて育成するだけの余裕もないのも分かるんですが、決勝ゴールあげてもベンテケを咎めるコメントを見るのは辛いですね。イングスとの2トップなら15ゴールは期待出来る選手なんですが、フィルミーノとスタリッジのコンビの方が上を行くでしょうけど、彼もYNWAの精神で最後まで応援したいですね。なんとなく今年限りになりそうですが…

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    Kさんのベンテケ評にはかなり賛成できますねー

    ベンテケはフィジカルが強くて典型的はCFのように思われてますが、まずポストプレイが下手すぎますね
    足元の技術が完全に不足してるのとポストプレイからの視野が狭く見方へのパスも遅くて下手ですね
    ポストプレイがうまいCF個人的なBIG3は
    (レバンドフスキ スアレス イグアイン)

    ビッグクラブは基本ポゼッションサッカーなので(クロップのサッカーもポゼッションだと思う)ベンテケが合わないのも
    わかるような気がしますね。
    オリギは裏への飛び出しが素晴らしくドルトムントでいうオバメヤンのようなプレイスイルなのでクロップが気に入るのもわかるしねー

    フィルミーノの一番活きるポジはトップ下なんですよねー
    するとコウチーニョが左サイドにいく・・本当はコウチーニョもベスチョポジはトップ下なんですね
    正確にいえばララーナもトップ下が一番活きるしww
    コウチーニョが去年ほどの活躍ができてないのが少し心配かな・・

    夏の市場では
    まずGKではマインツのロリスカリウス ケルンのティムホーン 
    CMFはボルシアMGのジャカ ウェストハムのクヤテ
    攻撃的な選手は パレスのボラシー ウェストハムのランシーニ(潜在能力期待)
    かなり現実的ですがみんな欲しいなーw

    —–
    ジルーの例から、もう一年ベンテケ様子見してほしいですね。
    そして小粒選手をいっぱいではなく、ピンポイントで補強!(GKなど)
    近年のアーセナルはこれで直実に強化しています。
    「それでもあんたらタイトル逃しているじゃないか!」という批判はごもっともですが、チーム強化の方法として良いやり方ということは、それなりに信ぴょう性があると考えます。

  6. makoto より:

    ヤンガナ大好きさん>
    3人とも、南米選手らしい抜け目なさがありますよね。ぎりぎりで外すシュートが多いけどとにかくチャンスを創れるアグエロ、数は少ないけど外さないフィルミーノと、タイプの違いもおもしろいです。

    nyonsukeさん>
    nyonsukeがお望みの結果となりました(涙)。スタリッジとフィルミーノが両方元気だと、やっぱり怖いです。

    新参さん>
    アレクシス・サンチェスには同じ香りが漂ってますよね。カバーニ、いいと思うのですが、イヴラヒモヴィッチが出ていったら獲得難易度が上がりそうですね…。

    Kさん>
    ベンテケは、迷ったままここまできてしまった印象です。ヴィラ時代は、もっといろんなことをやってたのですが…。おっしゃるとおり、スタリッジ、フィルミーノ、ダニー・イングス、オリギと揃えば居場所がなくなるかもしれません。

    totoさん>
    フィルミーノやコウチーニョが変幻自在にポジションを変えて、4-4-2なんだか4-4-1-1なんだかわからないようなサッカーをしてくれれば、盛り上がります。ボラシェとジャカ…やめてください、そんなことされたらわれわれがCL出られなくなります(笑)

    プレミアリーグ大好き!さん>
    私も、現在のようなスーパーサブ的な立ち位置から来季スタートでよいので、ベンテケはもう1年、と思います。ジルーも初年度は苦しみましたよね。

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