偏愛的プレミアリーグ見聞録

ドイツ遠征に参加しなかったファビーニョは移籍決定で、チームとともにいたヘンダーソンは残留するものと思っていました。ところが「BBC」によると、アル・エテファクで指揮を執るスティーヴン・ジェラードに誘われたキャプテンは、12年を過ごしたクラブに別れを告げるようです。

リヴァプールは、サウジアラビアのクラブと合意に至っており、移籍金は1200万ポンド（約21億7000万円）とアドオン。2011年にサンダーランドから移籍した際の2000万ポンドは、今思えばお買い得です。公式戦491試合33ゴール58アシスト、プレミアリーグ360試合29ゴール47アシスト。世代交代を進めるチームでも、その存在感は絶大でした。

アル・イティハドから4000万ポンドのオファーがあったファビーニョも、すぐに決まるでしょう。「ある時までは、ぎりぎりで笑い話だったが、今は避けられないことになっている」と書いた「リヴァプールエコー」のイアン・ドイル記者は、「サウジアラビア資本のニューカッスルにCL出場権を獲られたリヴァプールは、失敗からのリカバーも妨げられている」と伝えています。

中盤の主軸を持っていかれたレッズがやるべきことは、シンプルです。守備力が高いMFの調達。地元メディアが候補として挙げているのは、ロメオ・ラヴィア、カルヴァン・フィリップス、ライアン・フラーフェンベルフ、ソフィアン・アムラバト、シェイク・ドゥクレ、ブバカル・カマラの6人です。

ラヴィアはアーセナルやチェルシーとの争奪戦で、アムラバトはマン・ユナイテッドとのバトルとなるでしょう。ヘンダーソンとファビーニョで5200万ポンドを得られるとはいえ、高額の選手を2人獲得は避けたいところです。ラヴィアの5000万ポンドをどう見るか。退団を希望しているアムラバトは、フィオレンティーナが3000万ポンドを要求するといわれています。

クロップ監督は、クリスタル・パレスのシェイク・ドゥクレに興味があるようですが、プレミアリーグ初年度に34試合3アシストという数字を残したＭFは未だ23歳。1年前に1800万ポンドで獲得したサウスロンドンのクラブは、高額のタグを付けるのではないでしょうか。ヴィラがフリーで連れてきたブバカリ・カマラも、最近の相場観に乗っかった額を請求されそうです。

2022年にフラーフェンベルフを獲得したバイエルンが、アヤックスに支払ったのは2100万ポンド。昨季ブンデスリーガでは先発3試合、途中出場21試合とサブの選手でした。プレミアリーグのヤングスターにビッグマネーを継ぎ込むより、強豪クラブで出番を得られない選手のブレイクを促すほうが、賢い補強になるかもしれません。

先ほど行われたカールスルーエとのウレンドリーマッチでは、アレクサンダー＝アーノルドがアンカーを務めました。彼を中央に置いて、左右にショボスライとマック・アリスターを配する布陣で戦うのか、プレミアリーグ2022-23シーズンの終盤戦で採用した偽SBを継続するのか。クロップ監督のジャッジと次なる新戦力に注目しましょう。