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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

即戦力5人で6000万ポンド…買い物上手のブライトンがクラブレコードの移籍金でクドゥス獲得間近!

狙っていたターゲットを首尾よく獲得したアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドに対して、マンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシー、トッテナムは欠けたパーツを埋められていません。マフレズが抜けたペップのチームは、カイル・ウォーカーとベルナルド・シウヴァの引き留めも重要なタスク。カイセドの交渉が頓挫しているチェルシーは、前線の強化も継続中です。

ヘンダーソンとファビーニョの離脱という想定外の事件があったリヴァプールは、セインツのロメオ・ラヴィアとフルミネンセのブラジル代表MFアンドレ・トリンダーデが有力候補。ヴォルフスブルクのミッキー・ファン・デ・フェンを獲得するといわれているスパーズは、最終ラインとサイドに不安を抱えています。

さて、ビッグ6の過半が発展途上となっているなかで、中小クラブで最も積極的に強化を図っているのはブライトンです。クラブ史上初のヨーロッパリーグ出場を決めたチームは、マック・アリスターとロベルト・サンチェスを売却しつつ、6人めの即戦力獲得に向かっています。クラブレコードとなるモハメド・クドゥスの最新情報を伝える前に、既に押さえた選手を確認しておきましょう。

最初のサインは、ワトフォードのFWジョアン・ペドロ。昨季のチャンピオンシップで35試合11ゴールのブラジル人ストライカーは、クラブレコードとなる3000万ポンド(約54億円)でゲットしています。未だ21歳の逸材への投資は、デ・ゼルビの下で結果を出させて倍額以上で売るというプランなののかもしれません。

ドルトムントのマフムード・ダフードとレッズを退団したジェームズ・ミルナーの実力者コンビは、フリーで引き入れています。プレスをかいくぐるのがうまいダフードは、いかにもデ・ゼルビ好み。37歳とは思えない運動量を誇るミルナーは、ユーティリティーを買われたのでしょう。

アンデルレヒトから1630万ポンドで獲ったバルト・フェルブルッヘン は、ロベルト・サンチェスの退団を見越した補強。チェルシーからレンタルしたレヴィ・コルウィルの完全移籍が叶わないと見るや、フィオレンティーナのイゴール・フリオに矛先を変更しています。ECLとコッパ・イタリアのファイナルで途中出場だったブラジル人CBは、代理人が退団をほのめかしていました。

守備においてはミスが目立つゲームもあるものの、左足の正確なフィードとパスコースを創るドリブルはコルウィルに引けを取りません。25歳のレフティのために、フィオレンティーナに支払った移籍金は1450万ポンド(約26億3000万円)。これもまた、先々の利益やリスクが考慮されているように感じられる「ブライトン価格」です。

5人の獲得で退団した選手の穴は埋められており、このまま開幕かと思いきや、デ・ゼルビとスカウティングチームは6月に追いかけていたビッグネームを諦めていませんでした。アヤックスのモハメド・クドゥスは、昨季エールディヴィジで30試合11ゴール4アシスト、CLとELで7戦5発。オランダの名門の主軸で、アーセナルやチェルシーのターゲットといわれていた選手です。

「アスレティック」のトム・ハリス記者は、クドゥスについて「マルチポジションのカウンターアタッカー」と表現。オランダの名門に加わってから、アンカー、6番、8番、左右のウイング、トップ下、最前線と7つの役割を果たしてきた23歳のガーナ代表の馬車馬のようなドリブルを絶賛しています。

「深いエリアでボールを奪った後、ひとりでカウンターアタックを生み出してしまう。欧州フットボールの世界広しといえども、そんな芸当ができるのは、彼以外にほとんどいないのではないか」

本人が考えるベストポジションは中盤の真ん中で、憧れの選手はチアゴだそうです。もちろんテン・ハフやシュロイダーは賛同せず、より前で起用してきました。ブライトンでは、マック・アリスターとエンシーソを足した役割を担うのではないでしょうか。デヴィッド・オーンスタイン記者が伝える移籍金3450万ポンド(約63億円)は、今季2度めのクラブレコードです。

アヤックスとブライトンは既に合意に至ったといわれています。この後、デ・ゼルビが望む「最高の補強」は、退団する予定だったモイセス・カイセドの残留でしょう。最前線にジョアン・ペドロ、2列めに三笘薫、クドゥス、ソリー・マーチ、中盤センターにカイセドとダフードが並び、最終ラインはパスカル・グロス、ルイス・ダンク、イゴール、エストゥピニャン…。

ELでも充分戦えそうなクラブは、どこまで戦力を強化するのでしょうか。最初の5人の獲得総額は6000万ポンド。2人の売却益は6000万ポンドで、プラスマイナスゼロです。4000万ポンドでクドゥスを獲っても、まだまだ投資余力はあるでしょう。コンセプチュアルな指揮官の下で、本気で勝ちにいこうとしているクラブの立ち回りが大いに気になります。(モハメド・クドゥス 写真著作者/Carlo Bruil Fotografie)


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