偏愛的プレミアリーグ見聞録

ディサシ 、ニコラス・ジャクソン、エンクンク、ロベルト・サンチェス、カイセド、ウゴチュク、アンジェロ・ガブリエウ、ラヴィア …。この夏、チェルシーが8人の獲得に費やした総額は3億2300万ポンド（約598億円）。2021-22シーズンの欧州ランキングで13位に入ったドルトムントの総収入を上回っています。

ブルーズの巨大投資について聞かれたペップ・グアルディオラは、「私たちが同じことをやったら、死んでしまう」と返しています。「マグワイア、ククレジャ、アレクシス・サンチェスがほしかったけど、払わなかった」「フェアな投資をしたい」という稀代の名将は、派手なライバルがFFP違反で騒がれない現状に疑問を抱いているようです。

「チェルシーにとっては簡単なことなのだろう。批判はしない。でも、私たちがやったら想像を絶する詮索を受けることになる。チェルシーが2度のトランスファーウインドウで費やした額を使っていたら、私はここに座っていない。あなたがたメディアは、私を殺す」

昨夏からのマーケットで、8億5000万ポンドを超える額をマーケットに投じたウェストロンドンに対して、マン・シティは2億3320万ポンド。ペップの嘆きは理解するものの、トッド・ベイリーとスタッフは、売却のほうも天才的にうまいという事実を忘れてはいけません。

カイ・ハヴェルツ、コヴァチッチ、ロフタス＝チーク、メイソン・マウント、プリシッチ、アンパドゥ、クリバリ、エドゥアール・メンディ、オーバメヤン、アスピリクエタ、カンテ。主力11人の放出で2億2000万ポンド以上を手に入れたクラブは、ダトロ・フォファナとケパ・アリサバラガをローンで出し、人件費を軽くしています。

ワンシーズンの投資総額は、フットボール史上最高額。売却益は、ムバッペ、ファビーニョ、トマ・レマル、ジョアン・モウティーニョ、ゲザルを一気に手離した2018年のモナコには及びませんが、歴代トップクラスです。しかも彼らの夏は、まだ終わっていません。最新のトピックスを列挙してみましょう。

目下のターゲットは前線とGK。クリスタル・パレスのマイケル・オリーズが破談となった後、アーセナルが5000万ポンドと主張しているフォラリン・バログンと、ノッティンガム・フォレストが4000万ポンドのタグを付けたブレナン・ジョンソンの名前が挙がっています。

マン・シティがマフレズの後釜候補としているレンヌのジェレミー・ドクは5140万ポンド。7月に報じられたリヨンのラヤン・チェルキと、ウェストハムがアヤックスと交渉中のモハメド・クドゥスもレーダーに入っているようです。1700万ポンドで獲得間近といわれているサントスのデヴィッド・ワシントンは18歳。今季のスカッドには入らないでしょう。

GKのほうは、MLSのニューイングランド・レボリューションに所属するセルビア代表GKジョルジェ・ペトロヴィッチにオファーと伝えられています。「アスレティック」によると、移籍金は1180万ポンド。交渉は進んでいるものの、まだ合意には至っていません。MLSは既にマーケットが終わっており、フリーの選手しか獲得できないため、クラブ間合意の難易度は高そうです。

アタッカ―2人と守護神を獲るといわれている一方で、ルイス・ホールはニューカッスルにローン移籍となる見通し。6月にアル・ナスルに移籍する寸前で、メディカルチェックでアウトとなったツィエクは、ガラタサライ移籍に向けてメディカルを無事に通過したそうです。ハドソン＝オドイは、プレミアリーグの某クラブがフラムからハイジャックを画策中と報じられています。

最後の懸案事項となりそうなロメウ・ルカクは、「テン・ハフ監督が電撃復帰をオーダー」などと書かれるほど、行き詰っているようです。トッテナムやレアル・マドリードという最近のゴシップにリアリティはありません。いや、彼らが序盤のリーグで苦戦したら、駆け込みレンタルという結末はあるのかもしれません。この夏も主役になったクラブの立ち回りに注目しましょう。