【ユーロ2016】ルカク、覚醒の2発!王様デブライネのベルギーがアイルランドに完勝!
サイドに流れてボールをもらおうとするルカクにタイミングよくパスが出る形は、イタリア戦ではあまり見られませんでした。初戦は個人プレーが目立ちバラバラだったチームは、ボールをもらえる位置に細かくポジションを変えながら、左右に球を散らすデンベレのプレイメイクでまとまってきているように見えます。13分のデブライネのCKは、ニアで触ったアルデルヴァイレルトのヘッドが薄く、ファーポストの外へ。16分、左サイドからゴール前に入れたデブライネのFKは、そのまま入ってもおかしくなかったきわどいボールでした。20分、デブライネがルカクにクロスを入れると、こぼれ球はアザールの足元へ。フリーで右足を振り抜いた10番は、枠におさめることすらできませんでした。1年前のプレミアリーグMVPを完全復調と表現するのは、まだ先の話のようです。
25分、デブライネが最終ラインの裏に出した絶妙なパスは、ゴール前に走ったカラスコがオフサイドを取られました。2分後、デブライネのミドルはGKランドルフが左に飛んでキャッチ。カウンターしかないアイルランドに時折自陣でボールを奪われる危険なプレイは気になるものの、今日のベルギーには先にゴールを決められそうな期待感があります。32分、アイルランドにチャンス。ハイクロスをフリーで叩いたアストン・ヴィラのクラークのヘッドは、ポストの右に逸れてしまいました。41分、デブライネのCKからまたもアルデルヴァイレルトがフリーでヘディングシュートを放つも、ゴールライン上にいたフーラハンがクリアして先制ならず。圧倒的に押していたベルギーがようやくゴールを奪ったのは、後半が始まって間もなくでした。
48分、ベルギーのカウンター。右サイドからひとり抜き去り、中央に完璧なグラウンダーを通したのは、やはりデブライネでした。ヤニック・フェレイラ・カラスコの後ろから遅れて中央に入ったロメウ・ルカクは、ランドルフのポジションを見て冷静に左隅に蹴り込みます。昨季プレミアリーグ18ゴールのストライカーが、ついに真価を発揮しました。リアクションサッカーに徹していたアイルランドは、引いているわけにはいかなくなりました。
56分、足首を痛めたデンベレがリタイア。交代でナインゴランがピッチに入りますが、運動量豊富なセントラルMFを失ったヴィルモッツ監督は頭が痛いでしょう。デンベレ退場のすぐ後に2点めが入ったのは大きかったのではないでしょうか。61分、ムニエルのクロスは、後ろから走り込んできたヴィツェルの頭にぴったりでした。強いシュートにランドルフが手を弾かれ、ボールは右のサイドネットを揺らします。相手のミスを突いたカウンターとセットプレー、ロングフィードぐらいしか攻め手がないアイルランド相手の2点差は、セーフティリードでしょう。カラスコがメルテンスに代わった後の71分、試合を完全に決めたのはアザールでした。ムニエルの縦パスから始まったカウンターは、ひとり抜き去って右サイドを独走した10番が、見事なコース取りで2対1の形に持ち込んだところで勝負ありでした。ラストパスはフリーのルカクへ。GKしかいないどフリーのシュートを、エースが外すはずがありません。
ここからのトピックスは、ロビー・キーンとベンテケがピッチに立ったことぐらいでした。3-0、決めるべき選手が決めたベルギーが完勝です。結果を出せたのはよかったものの、個人技に頼った攻撃スタイルは相変わらず。王様デブライネとエース・ルカクの出来次第というチームは、プラティニやジーコ、マラドーナなど司令塔が勝負を決めていた1980年代の強豪チームのようです。このサッカーでは、スペインやフランスには勝てないでしょう。次のスウェーデンとのゲームでは、調子が上がってきたヴィツェルの攻め上がりやSBのオーバーラップを活かしながら、連携でゴールを奪うシーンを見せてもらえればと思います。
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