【ユーロ2016】堅守と決定力不足…2つの顔を見せたフランスが、スコアレスドローで首位通過!
8分のスイスのCKは、シェアがヘディングで流したボールをポグバがクリアしきれず混戦となりますが、スイスの選手の前にチャンスボールはこぼれず、フランスは失点を免れます。11分、左からジニャックが仕掛けて中に入れると、ポグバがひとりかわしてシュートを打つも今大会好調のGKゾマーがセーブ。その2分後にもポグバが左から突破を図って鋭いシュートを放つと、ゾマーが左に飛んで指先でクリアし、CKに逃れます。
17分のフランスの攻撃は、流れるような美しい展開。シソコが持ち上がって右のグリーズマンに預けると、ラストパスは走り込んだジニャクにぴったり合いますが、シュートはDFに当たって枠にいきません。その直後のポグバが圧巻でした。中央から力強いドリブルで上がり、迷いなく左足を振り抜いた強烈なミドルはゾマーが一歩も動けなかったものの、クロスバーを直撃。時間が経つにつれてフランスがゲームを掌握し、シャキリやエンボロが待つスイスの前線にはボールは出てきません。
22分、コマンが右から俊足を飛ばしたカウンターは、クロスがグリーズマンに合わず。26分のCKは、コシールニーのヘッドがゴール前をカバーしたDFにカットされます。28分、スイスが反撃。右サイドの仕掛けからバーゼルの19歳FWエンボロがゴール右に入り、久しぶりにつかんだシュートチャンスはコースを空けてもらえませんでした。フランスのプレスが速く厳しく、アーセナルでのプレミアリーグデビューが決まったジャカやワトフォードのベーラミは、前に効果的なパスを出せず。自陣でボールを奪ってカウンターに転じようとするも、その多くはハーフライン付近で奪い返され、スイスが防戦に回る時間が続きます。前半は0-0、スコアを動かさなければならないのは、枠内シュートゼロのスイスのほうです。
後半開始直後、シャキリの好パスから右サイドを破ったスイスは、ラストパスをコシールニーにカットされてシュートに至りません。53分、フランスの速攻は、左から中に斬り込んだジニャクのシュートをゾマーがよくキャッチしました。2分後、珍しい事件が起こります。スイス最終ラインのバックパスをさらったグリーズマンをベーラミがカットすると、ボールがパンクしてしまいました。危ないシーンを切り抜けたスイスは、56分にエンボロがラインの裏に抜け出しかけますが、ロリスの出足が速く、ボールに触れませんでした。58分、今度はフランスに決定機です。ポストプレーから中央にフリーで侵入したのはグリーズマン。シュートコースは空いていたものの、強く蹴った一撃はゾマーの守備範囲に飛んでしまい、見事なセーブに阻まれます。
63分、コマンに代わっていよいよ登場、ディミトリ・パイェ。勝ちたいスイスがポゼッションを増やしてはいるものの、フランスがうまく引いて中盤のスペースをつぶしており、コントロールタワーのジャカはシソコのチェックに苦しんでいます。75分、プレミアリーグコンビがぞくぞくするカウンターを見せてくれました。右サイドを駆け上がったのはシソコ。長いクロスはファーから突っ込んできた選手にぴったりで、強烈なボレーがバーを叩いた瞬間、誰かと見ればパイェです。スイスがエンボロをセフェロヴィッチに代えたのに対して、デシャン監督はグリーズマンをマチュイディ。残り10分強を、無失点で終わろうという采配です。
リヨンでアルバニアが勝っているという情報は、スイスのスタッフには届いていたはずで、2位通過は間違いなかったペトコヴィッチ監督が終盤にシャキリとメフメディを下げ、中盤を厚くした敗戦回避の采配はいかにも消極的に見えました。0-0でタイムアップ、フランス首位、枠内シュートが結局ゼロのスイスが2位。私のマン・オブ・ザ・マッチは、フランスはコシールニー、スイスはGKゾマーです。スイスに勝機があったとすれば、後半開始からしばらく、エンボロやシャキリがエヴラの裏のスペースを取っていた時間帯でしたが、ポジショニングが的確だったコシールニーがシュートを許しませんでした。
サブの選手を試し、最初の2試合をがんばった選手を休ませたデシャン監督は納得の着地、初めてスイスを決勝トーナメントに進出させたペトコヴィッチ監督はガッツポーズでしょう。本番はこれからですが、3試合で前半のゴールがゼロ、4点のうち3つまでが85分以降のフランスは、エンジンのかかりをよくしておかないと、思わぬ相手に足を取られかねません。フランスの守備の強さと決定力不足という2つの顔が、同時に顔を出した一戦でした。
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