偏愛的プレミアリーグ見聞録

「難しい質問だね。率直にいおう。前線でのポジションにはこだわっていない。左ウイングでも偽9番でも、攻撃的なMFでさえも。自分のなかにはっきりした答えはないんだ」（アーセナル公式サイトより）

確かにプレイを見る限りでは、ポジションに対するこだわりはなさそうです。「今季プレミアリーグで最も過小評価されているアタッカー」は、いいすぎでしょうか。1月にアーセナルにやってきたレアンドロ・トロサール。アルテタの戦術にすぐにフィットしたベルギー出身のアタッカーは、プレミアリーグ20試合すべてに出場し、1ゴール10アシストという数字を残しています。

ノースロンドンで過ごす初めてのフルシーズンとなる今季は、マン・シティと戦ったコミュニティシールドの101分に、アカンジの足に当たる幸運な同点ゴールを決めてトロフィー獲得に貢献。ジェズスとマルティネッリが負傷すると必ず呼ばれ、左ウイングとCFで公式戦14試合6ゴール2アシスト、プレミアリーグ8試合3ゴール1アシストと結果を出しています。

入団以来の数字をまとめると、公式戦35試合7ゴール14アシスト。7発のアシストはすべてブカヨ・サカです。「よく聞く話だね。うーん、なぜだかわからない。でも明らかに、ブカヨは他の選手を見つけるクオリティが高い。彼が持つと何かが起こるとわかっている」。前線のすべてのポジションでアシストを記録しているFWがイニシャルで2000万ポンドは、激安です。

両足が使えてキープ力があり、クロスもシュートもCKも精度が高いアタッカーを過小評価と表現したのは、限られた時間で決定的な仕事をしてくれるからです。2023年のプレミアリーグで1231分に出場し、4ゴール11アシスト。82分に1回はゴールかアシストを決めている計算です。今季の90分あたりのゴール率0.90はリーグ6位で、サラーやソン・フンミンを上回っています。

ガブリエウ・ジェズスが復帰したら、彼は当然のようにベンチに戻るのでしょうか。攻撃的に戦いたいゲームでは、左のインサイドもおもしろそうです。守備重視なら左はデクラン・ライス、バランスを取りたいときはジンチェンコ、攻めるならトロサールかファビオ・ヴィエイラで、カイ・ハヴェルツは前線を強化したいときのゲームチェンジャーというのはいかがでしょうか。

「子供の頃は10番としてプレイしていた。攻撃的MFが基本だったけど、ストライカーもやっていた。試合ではいつも自分たちのクオリティを保ち、ゴールを決めるボックス内やいいポジションにいようと心がけている、特に左ウイングでプレイするときは、ブカヨ・サカが右サイドでボールを持ったら、そこに入らなければならない。ゴールを決められるポジションにね」

7ゴールのうち6つは先制、同点、決勝ゴール。苦しい展開のゲームを変えるパワーを持つアタッカーは、今後もここぞというシーンで記憶に残るゴールを生み出してくれるでしょう。「とてもクレバー。スペースとプレイの選択肢を生み出してくれる」と指揮官が絶賛するFWには、もっと眩いスポットライトが当たるべきと思い、こうしてアピールする次第であります。