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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Saints】 策士、策を打てず。チェルシー痛恨のドロー

不思議なゲームでした。圧倒的なチェルシーペースで前半が終了し、2-0。このとき、ドローという結果を誰が想像できたでしょうか。終わってみれば2-2、チェルシー、ホームで痛恨の勝ち点ロスト。この試合、マン・オブ・ザ・マッチはサウサンプトンのアトキンス監督ではないでしょうか。

ハーフタイム、おそらくアトキンスは、DFは裏を取られないように、中盤でマタを抑えるようにといった指示を出したのではないかと思います。そして後半に入り、相手の攻撃にディフェンスが対応できているのを見届けたうえで、前半機能していなかったロドリゲスを代え、ヘディングが強く一発のあるリッキー・リー・ランバートを送り出しました。これが大当たり。後半13分、交代からわずか3分でランバートのヘッド一閃、2-1。

さらに同点に追いつくべく、チャプローとガストン・ラミレスを投入。ラミレスが入って1分後、自陣左サイドでボールを奪うとそのまま縦にドリブルで持ち込み、グラウンダーのクロスをペナルティエリアの右で受けたパンチュンがワントラップボレーで左隅へシュート、これで同点。

2-2になると、今度はセーフティなサッカーにスイッチ。いたずらにラインを下げるのではなく、サイドとバイタルエリア(DFとMFの間のスペース)にしっかり鍵をかけ、奪取したボールをキープ力のあるラミレス、ランバートに渡し、彼らが粘っている間にDFラインを整備。最後は、チェルシーのハイボール放り込み攻撃をかわし、うまく試合をたたみました。枠内シュート3本で2点と、省エネ&クレバーなサッカーで勝ち点1をゲット。監督としては、「してやったり」の結果でしょう。

前半のチェルシーは素晴らしい出来でした。オスカルスタメンの攻撃的布陣でスタート。マタがドリブルで押し上げ、リズムを作り、ラミレス、アザール、オスカルがDFの裏に入りパスを受け、デンバ・バに合わせるのが基本。時折、サイドから、ペナルティエリア脇を裏に抜ける選手に速いグラウンダーを通します。マンチェスター・シティを彷彿とさせる、この外から斜めに入るパスは、SBとCBのどちらが対応するのか判断がしにくく、吉田麻也、ホーイフェルト、ショーがかなり手を焼いていました。25分という早い時間にデンバ・バが先制し、前半はこのまま終わるかと思われた45分にアザールが追加点と、いい時間にゴールが決まり、楽勝ムードだったのですが…。

先発したメンバーの出来がよく、選手層が薄くなっている現状もあり、ベニテス監督は選手を代えづらかったのでしょう。後半もペースを握っており、まさかここから追いつかれるとは、という思いもあったに違いありません。彼は2-2になるまで、1枚の交代カードも切りませんでした。控えの顔ぶれをみれば、「どこをどう変えるのか」といわれると、難しいものがあります。とはいえ、2-2になってからの攻め方がハイボール一辺倒となってしまったのはいただけません。デンバ・バに加えてF・トーレスを投入し、FWが2枚になって出しどころが増え、しかもふたりともヘディングより足元がいいので、執拗にサイドを崩しにいけば、そちらのほうがチャンスになったのではないでしょうか。

しかしまあ、「因果応報」はいい過ぎかもしれませんが、昨季のチャンピオンズリーグでチェルシーに敗れたバルセロナのグアルディオラ元監督とバイエルンのハインケス監督は、この試合のベニテスと同じ気分を、まさにチェルシーに対して味わったのでしょうね。何でこの内容で勝てなかったのか、と…。

吉田とホーイフェルトは、2点失ったものの、終始冷静でよく守ったのではないでしょうか。キャプテンで仕切りがうまいフォンテとコンビを組む吉田は、黙々と自分の役割を果たす、といった雰囲気ですが、相方がホーイフェルトのときは「気くばりの人」になり、カバーリングに入る機会が増えます。状況をみながらプレースタイルをチューニングしているのがよくわかり、あらためて頭のいい選手だなと思った次第です。

さて、今後ですが、セインツはエヴァートン、MAN.UTDと強敵との対戦が続くハードスケジュール。チェルシーは今週末、アーセナルとの大一番です。どちらも、踏ん張りどころですね。

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