偏愛的プレミアリーグ見聞録

ナセル・シャドリはWBA、ウェストハムはザザをレンタルで獲得。アーセナルのムスタフィとルーカス・ぺレスについては未だ公式発表はありませんが、移籍市場締め切り直前にプレミアリーグ勢が動いています。ナセル・シャドリは2012-13シーズンにトゥエンテからトッテナム入り。スパーズで過ごした3年間は、公式戦119試合25ゴール、プレミアリーグ88試合出場15ゴール。2014-15シーズンにはプレミアリーグだけで11ゴールを挙げており、決してスピードがあるわけではないものの、絶好調モードに入ると手がつけられなくなる選手でした。

ピューリス監督のWBAは、2014-15シーズンは38試合で34ゴール。これは降格したニューカッスルとノリッジよりも少なく、最下位アストン・ヴィラに続くプレミアリーグ19位です。1試合1ゴールに満たない貧攻で、10勝のうち7勝が1-0というデータを見ると、よくこの数字で残留したなと感心します。ダレン・フレッチャーが中盤を仕切り、ガードナーとマット・フィリップスが前線にパスを供給する攻撃では、今季も残留争いは免れません。計算できるのは最前線のサロモン・ロンドンだけで、ベラヒーノがどこまでやってくれるかわからないなかで、外から中に斬り込んでゴールを陥れてくれるシャドリの獲得は、絶対必要な補強だったと思います。「BBC」によると契約期間は4年、移籍金は1300万ポンド（約17億3000万円）。ラメラ、エリクセン、ソン・フンミンにエンクドゥが加わり、昨季はプレミアリーグだけでも29試合あった出場機会が激減しそうなシャドリにとっても、主軸と期待してくれるチームへの移籍は悪くない話でしょう。ピューリス監督の存在が移籍の決め手となったと語るベルギー人MFの活躍を期待したいと思います。

バッカ、ラカゼット、ベンテケ…。2ヵ月以上の長きにわたってストライカーを追い求めていたウェストハムにとって、ユヴェントスのシモーネ・ザザ獲得は、「何とか間に合った」という感覚ではないでしょうか。アタックリストに9人の名前があると伝えられていた5月が嘘のように、最近は話題が途絶えており、ビリッチ監督は諦めたのではないかと心配になるぐらいでした。2トップで戦いたい指揮官の手元には、エネル・バレンシア、アイェウ、サコ、キャロルがいたのですが、負傷で戦列を離れたサコは明らかに構想外。期待のアイェウとキャロルもケガでいなくなってしまい、ホナタン・カジェリのワントップだったヨーロッパリーグプレーオフのアストラ戦の布陣は、後半ビハインドを背負ったときのためにエネル・バレンシアをベンチに置いてフォーメーションをいじるというビリッチ監督の窮余の策でした。

1年前にサッスオーロからユヴェントスに移籍したばかりだったザザは、19試合5ゴールと真価を発揮できないままにプレミアリーグに参入することになりました。500万ユーロ（約5億円）でレンタル、完全移籍の際には2000万ユーロ（約23億円）を払えばOKという買い取りオプション付きと伝えられていますが、ハマーズ経営陣とビリッチ監督を納得させるプレイを見せてくれるでしょうか。オリンピックスタジアム初年度に、昨季の7位からのジャンプアップを狙うチームにとって、ストライカーの爆発は目標達成の絶対条件です。

正式な発表はまだのようですが、シュコドラン・ムスタフィがフライング気味にアーセナルに移籍した理由を語っています。「僕はずっとペア（・メルテザッカー）には会ってない。代表を引退してしまったからね。でも、メストとは話した。彼は僕の知りたいことをすべて話してくれて、それは僕にとってポジティブだったので、即決だったよ」。これが事実なら、エジルは3500万ポンド（約47億円）といわれる移籍金の5％ぐらいはもらってもいいかもしれません。アーセナルは、本日発表でしょうか。明日はいよいよ、トランスファー・デッドラインデーです。