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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

アンフィールドとは別なチーム…未だ発展途上のリヴァプール、今後に期待させる3発圧勝!

アンフィールドで、ノッティンガム・フォレストに0-1。開幕から無失点で3連勝のリヴァプールが、早くも足をすくわれました。現地メディアはすぐにゲームの分析を行い、ロケットスタートに成功したチームがつまずいた理由を探っていました。多くの記者が指摘しているのは、「なぜスタメンを変えなかったのか」。スロット監督は、10人を4試合連続で先発させています。

好意的に捉えるなら、「マンチェスター・ユナイテッド戦の素晴らしいパフォーマンスを見たら、変えづらいのは理解できる」。批判するなら、同じく3連勝のペップがブレントフォード戦で4人をスイッチしたという事実を持ち出すのが手っ取り早そうです。モー・サラーはミッドウィークにボツワナでプレイしており、南米勢がカークビーに戻ってきたのは木曜日です。

インターナショナルマッチの影響は、ポゼッション70%のチームにあるまじきスタッツが証明してくれそうです。シュート14本とオンターゲット5本は、特段悪くはありませんが、xG(ゴール期待値)は0.87。「スカイスポーツ」のピーター・スミス記者とローラ・ハンター記者によると、昨季のアンフィールドで1.0に届かなかったのは、年末のアーセナル戦のみだそうです。

デュエルの勝率44%は今季プレミアリーグの最低で、パス成功率84%は、終始主導権を握っていたチームとしてはローレベルです。縦へのフィードやスルーパスが意志の疎通を欠くシーンが目立ち、自らチャンスを手離してしまった感があります。「ノッティンガム・フォレストがうまく守ったのではないか?」という声には、ポゼッション70%と繰り返しておきましょう。

「スカイスポーツ」で解説を務めるポール・マーソンさんは、「リヴァプールは少々退屈だった。クロップの頃と比べるとスローに感じた」といっています。前半の盛り上がりは、ルイス・ディアスのポスト直撃、マック・アリスターの右足アウトのパスを叩いたジョッタのボレー、アーノルドのクロスに合わせたマック・アリスターのヘッダーぐらいです。

それでもハーフタイムまでは、ノッティンガム・フォレストのシュートはゼロでした。ノーゴールの理由を求めるなら、前半のパスミスの多さも考慮する必要がありますが、敗因を掘り下げるなら後半にフォーカスするべきでしょう。最大のハイライトは、ギブス=ホワイトのミドルが右に逸れた直後の60分。スロット監督の3枚代えです。

コーディー・ガクポ、ダルウィン・ヌニェス、ブラッドリーを入れた際に、ベンチに下げたのはマック・アリスター、ルイス・ディアス、ジョッタ。数字を元に代えるべき選手を挙げるなら、フル出場でボールロスト18回のショボスライ、12回のフラーフェンベルフ、パスミス19本のアーノルド、パス成功率70%のモー・サラーというアイデアもありました。

劣勢のなかでチャンスを窺っていたヌーノ・エスピーリト・サント監督は、エランガとハドソン=オドイでカウンターという狙いが当たりました。ベンチ外だったフェデリコ・キエーザは、起用できる状態ではなかったのか。右サイドを主戦場とするエリオットがいれば、ミスが多かったサラーを下げたのか。4-3-3にシフトするなら、CBの前をカバーしてくれる遠藤航とか…。

スタメン固定、Bプランなき新生レッズに暗雲が垂れ込めたアップセット。ガクポとダルウィン・ヌニェスはフィットしておらず、カーティス・ジョーンズの出場時間は16分、遠藤はたった1分、ジョー・ゴメスは未だ出番なし。ただでさえ層が薄いのに、この調子でプレミアリーグとCLを両立できるのでしょうか。ACミランと戦うアウェイゲームの最初の興味は、先発メンバーでした。

ノッティンガム・フォレスト戦との違いは、左サイドのガクポとツィミカスのみ。中盤はいつもの3人です。スローなアタックを繰り返して敗れたら、新監督への風当たりはますます強くなるでしょう。開始3分、前に詰めたツィミカスの裏をプリシッチに突かれたカウンター。中央のモラタをケアしていたファン・ダイクは対応できず、コナテが背後を気にしながら下がっています。

必死に戻ったマック・アリスターが追いついた瞬間、左隅を狙ったプリシッチのシュートが決まって1-0。大丈夫か、リヴァプール!苦戦必至かと思いきや、この日の彼らは土曜日のアンフィールドとは別なチームでした。ミランのビルドアップを前線の4枚でチェックし、パスコースを限定。17分には、ジョッタのパスを受けたサラーの右足シュートがクロスバーを叩きました。

同点ゴールは23分、ボックス左脇からアーノルドが浮かしたFKを、コナテがヘッドで右のサイドネットに落としました。サラーは30分にも、ガクポの高速クロスをメニャンが弾いてこぼれたボールを、左足で叩いてクロスバーに当てています。41分の逆転ゴールもセットピース。ツィミカスがCKを蹴った瞬間、ラインデルスのマークを外したファン・ダイクが頭でプッシュしました。

追加タイム4分のガクポの鋭いミドルは、メニャンが左に飛んでセーブ。1-2で後半に入ったレッズは、48分に決定機を創りました。アーノルドの縦パスで右から仕掛けたガクポが中央に流すと、フリーで走り込んだジョッタのフィニッシュは、足元に入ったメニャンが体に当てました。足を押さえて痛みをこらえていたGKは、トリアーニに後を譲っています。

決定的な3点めは67分、美しいカウンターでした。自陣でカットしたフラーフェンベルフがセンターサークルのショボスライにパスを通すと、ダイレクトのスルーパスで左のガクポが抜け出しました。追いすがるパヴロヴィッチをちぎったガクポは、無理に打たずに中央に折り返し、走り込んだショボスライのワンタッチが右隅に収まりました。

最後は猛攻を受けたものの、敵地サンシーロで1-3の勝利。ポゼッションはイーブンですが、シュート数8対23、オンターゲット2対11は圧勝といっていいでしょう。フラーフェンベルフとショボスライはフル出場で、マック・アリスターが遠藤航と代わったのは90分。相変わらずのレギュラー重用ですが、フェデリコ・キエーザとジョー・ゴメスの出場をポジティブに捉えましょう。

冷静に見れば、就任から最初の5試合を4勝1敗。今はまだ、フィットしているメンバーを軸にベーシックな戦術を構築している最中で、秋が深まる頃にはオプションも機能するようになっているかもしれません。ノッティンガム・フォレスト戦の敗因分析をした記者のみなさんのように、現状に懐疑的になっていたのですが、ミラン戦を見て掌を返そうと思いました

あらためて、ニューモデルのリヴァプールに期待します。強さを見せつけたミラン戦でも、CBの前にスペースが空いてしまうシーンが何度もあり、MFの連携やラインコントロールは改善の余地があります。それでも、クロップ式のプレスで鍛えられたメンバーなら、MFとDFの距離感やトランジションなどの課題をクリアしてくれるでしょう。

ダルウィン・ヌニェスとガクポがフィットし、カーティス・ジョーンズ、エリオット、遠藤航の活用法が見えてくれば、昨シーズンに負けず劣らず戦えるチームになるのではないでしょうか。国内カップを視野に入れると、活きのいい若手を数人、定着させたいですね。次節はボーンマス。もう一度、懸念を払拭する快勝を!


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