イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「年末年始の日程はどこが得?」「アメリカ人監督の言葉遣いにツッコミ」イギリス紙らしい小ネタを紹介!

細かい話をおもしろがるのが大好きで、ちょっぴり閉鎖的なところもあるイギリス人。プレミアリーグにまつわる彼ららしい記事を、2つほど紹介したいと思います。「BBC」の記者が数字を追いかけた「Who gets the most rest this Christmas?(このクリスマスは、どこがいちばん休んでる?)」という記事は、ボクシングデーから年明けにかけて開催される3試合の「festive matches(祝祭日の試合)」において、どのクラブが日程的に有利なのかを紹介しています。このテーマについて騒ぎ出したのは、プレミアリーグをよく知る「準英国人(?)」のモウリーニョ&ヴェンゲル。過去は舌戦を繰り返してきた2人の名将は、珍しく見事なハーモニーで日程への不満を口にしています。「忙しい時期というのはすべてのクラブではなく、一部だけだ(モウリーニョ)」「われわれはチャンピオンズリーグと2つのゲームで1週間に3試合もこなした後、8日も試合がない(ヴェンゲル)」。私たちなら、「プレミアリーグは日程がタイトですよね」で終わらせてしまいそうなこんな話を、調べて1本の記事に仕立ててしまうのがイギリス人です。

年末年始の基本的な日程は、ボクシングデー、大みそか、1月2日なのですが、このとおりに試合があるのはWBAとバーンリーの2チームのみ。他のクラブは、ボクシングデーの試合が翌日以降にずれたり、年明けに2試合組まれたりして、体力回復に使える時間が増えたり減ったりしています。標準となるWBA・バーンリーと同様にゲーム間のトータルが170時間なのは、トッテナムとサンダーランド。なるほど、マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルは過酷なスケジュールなので2人は騒いでいるのかと思いきや、下を見ても彼らの名前はありません。

最もタイトなサウサンプトンが117時間、次がリヴァプールの143.75時間。レスター、ミドルズブラ、ハル・シティ、マンチェスター・シティが167時間台となっており、偶然ながらレスターを除く全チームが「プレミアリーグ経験が2年未満の監督」が指揮を執っているチームです。一方、間隔が緩いほうを見ると、マンチェスター・ユナイテッド、ウェストハム、ストークが172時間台、アーセナルとボーンマスはぐっと離れて198.75、スウォンジーは199、ワトフォードとクリスタル・パレスは201.5と大台に乗りました。プレミアリーグは20チームですから、これで全部出ましたよね。…え?ひとつ足りない?ちょっと待ってくださいね。

マジですか?チェルシー、223時間!

厳しいチームを見ていたときは、よくわかってない監督をこっちに寄せて、古株の監督は緩めにしてるのでは?などと穿った見方を楽しんでいたのですが、そんなことはなく、プレミアリーグ首位を快走しているコンテ監督が最高じゃないですか!チャンピオンズリーグがないうえに、年末からも中8日、4日、3日、3日のゆったり仕様。モウリーニョ監督とヴェンゲル監督がこれを知りながら文句いっていたのかどうかはわかりませんが、うっかり見てしまった私は、細かいことを調べて記事にするイギリス人記者に「知らなきゃよかった!」といいたくなりました。とりわけセインツとレッズのサポーターのみなさん、すみません。私が書かなければ、知らずに済んだかもしれませんね。ここはひとつ、除夜の鐘とともに忘れ去っていただければと思います。

話を変えましょう。イギリス人らしいちょっぴり閉鎖的な感覚がにじみ出ていたのは、スウォンジーのアメリカ人監督、ボブ・ブラッドリー監督の会見チェックです。世界3大ブックメーカーのひとつである「コーラル」がTwitterで入れたツッコミがこちら。

Bob Bradley calls football ‘soccer’, away matches ‘road games’ and penalties ‘PKs’.(ボブ・ブラッドリーはフットボールをサッカーと呼び、アウェイマッチをロードゲーム、ペナルティをPKという)」

同じ英語を話しながら、いい回しが違うアメリカ人だからこそ、槍玉に挙がったわけですね。ちなみに、イギリスとアメリカでどれだけ違うかがわかるように、「ウォール・ストリート・ジャーナル」を参考に例文を作成してみました。

■イギリス風
「充実したトレーニングの後、マッチデーを迎えた。サポーターは満員、ピッチの具合は上々。これぞフットボールだ。ペナルティを決めたわれわれがクリーンシートで勝利し、ドレッシングルームは大盛り上がり。この結果、順位テーブルの最上位に躍進した。フィクスチャーをみると年末年始はきついが、今の調子なら問題はないだろう」

■アメリカ風
「充実したプラクティスの後、ゲームを迎えた。ファンは満員、フィールドの具合は上々。これぞサッカーだ。PKを決めたわれわれがシャットアウトで勝利し、ロッカールームは大盛り上がり。この結果、スタンディングの最上位に躍進した。スケジュールをみると年末年始はきついが、今の調子なら問題はないだろう」

「BBC」が、スワンズの監督が「ボキャブラリーは問題ではない、大事なのはメッセージの中身」と語っている動画を配信すると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者は、「会見の映像を調べた結果、ブラッドリー監督が使っているのはゲーム、フィールド、ファンぐらい」とフォロー。いやいや、大変ですね。ちなみに、新聞の記事ではペナルティキック、ファン、ゲーム、スケジュールは使われており、あまり見かけないのはプラクティス、シャットアウト、スタンディングぐらいです。以上、細かいネタをいじるのが好きで、アメリカ、フランス、スペイン、イタリアあたりには嬉々としてツッコミを入れるイギリス人らしい記事を紹介させていただきました。日頃からあちらのメディアにどっぷり浸かっており、小ネタをおもしろがる人見知りな私としては、記者のみなさんのお気持ち、わかります。

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“「年末年始の日程はどこが得?」「アメリカ人監督の言葉遣いにツッコミ」イギリス紙らしい小ネタを紹介!” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    非常に面白い記事をありがとうございます。
    いろいろな論文を読む機会があり、アメリカ英語とイギリス英語の違いにときどき苦戦するのですが、サッカーもといフットボールの世界での英語もこうして考えると面白いですね。
    年末年始のプレミアリーグは観る側からすれば、ゆっくり見れるので指揮官方には申し訳ないですがなくなるのは勘弁を 笑

  2. makoto より:

    yutoさん>
    私は、語彙も発音もアメリカ英語が厳しいです。年末年始は、サポーターの立場からいえば、現地で多くの試合を観るチャンスなんですよね(フラットにみれば、ウインターブレイクを導入すべしですが…悩ましい)。

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