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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Tottenham×Chelsea】チェルシーが怒涛の4発で逆転!勝利の立役者はサンチョか、キットマンか?

キックオフからわずか11分、往復ビンタのような2発!トッテナム・ホットスパー・スタジアムに乗り込んだチェルシーは、最悪のスタートでした。5分にバディアシルがコルウィルに戻し、左のククレジャにつながると、ブレナン・ジョンソンに詰められたSBはまさかのスリップで、ボールをさらわれてしまいました。

フリーで上がったブレナン・ジョンソンは、早いタイミングでクロスをフィード。ニアでコルウィルの前に入ったソランケが、右足でプッシュしました。早く追いつきたいチェルシーは、9分からの60秒で3回も自陣で奪われています。致命傷は、ククレジャの2度めのスリップ。奪ったブレナン・ジョンソンはペドロ・ポロに預け、ボックス右手前のクルゼフスキにパスが出ました。

中央にまわり込んだ21番は、ロベルト・サンチェスの意表を突く右隅へのシュートでリードを広げました。スパイクを履き替えたククレジャは、もう少し早く対応していればと悔やんでいるのではないでしょうか。6勝はすべて3ゴール以上&2点差以上、6敗はすべて2ゴール以下&1点差のスパーズは、次のゴールを決めれば勝てるはずです。統計的には、ですが…。

机上の計算を吹き飛ばすようなアクシデントが発生したのは14分。クリスティアン・ロメロがピッチに寝転んだのを見たスパーズのベンチは、すぐにドラクシンに声をかけたようです。18分に左からカットインしたジェイドン・サンチョは、ペドロ・ポロを抜き去った後、ドラクシンを全く問題にせず、右隅に鋭いシュートを叩き込みました。

押しているのはチェルシー、スパーズは速攻狙い。24分に左からスプリントしたソン・フンミンは、右足のコントロールショットが惜しくも枠を外れました。コール・パルマーのミドルを、フォースターが左手でセーブしたのは31分。ボックス右でこぼれ球を拾ったペドロ・ネトがニアを狙うと、体勢を立て直したGKは左足でストップしました。

34分には、左からのCKを叩いたパペ・マタル・サールのヘッドがクロスバー直撃。直後、ロベルト・サンチェスのミスキックをパペ・マタル・サールがカットし、すかさず縦パスを受けたソン・フンミンがグラウンダーを入れると、ニアに走り込んだソランケのフィニッシュはGKの正面に飛んでしまいました。ここで追加点を決めていれば…!

38分にも、ロベルト・サンチェスが3分前と全く同じコースのミスキック。しかし今度は、パペ・マタル・サールがトラップをミスしてチャンスになりませんでした。41分にコール・パルマーのパスで右に流れたニコラス・ジャクソンは、ペドロ・ネトからもらった3分前と同様に、ドラクシンの足に当てています。

ククレジャのスリップに始まり、同じようなシーンが繰り返される奇妙な45分は、2-1のままで終わりました。ポゼッションは33%対67%、シュートは5対8、オンターゲットは3対3。マレスカ監督はハーフタイムにラヴィアを下げ、マロ・グストを投入しています。右サイドにいたカイセドを、センターにまわすのでしょう。

絶対的守護神と主軸のCBを欠いたスパーズは、後半開始早々に決定機を創られています。ククレジャとのワンツーで、サンチョがゴール前に躍り出たのは48分。至近距離からの右足のシュートは、咄嗟に左手を出したフォースターのビッグセーブに阻まれました。52分のエンソ・フェルナンデスのコントロールショットは、右ポストすれすれを抜けていきました。

53分にブレナン・ジョンソンが負傷リタイアで、代役はヴェルナー。57分にマロ・グストが右から打ったミドルは、ハイテンションのフォースターが左に弾いてCKです。チェルシーが追いついたのは60分。左サイドでヴェルナーを翻弄したサンチョがボックス左に転がすと、イヴ・ビスマがカイセドを倒してしまい、PKを外さないコール・パルマーが左隅に決めました。

スパーズの久々の決定機は68分。左サイドに浮いたボールを追ったソン・フンミンがドリブルでゴールに向かい、ロベルト・サンチェスと1対1になりました。エースは右に外してしまい、5分後にチェルシーが逆転ゴール。右サイドでウドジェを抜き去り、パペ・マタル・サールを振り回したコール・パルマーのシュートがファン・デ・フェンに当たり、左に流れていきます。

左足のボレーを左隅に突き刺したのは、エンソ・フェルナンデス!79分にジェームズ・マディソン、ベルヴァル、アーチー・グレイを継ぎ込んだポステコグルー監督の策は実らず、84分に決定的なゴールを喰らってしまいました。左サイドでソン・フンミンが奪われ、カウンター発動。ドリブルで上がったサンチョは一気に決めにいかず、右に流れたコール・パルマーに預けました。

パスをつないでもチャンスにならないと見切った20番は、パペ・マタル・サールのチャージを待っていたように見えました。MFが左足を出した瞬間に体を入れて転倒。2度めのPKは、パネンカです。2-4となっても勝負を諦めなかったスパーズは、左サイドでジョアン・フェリックスを抜いたジェームズ・マディソンの折り返しをソン・フンミンが押し込んだのですが…。

追加タイムは残り1分を切っており、3-4でチェルシーが勝利。2失点の元凶となったククレジャは、スリップをいじるTシャツを作られずにすみそうです。ペドロ・ポロとドラクシンがサンチョに自由を与え、パペ・マタル・サールがコール・パルマーに完敗した一戦。左右のサイドに出没したテクニシャンと右から仕掛けるプレーメイカーは、2人合わせてドリブル成功6回です。

メディアの称賛は、ヤヤ・トゥレが保持していた「プレミアリーグの最初のPKから11本連続成功」という記録を塗り替えたコール・パルマーに集中しているようです。しかし試合の展開を振り返ると、1点差に詰め寄るゴール、後半のラッシュ、同点PKを生み出したサンチョを逆転の立役者と呼びたくなります。

そしてもうひとり、すぐにククレジャにブーツを差し出したキットマンも、左サイドの守備に絶大な貢献をしたといえるでしょう。一方、望外の2ゴールを得たポステコグルー監督にとっては、ただの逆転負けではありません。金曜日にトレーニングに戻ったばかりのロメロと、12月中旬の復帰予定だったファン・デ・フェンがダブルで負傷リタイアというショッキングな一戦でした。

単独2位となったマレスカ監督は称えられ、7敗めを喫したポステコグルー監督は解任説がヒートアップ。フォファナが離脱してもディサシとアダラビオヨをベンチに置ける監督と、夏にCBを補強してもらえず、ロメロ、ファン・デ・フェン、ベン・デイヴィスを失った監督は、残酷なコントラストを描いています。フットボールの世界は常にアンフェア。抗う手段は、勝つのみです。


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