激昂ヴェンゲル、こねくりラニエリ、絶望ペップ…今週の「しくじり指揮官」反省の弁
いつもどおりに不満をコントロールできていれば、同点にされた5分後、アレクシス・サンチェスのクールなキックを見て拳を握りしめていたでしょう。「最後まで諦めずに戦え」と選手を鼓舞するのが仕事であるはずの指揮官は、「最後まで冷静に戦えればチャンスは巡ってくる」と、アレクシス・サンチェスとコシールニーに諭された格好となりました。FAの処分待ちの身となったヴェンゲル監督は、大事なチェルシー戦でピッチにいられなくなるかもしれません。いや、しくじりました。しかし、しくじったのは御大ばかりではありません。ロンドン勢以外は残念な結果に終わったプレミアリーグ22節は、反省の弁がそこかしこから聞こえてくる「しくじり指揮官語録」大豊作でした。
昨季の順位で紹介してまいりましょう。プレミアリーグ王者に輝いてから、たった8ヵ月で降格候補になってしまったレスターのラニエリ監督は、「ティンカーマン(こねくりまわし屋)」という過去のありがたくないニックネームを復活させられるかもしれません。メンバーもフォーメーションも固定して優勝した指揮官は、最近は毎試合のようにモデルチェンジを敢行。チェルシー戦は3バックで0-3と完敗し、元に戻すかと思いきや、サウサンプトン戦では岡崎慎司をトップ下に据える4-3-1-2。試合後に「戦術のトレーニングをしたのか」という質問まで出るほど空回りしたレスターは、前節に引き続き3-0で敗れました。「選手たちは4-4-2や4-4-1-1で戦うことに慣れている。私が間違っていた。最近2試合の敗戦の責任は私にある」。後悔先に立たず、反省の弁は後を絶たず。レスターに必要なのは、強かった昨季のエッセンスを捉え直すこと、ナンパリス・メンディと新戦力のエンディディを中盤で機能させることに加えて、腰を据えて戦うことでしょう。
トッテナムとのホームゲームで2点リードしたにも関わらず、追いつかれてしまったマンチェスター・シティのボスもまた、冴えないコメントを残すしかありませんでした。2本しかなかった枠内シュートをいずれも決められ、エヴァートン戦の4本4ゴールと合わせて「最後にオンターゲットをセーブしてから180分が経過した」と書かれてしまったブラボですが、デル・アリとソン・フンミンのシュートを止めろというのは酷でした。試合前の会見で、「私が彼ら(選手たち)にとって充分ではないのかもしれない」「私がここに来ることに対する期待が過剰だったのだろう」「10連勝でメディアが強さを誇張したが、事実はわれわれは構築している最中だったということ」と、弱気な発言に終始していたペップは、ドローで終わったゲームの後も前向きな発言はありませんでした。
プレミアリーグ初年度で悪戦苦闘しているペップは、守備を立て直して勝ち続け、チェルシーが落ちてくるのを待つしか道はありません。最後に登場する「しくじり指揮官」は、最下位スウォンジーに本拠地アンフィールドで敗れたリヴァプールのクロップ監督です。
「最もがっかりしたのは3失点めだ。あれは間違いだらけだった。ゴールを奪った後、守ることにスイッチできなかったのが最大のミスだ。ボールを奪って次のチャンスを創れたはずだったけど、相手にチャンスを活かされてしまい、最後はスウォンジーの選手たちがこちらのエリアでフリーになった。ナンセンスだ」
前半戦終了時には2位につけていたリヴァプールは、コウチーニョ、ヘンダーソン、マティプ、マネと主力が入れ替わりでチームを離れたことでバランスを崩し、年明けのプレミアリーグで3戦未勝利。EFLカップに勝ち残っているため、中3日、2日、2日とタイトなスケジュールが続くなか、難しいやりくりを強いられています。カップ戦では、ミルナーを中盤に上げてクラヴァンを左、デヤン・ロブレンとマティプをCBといったチューニングを施し、将来の選択肢を増やすなどの工夫をしてもいいかもしれません。準決勝まで進んだEFLカップを捨てるわけにもいきませんが、今季の最大のミッションは、プレミアリーグで4位以内に食い込むことでしょう。
以上、4人のしくじり先生を紹介してまいりました。リヴァプールの次戦はチェルシー、マン・シティは復調ウェストハムとのアウェイゲーム、プレミアリーグでは敵地でからきしのレスターはしぶといバーンリーが相手で、快勝は難しそうです。とはいえ、ここが踏ん張りどころ。それぞれ、試合後のインタビューで、歯切れのいいジョークを聞かせていただけることを祈っております。
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グーナーとしての意見でしかありませんが、監督の退席処分には
ポジティブな意味もネガティブな意味があると思いますが、
今回のケースは「たまにはあんなヴェンゲルも悪くない」のかなとは思っています。
「絶対に落としたくない試合」というのは共通認識のなかでのPKだったので、
コクランを気落ちさせないためであるとか、仮に同点で終わった場合の責任を
審判のためにしておくとか、多少頭にあってのパフォーマンスだったのかなと思います。
現に勝ってしまったので、「ここは謝るのが得策かな」とあっさり謝ってしまうあたり、
最善かは別としても、政治家としても一流なのだなあと思っています。
ともあれ、監督抜きのチェルシー戦がまずいことに変わりはなく。
選手にはぜひがんばってもらいたいです
ひろとさん>
率直な方なので、計算はないのではないでしょうか。あまりにもピュアな怒りで、人間らしくて、糾弾する気にはなれないですね。