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レスター新監督にクロード・ピュエル…現地メディアは守備的な戦術を疑問視!

果たして、今のレスターにフィットするのでしょうか。一時はプレミアリーグ降格ゾーンに低迷し、クレイグ・シェイクスピア監督を解任したクラブが新監督を発表しました。昨季までサウサンプトンで指揮を執っていたクロード・ピュエル監督は、守備戦術に長けているという面ではラニエリ、シェイクスピアの流れを汲む後継者として悪くないのかもしれません。レスターの副会長のアイヤワット・スリバッダナプラバ氏は、「クロード・ピュエルは完璧にフィットしている」と絶賛していますが、現地メディアの評判はいいとはいえません。地元紙「レスター・マーキュリー」と「BBC」の意見に耳を傾けてみましょう。

「若手を育てることに長けているが、サウサンプトンではプレミアリーグ38試合で41ゴールしか決められなかった。守備的すぎる戦術はファンの不満を呼んだ」(レスター・マーキュリー)
「彼の就任は、シェイクスピアが解任となった際に多くのサポーターが期待したものではない。守備的な戦術にセント・メアリーズは寒くなっていた。フランス人の問題は、サポーターと絆を結ぼうとしなかった控えめな性格にある。彼の招聘には多くの疑問の声があるだろう。賢明な選択とは決していえない」(BBC)

サウサンプトンで就任1年めだったピュエル監督は、12勝10分16敗の8位というまずまずの順位で昨季プレミアリーグを終えたものの、「レスター・マーキュリー」が指摘する総得点41と失点48は、いずれもクーマン監督が率いた2年から悪化しています。とりわけ攻撃力の弱さは、セント・メアリーズのサポーターの不興を買っていました。エースと目されていたチャーリー・オースティンの負傷というアクシデントはあったものの、トップスコアラーが7ゴールのネイサン・レドモンドというのはほめられたスタッツではありません。ボールを奪うと一斉にスプリントを始めるポチェッティーノ監督のサッカーや、グラツィアーノ・ペッレに長いボールを入れて一気にゴールに近づくクーマン戦術に対して、横や後ろに出るセーフティなパスが多かったのが印象的です。

一方、リスペクトできるのは、EFLカップのファイナル進出と、レギュラーCBを失った後も16試合22失点で耐えたことです。あまり話題にならなかったのですが、EFLカップでは決勝までの5試合を無失点。敵地エミレーツでアーセナルに0-2と完勝した5回戦と、ホーム&アウェイの180分でリヴァプールに何もさせなかったセミファイナルは素晴らしい出来でした。マンチェスター・ユナイテッドとのファイナルではズラタンに2発喰らって3-2で優勝を逃したものの、前半のガッビアディーニのゴールがオフサイドとされなければ違う結果になっていたかもしれません。2009-2010シーズンにオリンピック・リヨンを率いてチャンピオンズリーグでレアル・マドリードを下し、ベスト4に食い込んだ指揮官の面目躍如です。

ファン・ダイクとフォンテを最終ラインの中央に据えた堅守こそがサウサンプトンの武器でしたが、昨季は冬のマーケットでフォンテがウェストハムに去り、ファン・ダイクは1月末の負傷で長期離脱。吉田麻也とスティーブンスという急造コンビでの戦いを強いられたピュエル監督は、守備陣の再編についてはよくやったとは思います。しかし、最終的に彼の立場を危うくしたのは、守りを重視し過ぎた戦術でした。昨季プレミアリーグの最後の8試合でわずか4ゴール。1勝3分4敗という数字は、奇しくもシェイクスピア監督が解任された際のレスターの戦績と同じです。プレミアリーグ8位という納得の順位にクラブを着地させながらも、ゴールの少なさと終盤の失速で経営陣やサポーターの信頼を失った指揮官は、2年めを迎えることができませんでした。

さて、レスターです。解任されたシェイクスピア監督がプレミアリーグ開幕から8戦で1勝しかできなかったのは確かですが、敗れた4試合はいずれもTOP6で、中堅以下のクラブには負けていませんでした。それでも指揮官が見切りをつけられたのは、ラニエリ戦術をトレースしただけの戦い方に未来が感じられなかったからでしょう。ピュエル監督に求められるのは、堅守と鋭いカウンターをベースとしながら、イヘアナチョやデマライ・グレイらを活かして攻撃のバリエーションを増やし、自ら勝ちにいけるチームにモデルチェンジすることだと思われます。

…となると、果たしてピュエルが適任だったのでしょうか。彼の名前が出たとき、シェイクスピア監督のどこが不満だったのかがわからなくなりました。ジョークが大好きな明るいラニエリから人望が厚かったシェイクスピアと、これまでモチベーターが指揮を執っていたチームに、クールな戦術家がうまくはまるかという懸念もあります。モナコ、リール、リヨン、ニースを率いてきたフランス人監督は、これまで指揮を執ったチームの順位の変動が激しく、ひとたびバランスを崩すと立て直しに時間がかかるタイプのようです。現地メディア同様に、私も疑心暗鬼ではありますが、フットボールは何が起こるかわかりません。まずは日曜日のプレミアリーグ10節、エヴァートンとの「解任ほやほや対決」に注目することといたしましょう。

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