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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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現地メディアの多数派は「残留」…アーセナルのヴィニシウス獲得における最大のハードルとは?

ヴィニシウス・ジュニオールのアーセナル移籍に関する報道を見る限り、「26歳になったウインガーはレアル・マドリードに不満を抱いている」「ミケル・アルテタ監督が獲得したがっており、最重要ターゲットとなっている」という2点は事実のようです。とはいえ実現の可能性は低く、エル・ブランコとウインガーが新たな契約を締結して終わりとなりそうな雲行きです。

プレミアリーグとチャンピオンズリーグの2冠をめざすアーセナルにとって、ヴィニシウスの加入は絶大なメリットがあります。左サイドを主戦場とするブラジル代表のドリブラーは、チームの戦術に革命を起こせる存在です。2025-26シーズンのレアル・マドリードは、左サイドからのアタックの比率が43%となっており、ラ・リーガでこれを超えるチームはありません。

2022-23シーズンのアーセナルは左右の比率が35%対39%で、ウーデゴーアとマルティネッリが15ゴール、サカが14ゴールとバランスが取れていました。しかし2024-25シーズンは左が33%で右は43%。昨シーズンも32%対42%。レアル・マドリードとは真逆の右サイド偏重となっています。トロサールとマルティネッリを足してもプレミアリーグで7ゴールは、喫緊の課題です。

ドリブルで相手を振り回せるヴィニシウスは、世界屈指のラインブレーカーで、ニアとファーのシュートの比率が変わらないのも大きな魅力といえます。昨シーズンの公式戦53試合22ゴール14アシストという数字は、文句のつけようがありません。突破力ならジェレミー・ドクの肩を持つファンもいそうですが、得点力を加えるとヴィニシウスが上というのが大方の評価でしょう。

ただし、ミケル・アルテタの戦術というフィルターを通すと、守備力というリスクが浮き彫りになります。タックルやインターセプトなどのスタッツは、ラ・リーガのFWのなかでは平均を下回っています。マルティネッリの必死の守備を見慣れたグーナーたちは、ヴィニシウスの背後にパスが通るたびにため息をつくのではないでしょうか。

アルバロ・アルベロアのチームでは、ムバッペとともに前線に残ることを許容されるシーンが多かったようですが、カウンターに長けた下位チームが揃うプレミアリーグでは、攻撃から守備のトランジションは重要です。クラブとサポーターに愛されたいキャラゆえ、ひとたび歯車が狂ってスタンドが不穏な空気になれば、ロッカールームの火種となってしまうかもしれません。

「アーセナルは、1億3700万ポンドといわれる移籍金を支払う用意がある」という見出しに触れると、モーガン・ロジャースのときはケチったのに…とツッコミを入れたくなりますが、イングランド代表のアタッカーより格段に高く評価しているのでしょう。冒頭で「実現の可能性は低い」と書いたのは、高額の移籍金よりサラリーがハードルになると思われるからです。

2025-26シーズンのヴィニシウスの年俸は2140万ポンドだそうで、週給に換算すると41万ポンド以上。リヴァプールがサラーに提示した破格の条件を上回っており、プレミアリーグでこれを超えるのはハーランドだけです。契約が残り1年になっても延長交渉が難航している理由として、「ヴィニシウスがムバッペと同水準の3000万ユーロ(2570万ポンド)を要求している」という報道があります。

レアル・マドリードに残りたいウインガーが、愛情か評価を示せといっているだけなのかもしれませんが…。アーセナルがこの額を認めたら、サラリー体系が崩れてしまい、ブカヨ・サカやデクラン・ライスの代理人が動き出すでしょう。アルテタ監督は、メスト・エジルの週給35万ポンドがトリガーとなった体系の崩壊と再構築という苦い経験を覚えているはずです。

ヴィニシウスが難しければ、バルコラか、ニコ・ウィリアムズか。パリのアタッカーは移籍金1億4500万ポンドと報じられており、アスレティック・ビルバオがウインガーと握ったバイアウト条項は7700万ポンドといわれています。左サイドのテコ入れに異議はないものの、マルティネッリのファンとして、4年前の輝きを取り戻してくれればと秘かに期待しているのですが…。


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