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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マルティネッリ、ツォリス、ヴィニシウス…アーセナルの補強と売却をどう評価するか?

ピエロ・インカピエは3450万ポンド、クリストス・ツォリスは3400万ポンド、ブルーノ・ギマランイスは7500万ポンド、エズリ・コンサは5100万ポンド。リーズとの契約が満了したイラン・メリエは、フリーで獲得しています。トランスファーマーケットで1億9000万ポンドを投じたアーセナルは、前進したといえるでしょう。

この夏のトピックスは、新戦力の獲得だけではありません。エドゥ・ガスパールの手腕をもってしても、これほどスカッドの整理ができた年はなかったでしょう。ノアゴーア、キヴィオル、トロサール、ファビオ・ヴィエイラ、ガブリエウ・ジェズス、カール・ハインが退団。昨日、マルティネッリのアル・ヒラル移籍が決まり、売却の総額は1億1000万ポンドを超えています

マルティネッリの最大6000万ポンドは、2017年にリヴァプールに移籍したオックスレイド=チェンバレンの3500万ポンドを上回るクラブレコードです。ルイス・スケリーの残留と、ヌワネリを売らずにドルトムントへのローン移籍に留めたのも評価できます。サラリーが高額だった2人のブラジル人が離脱したため、週給80万ポンド以上のコストダウンを実現とも報じられています。

いくつかの明確な成果があっても、スカッドのスリム化が進んでも、ジャーナリストとグーナーの評価はさほど高くないようです。「われわれは、さらに上のレベルをめざしたい。しかしそのためには、とても野心的かつスピーディー、スマートに行動しなければならない」(ミケル・アルテタ)。懸案だった左サイドの新戦力獲得に失敗しており、攻撃力が高まったとはいえないからでしょう。

アーセナルがつまずいたきっかけは、マンチェスター・シティがエリオット・アンダーソンに1億1600万ポンドを投じたことです。これによって、中小クラブが主力の移籍金を吊り上げました。最重要ターゲットのモーガン・ロジャースを8000万ポンドと評価していたアーセナルにとって、アストン・ヴィラの1億ポンド以上の高額請求は、すんなり呑める話ではありませんでした。

アンドレア・ベルタSDは、難易度が高いディールの際に、エージェントを動かしてアドバンテージを生み出そうとすることがあります。このアプローチは、時に選手自身やクラブを困惑させるようです。ブルーノ・ギマランイスを獲得するとき、ニューカッスルは「なぜ直接話そうとしないのか」と困惑していたと伝えられています。

モーガン・ロジャースをチェルシーにハイジャックされたのは、アストン・ヴィラとの交渉が進まないなかで、本人が焦れてしまったからといわれています。アーセナルのオファーを承諾していたアタッカーは、デクラン・ライスやカラフィオーリ、ギョケレスのようにアーセナルを信じて待ってくれるタイプではありませんでした。

バーミンガムとイングランド代表に対して、同時に猛烈なアタックを展開したチェルシーは、数日で強奪を成功させました。アストン・ヴィラは、先に声をかけてきたアーセナルに「ブルーズと同額のオファーがあれば検討する」と打診したのですが、自らの評価にこだわるアンドレア・ベルタSDは辞退したそうです。それならヴィニシウス・ジュニオールと考えていたのでしょう。

レアル・マドリードとの契約延長交渉で揉めていたヴィニシウスも、バルセロナに行きたがっていたフリアン・アルバレスも、アーセナルを選びませんでした。スペインの名門のブランドに加えて、サラリーの額やビッグイヤー獲得の可能性などをトータルに判断されたのだと思われます。これらのディールは、元より劣勢のギャンブルだったとわかっていたはずです。

既にトロサールを売却していたアーセナルが、ヴィニシウスをターゲットにしたのは理解できるのですが、フリアン・アルバレスは大いに疑問があります。アルテタ監督の戦術にフィットし、チームのために全力で戦うプレーヤーを揃えてきたクラブは、駄々っ子のように移籍をせがむセンターフォワードに何を求めたのか…!

パリのブラッドリー・バルコラにアプローチしなかったのは、1億ポンドを超えるオーダーに応える気がなかったからでしょう。最後に名前が挙がったリヨンのマリク・フォファナを獲得したら、「それならマルティネッリをなぜ売るのか!」と、総ツッコミが入っていたはずです。かくしてアーセナルは、ツォリスとエゼを左サイドに配して戦うことになりました。

マルティネッリのサウジ移籍は寂しい限りですが、早期に放出すると決めていたのだと思われます。ディールが成立するまでに、残留に舵を切るタイミングが何度もありましたが、指揮官とSDに迷いは感じられませんでした。思い出を辿ると、残ってほしくなるものですが、負傷をきっかけにスピードも連携のクオリティも落ちてしまったと判断したのでしょう。

マーケットがオープンになってすぐの1億ポンド超えで、ビッグ6の戦略は2つに分かれました。相場の変化を受け入れたマン・シティ、チェルシー、スパーズは高額の請求書に躊躇せず、マン・ユナイテッド、リヴァプール、アーセナルは自らの評価とコスパにこだわりました。カードゲームのように、補強と売却が勝負を決めるのであれば、アーセナルは優勝候補から外すべきです。

しかし実際に最終的な順位を決めるのは、指揮官の采配と選手のパフォーマンスです。アルテタ監督が現有戦力をうまく動かし、得点力を高められれば、連覇に辿り着ける可能性は充分にあります。ハリー・ケインを獲り逃した後、デブライネを偽9番に据えたペップのように。4バックがうまくいかず、ヴィクター・モーゼスの抜擢で3-4-3を完成させたコンテのように。

クラブ・ブルッヘから来たツォリスは、モーガン・ロジャースを上回るスタッツを叩き出すかもしれません。エベレチ・エゼがあのシーズンのグリーリッシュになってくれれば、トレブルが現実味を帯びてくるでしょう。ノニ・マドゥエケを左にまわすより、ルイス=スケリーを上げたほうがおもしろいのではないかと思います。指揮官の新たな戦い方に注目しましょう。


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