2026.09.22 アーセナルの話題
まさに桶狭間の戦い!ブライトンの若き指揮官が企てた「アーセナルにクリーンシートで勝つ方法」
アルテタ監督とスタッフは、今季のブライトンが特筆すべきスタッツを残しているのはわかっていたでしょう。プレミアリーグ4節までの13ゴールは最多で、平均ポゼッション、ビッグチャンスクリエイト、ターンオーバー、1試合あたりのオンターゲットとxG(ゴール期待値)もTOP。直前のカラバオカップでは、マンチェスター・ユナイテッドに2-0から逆転勝利を決めています。
とはいえ、2節のチェルシー戦は4-3で敗れており、ファン・ヘッケとフェルトマンが抜けた最終ラインは堅牢とはいえません。アーセナル戦は三笘薫、ヤンクバ・ミンテ、ルイス・ダンクが欠場。4-2-3-1の前線のサイドには、トップ下のディエゴ・ゴメスとSBのデカイペルが入っていました。ガナーズの指揮官は、主力を揃えていつもの戦い方を貫けば勝てると考えていたようです。
コミュニティシールドでマンチェスター・シティに3‐0で完勝し、開幕から7連勝と順調だったアーセナルに何が起こったのか。10日間でアウェイ4連戦というタイトなスケジュールは、終盤のペースダウンの理由にはなっても、キックオフからの大混乱の説明にはなりえないでしょう。勝者と敗者の言葉を聞くと、33歳の策士が仕組んだ「桶狭間の戦い」の糸口が見えてきます。
「キーとなったのは、デュエルに臨んだ際に、常にチームメイトが後ろで支えてくれているという感覚を持つことだった。誰かが相手に圧倒されても、次がいる。戦術的なアプローチが語られることもあるけど、お互いに頼り合えるかが重要だ。全員が『守備を優先しなければならない』という意識を持っていた。最も重要なのは、クリーンシートで勝つことだった」(ファビアン・ヒュルツェラー)
「最初のスローインで、ブライトンのフィジカルの強さとチームの課題に気づいた。自陣でのテクニカルなミスが多すぎた。マンツーマンの局面から抜け出すために必要なプリンシプルを、まったく守っていなかった。われわれは常に守勢にまわっており、ゲームをコントロールするのが難しくなってしまった」(ミケル・アルテタ)
彼らのコメントを頭の隅に置いて、最初の10分を振り返ってみましょう。キックオフから、右サイドを攻めたブライトン。アルテタ監督が語る「最初のスローイン」は、カラフィオーリがブルーノ・ギマランイスに預け、2人に詰められたMFが後ろのガブリエウにつないで前に蹴り出したシーンでしょう。ディエゴ・ゴメスがカットしたボールに突進したのは、カドゥオールでした。
後方に戻したボールをフェルブルッヘンが敵陣に送ると、カラフィオーリはスローインの出しどころに迷い、イーブンの勝負となるロングスローを選択しました。ボールは再び右サイドにまわり、コストゥラスに詰められたガブリエウがラヤに戻すと、ブカヨ・サカに出したはずのロングフィードは誰もいないエリアを横切り、タッチラインを越えていきました。
ここからは左サイド。いつの間にかこちらにまわっていたコストゥラスをチュマ・アンドレスがフォローし、ボックス左に出たパスカル・グロスに縦パスを通しました。グラウンダーに対応したカラフィオーリのクリアは、キックミス。カドゥオールがダイレクトで放ったシュートがゴール裏に飛び込みました。ここからのデュエルは、青いシャツが全勝です。
マンツーマンのプレスに戸惑ったブルーノ・ギマランイスは、7分のイージーなパスミスで速攻を招いてしまいました。ディエゴ・ゴメス、デカイペル、コストゥラスが仕掛けた中央突破は、19歳のストライカーのシュートにラヤが触ってCKです。左からのキックをファーにいたディエゴ・ゴメスが折り返すと、アヤリのシュートはブルーノ・ギマランイスがブロックしました。
セットピースで、ヴィシュコヴィッチとともにゴール前にいたチェマ・アンドレスは190cm。指揮官が169cmのヤルクイエを外し、初先発となる21歳の新戦力を抜擢した理由は、後半の3点めで明らかになります。正確なフィードに定評があるラヤは、15分までに3本をミス。デクラン・ライスとウーデゴーアが下りてきたのは、苦し気なビルドアップを放置できなかったからでしょう。
前半に喰らった2本のミドルは、アーセナルらしからぬ判断ミスによるものでした。パスカル・グロスにパスが出た瞬間、カラフィオーリが下がったため、ニアへのコースが空いてしまいました。前半終了間際の速攻では、コストゥラスの前にいたガブリエウとコンサがどちらも間合いを詰めず、左隅への一撃に対して無力でした。最初の10分でメンタルをやられていたのでしょう。
ブライトンの素晴らしい数字を、もうひとつ紹介しましょう。敵陣でのボール奪取35回は、エヴァートンの27回を大きく引き離すぶっちぎりのTOP。アルテタ監督の就任以来、アーセナルが9回もボールをロストしたのは、2023年12月のリヴァプール戦と土曜日の一戦だけです。ヒュルツェラー監督が語る「守備を優先」は、前線で獰猛に追いかけまわして奪うことだったのです。
一気に敵陣に殺到し、相手が陣形を整える前にゴールを陥れる桶狭間スタイル。アーセナルはダメージを引きずるのか。ライバルチームはブライトンを模倣するのか。いや、これほど徹底的なマンツーマンプレスを最後まで貫けるチームは、すぐには出てこないでしょう。「彼らの方が優れたチームだった」と認めたアルテタ監督は、既に対策を考え始めているはずです。
ファン・ヘッケ、フェルトマン、バレバ、ウェルベックを失ったのに、コストゥラスとヴシュコヴィッチの19歳コンビと23歳のディエゴ・ゴメス、22歳のアヤリを活かして首位の足をすくった若き監督を称えましょう。絶賛ブレイク中の若手たちには、マン・ユナイテッドがたじろぐお値段のタグが付くのでしょう。チェルシーのスカウトのみなさん、来年の夏も大豊作です!
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