2026.09.26 マンチェスター・シティの話題
PSR違反を問われたマンチェスター・シティに114件の有罪判決。ペナルティはどうなる…?
事件の発端は、2018年11月。「フットボール・リークス」がマンチェスター・シティの大量の内部メールや財務関連の機密文書を流出させ、ドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル」が財政的な不正があったと告発しました。主な容疑は、「オーナーからの資金提供をコマーシャル収入として偽装した」「監督や選手へのサラリーを帳簿外の支払いにした」の2トップです。
ドイツ発のリークを受けて、UEFAがFFP違反のペナルティを宣告したのは、2020年3月でした。欧州がイングランドより早く結論に至ったのは、独立委員会の規模が大きかったことに加え、FFPには5年で時効というルールがあったからです。2年間のCL出場停止、2680万ポンドの罰金というマイルドな判決は、5ヵ月後にスポーツ仲裁裁判所(CAS)によって覆されてしまいました。
逆転勝訴に至った理由を簡単にいうと、「時間切れ」「証拠不十分」というヤツです。UEFAと並行して調査を進めていたプレミアリーグは、PSRに時効を設けていなかったため、対象期間は2009年から2018年の10年に広がりました。この間にマン・シティはプレミアリーグとカラバオカップをそれぞれ3回制覇し、FAカップとコミュニティシールドのトロフィーも獲得しています。
最終的な容疑が115件という途方もない数字に膨らんだのは、正しい財務情報や選手と監督に対する支払い明細を提供しなかったことで、70件以上が立件されたからです。オーナーの関連会社からの資金提供を、エティハド航空などのメインスポンサーから支払われたと報告すれば、売上の水増しによって「3年間で1億500万ポンド以内の損失」というラインをクリアしやすくなります。
当時のロベルト・マンチーニ監督や選手たちに別ルートで報酬を支払っていた疑惑も、その分のコストを浮かせて新戦力の移籍金の枠を広げようとしたというお話です。チームの戦力増強に直結する不正であり、「知らなかった」「ついうっかり」といった釈明は通らないため、有罪が確定となれば重いペナルティは避けられないでしょう。この件は、CASに提訴することはできません。
特設のタイムラインで専門家の見解を集めた「BBC」では、「マン・シティは上訴する見通しで、結審がいつになるかはわからない」「今回の判決は序章にすぎない」といった声が多数派です。このタイミングで、処分のメニューは発表されるのか。数年前にPSR違反を問われたエヴァートンやノッティンガム・フォレストのようなポイントの剥奪だけではないはずです。
デヴィッド・オーンスタイン記者は、考えられるペナルティについて、「プレミアリーグのハンドブックのルールで説明されており、シティがルール違反を犯したとジャッジされれば、譴責、罰金、ポイント減点、さらにはプレミアリーグからの追放まで多岐にわたる処分が検討される。遡及的に適用される場合もあり、タイトルを剥奪される可能性もある」といっています。
対象期間中のタイトルがすべて剥奪となった場合は、マンチェスター・シティにトロフィーを持っていかれたリヴァプール、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、ストーク、サンダーランドは、繰り上がりのチャンピオンとなるのでしょうか。「被害者友の会」は、今さら大会の歴史に名を刻まれるといわれても納得しないでしょう。
2023-24シーズンにPSR違反でポイントを剥奪されたエヴァートンは、バーンリーに「降格させられた」とガン詰めされ、6月に4000万ポンドの損害賠償の支払いを命じられています。前例踏襲となれば、2億ポンド以上を請求される可能性があります。ここまですべて終わるのに、少なくとも3年はかかるのではないかと思われます。
事実がわかる資料を提出して調査に協力し、「裏技かもしれないけど違反ではないと認識していた」といえば、情状酌量の余地はあったのかもしれません。しかし全面対決で敗訴となり、組織ぐるみの犯罪と見做されれば、プレミアリーグからの追放…すなわちリーグ2への降格もありえます。シティズンのみなさんの気持ちを思うと、とても悲しい事件であり、残酷な宣告です。(シェイク・マンスール 写真著作者/Österreichische Außenministerium)
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