2026.10.02 マンチェスター・シティの話題
「どれほど辛くても、この状況と向き合わなければならない」シティズンだった記者の言葉。
かつて熱狂的なシティズンだったジャック・ピットブルック記者は、「How are Manchester City fans supposed to feel? By one of them(マンチェスター・シティのファンは、どう受け止めればいいのか? ひとりのファンの言葉)」と題した「アスレティック」の記事のなかで、最高の試合は2011年のFAカップ準決勝だったと述懐しています。
マンチェスター・ユナイテッドの最終ラインに、リオ・ファーディナンドとヴィディッチがいた頃です。52分にキャリックのミスパスをカットしたヤヤ・トゥレがファン・デル・サールの前に持ち込み、左隅に流し込んだのが唯一のゴールでした。ダービーを制したスカイブルーのチームは、1ヵ月後のウェンブリーでストークに勝ち切り、35年ぶりの戴冠を果たしています。
アブダビ・ユナイテッド・グループがクラブを買収してから18年、ペップ・グアルディオラが加わってから10年。QPR戦の93分にアグエロが決勝ゴールを叩き込んだ2011-12シーズンの逆転優勝、106ゴールを積み上げた2017-18シーズンの独走優勝、そして2022-2023シーズンのトレブル。一人ひとりのシティズンのなかに、それぞれの忘れえぬシーンがあるはずです。
「みんなが愛したシティというチームがどれほど素晴らしかったとしても、こんな形で構築されるべきではなかったと理解しなければならない。問題の核心には、スポーツに関する単純な問いがある。スポーツがルールによって定義され、形作られるものであり、ルールはすべての参加者が事前に合意したものと認めるなら、それを破ったら罰を科されなければならない」
現在はシティのファンではないという記者は、「かつて信仰していた宗教から離れた人と同じように、シティは今でも私のアイデンティティ、家族であり、人生にとって欠かせない存在だ」といっています。であれば、一連の報道のなかで続々と明かされる不正の実態に触れるのは苦痛でしょう。最終的なジャッジが、どう転んだとしても。
「これはピッチ上のルールと同様に、ピッチの外にも当てはまる。シティはルールに同意し、ルールを遵守するチームと競い合っていたのだ。財政のルールを無視してクラブを運営するのは、ルールをどう捉えるにせよ、12人の選手や2人のゴールキーパーでプレイしたり、オフサイドを自分たちの都合のいいように解釈したりするようなものだ」
マン・シティが主張する「反論の余地のない証拠」は、「スポンサーフィーを支払ったのはアブダビ政府であり、オーナーではない」というものだそうです。しかしこれは、独立委員会が「偽装資金提供スキームの実態を曖昧にし、事実を隠蔽するために、かなり後になってからでっち上げた説明」と切り捨てています。新たな証拠がなければ、控訴審は早々に決着するでしょう。
組織内のやりとりまで握られてしまっているなかで、「正当な資金調達しかしていない」という反論は通らないのではないかと思われます。しかもこの説明は、ロベルト・マンチーニ監督に支払われた別枠のコンサルフィーや、選手の肖像権料を虚偽の数字に書き換えたフォーダムとの継続的なディールには使えません。
無罪という完全勝利を得るために、プレミアリーグと全面対決となった副作用は大きく、「調査に協力しなかった」「関係者が意図的に虚偽の証言をした」といった罪状は消せなくなっています。「政府でありオーナーではない」という主張が事実なら、調査によって正当性を認めてもらったほうがよかったはずです。強気な姿勢は、もはや「自白」「時間稼ぎ」にしか見えません。
「今後何が起こるのか、どんな処分が下されるのか、近い将来シティがどのような姿になるのかについて、誰も確かなことはいえない。どのクラブにおいても唯一確かにいえるのは、ファンがこれからもそこにいるということだ。ずっと前からシティを応援し続けてきたファン、そしてこれからも長い間、評判の失墜による代償を払い続けなければならないファンでもある」
プレミアリーグのクラブの経営ボードに取材した「ガーディアン」によると、多くの幹部が「1シーズンのチャンピオンシップ降格だけでは不十分」「ペナルティを早期に決めてほしい」といっているそうです。「テレグラフ」は、「独立フットボール規制機関(IFR)は、オーナーが重大な不正を行ったと判断した場合、クラブの売却を強制する権限を持っている」と報じています。
ADUGにとっては、プレミアリーグによって得られる収益のために、できるだけ引き延ばすのが最善策なのかもしれません。しかしマンチェスター・シティの歴史とブランドのためには、早期の決着によってダメージを広げないことのほうが大事でしょう。ともに崖っぷちに立って、望まない状況を見つめているシティズンたちのためにも。
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