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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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マーク・ヒューズはなぜうまくいかなかったのか?補強に失敗し続けたストークの4年間。

まるで感電でもしたかのように…。今季プレミアリーグで解任の憂き目に遭った7人の指揮官のうち、最下位に転落して上がり目がなかったフランク・デブールとポール・クレメントを除く5人までが、降格ゾーンにタッチした瞬間にクビを告げられています。レスターのシェイクスピア、エヴァートンのクーマン、ウェストハムのビリッチは18位に落ちた直後。WBAのトニー・ピューリスは、18位ウェストハムと勝ち点1差の17位に沈んだのをきっかけにチームを追われました。一昨日、FAカップ3回戦でリーグ2(4部相当)のコヴェントリーに敗れた後に解任が発表されたストークのマーク・ヒューズ監督も、国内カップはあくまでもトリガーであり、直接的な原因はプレミアリーグ18位というポジションでしょう。

2013-14シーズンにトニー・ピューリスの後を継いだウェールズ人監督は、クラブ史上最高位のプレミアリーグ9位でシーズンを終えたことで、経営陣の信頼を得ることに成功しました。以来、2015-16シーズンまで3季連続で9位。昨季は13位に終わったものの、得失点は前年より失点がひとつ増えただけと安定しており、今季も悠々と中位を走るものと見られていました。しかし、今振り返れば、マーク・ヒューズの凋落は昨季の終盤から秘かに始まっていたのだと思われます。最後の10試合を2勝2分6敗で終えたチームは、2017-18シーズンも5勝5分12敗と同じようなペースで敗戦を重ね、18位に沈んでいます。今回の解任を受けて、イギリスメディア「BBC」が、「Where did it all go wrong for sacked Mark Hughes?(解任されたマーク・ヒューズはどこで間違ったのか?)」と題した記事を掲載していますが、彼らの分析は明確です。補強の失敗、守備の崩壊。いわれてみれば、ヒューズ体制になってからストークに加わった有力選手は、ことごとく結果を出せずに終わっています。

2013-14シーズンにバルセロナからやってきたムニエサは、ついぞレギュラーに定着できず。2014-15シーズンに加入したボージャン・クルキッチは、初年度に前十字靭帯損傷という重傷を負う不運はあったものの、フルシーズン活躍したのはプレミアリーグ27試合7ゴールという数字を残した2年めのみでした。2015-16シーズンにやはりバルサからフリーで呼び寄せたイブラヒム・アフェライは負傷に泣かされ続け、ハノーヴァー96から獲得したホセルはプレミアリーグ22試合4ゴールと期待外れに終わりました。

2016年1月、1830万ポンドというクラブレコードでゲットしたイムビュラが機能しなかったのは、大きな誤算でした。最大の失敗は、1年半前にWBAから移籍した後、プレミアリーグ23試合ノーゴールと未だ沈黙を続けているサイド・ベラヒーノです。同時に獲ったウィルフリード・ボニーは10試合2ゴールと期待を裏切り、起用法に不満をいいながら古巣スワンズに去っていきました。まずまずでも成功といえるのは、右サイドのチャンスメイカーとして定着しているシェルダン・シャキリと中盤のジョー・アレン、バトランド長期離脱の穴を埋めたリー・グラントぐらいです。これだけ多くの選手が空回りしてきた事実を示されれば、指揮官の責任はゼロというわけにはいかないでしょう。

今季も、ここまでは補強がうまくいったとはいえません。トッテナムから来たCBケヴィン・ヴィマーは守備崩壊の原因のひとつとなってしまった感があり、レアル・マドリードやパリ・サンジェルマンでプレイしていたヘセ・ロドリゲスも、序盤の先発7試合で1発しか決められずに苦しいシーズンを過ごしています。ブルーノ・マルティンス・インディ、ショークロス、ヴィマー、ズマが揃った守備陣と中盤の連携が冴えず、プレミアリーグ12試合連続失点中のチームについて、「BBC」は「ピューリスが築いたストークの守備力はヒューズの下で壊れ、改善の兆しはない」と冷たくいい放っています。育ち始めた苗に水をやるのはうまかったが、自ら見つけてきた種に芽を出させることはできなかった。ストークの前指揮官には、そんな評価が妥当なのかもしれません。ポテンシャルの高い選手が揃っているチームゆえ、マルコ・シウヴァのような戦術家を呼んでくれば、あっさり復活するような気がしてなりません。

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“マーク・ヒューズはなぜうまくいかなかったのか?補強に失敗し続けたストークの4年間。” への2件のフィードバック

  1. タムコップ より:

    どう考えても「18位のチーム」のスカッドでないのは間違いないですよね、この順位にストークがいること自体自分の目を疑ってしまいます…。
    リヴァプールで最終的に主力になれなかったもののここ一番での勝負強さが際立っていたジョー・アレン、前線でフィニッシャーにもコンダクターにもなれるシャキリ、アイルランドやフレッチャーといった歴戦の強者に加えて…、と書いてたらこれといったフィニッシャーがいない…。
    それにしても後ろも名前だけ見ればビッグクラブでもスタメンを張れるメンバーが揃ってるにもかかわらず22試合で47失点はちょっとダメですね。
    そもそもヒューズ自身の好きなスタイルが超攻撃的なものだと思うのですが、3点取られても4点取る、というレベルの攻撃陣の層の厚さを持ってるわけではないし、この解任は妥当、むしろよく我慢したなといっても言い過ぎではないと思いますね。
    上位陣が最も嫌がっていたあのストークがここまでダメダメになってしまうなんて、ちょっと寂しいですね…。

  2. makoto より:

    タムコップさん>
    ヘセ・ロドリゲスがフィニッシャーとして期待されていたのではないかと思いますが、うまく活かせてないですね。守備戦術が破綻してしまったのが解任の最大の理由だと思います。おっしゃるとおり、7位~8位を争える顔ぶれが揃ってますよね。

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