イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

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合意報道まであり…!アーセナルの来季監督にカルロ・アンチェロッティ…ってホントですか!?

フリーペーパー「メトロ」とイタリアメディア「コリエレ・デロ・スポルト」は「合意」、タブロイド紙「デイリー・スター」は真剣に検討中というニュアンスで、「bleacherreport」はあくまでも「噂」。矢印の太さは違えど、指している方向は同じです。チェルシーを率いてプレミアリーグ2009-10シーズンを制した名将カルロ・アンチェロッティが、アーセナルの次期監督として最有力候補と報じられました。チェルシー就任初年度にコミュニティシールド、プレミアリーグ、FAカップと3つのタイトルを獲得したイタリア人監督は、翌シーズンの無冠で解任の憂き目に遭ったものの、イングランドにいた2年間で公式戦67勝20分22敗。2017年までのアーセン・ヴェンゲル監督の勝率58%を上回る61%は、群雄割拠のプレミアリーグではまずまずの数字といっていいでしょう。つい先日、ヴェンゲル監督が今季限りでアーセナルを離れることを検討しているという記事が出たばかり。クラブが来季に向けて意中の監督との交渉を開始しているという報道は、既報とぴったり符合します。

サム・アラダイス、ロイ・ホジソン、アラン・パーデューなど馴染みの監督がクラブを渡り歩いている感があるプレミアリーグだけに、「アンチェロッティもか…」とため息をつく方もいるかもしれません。21年前、日本のクラブで指揮を執っていた無名の監督に白羽の矢を立て、現地紙に「Arsène Who?」と書かれたガナーズには、斬新かつコンセプチュアルな後継者選びを期待している人も多いのではないかと思われます。確かに新しさはありませんが、こんなふうに捉えると盛り上がるのではないでしょうか。

ペップVSアンチェロッティは「新旧バイエルン対決」、VSモウリーニョなら「新旧レアル・マドリード対決」。アブラモヴィッチVSアンチェロッティ&モウリーニョで「解任監督によるチェルシーリベンジ包囲網」といったプロレス的な見方もできます。まさに因縁のミルフィーユ。ファン・ハールさんにストークあたりを率いていただければ、新旧バルサ対決やマンチェスター・ユナイテッドリベンジが加わり、それならもうひとりとロベルト・マンチーニという名前が恋しくなったりもします。

もとい、話をアーセナルとアンチェロッティに戻しましょう。セリエA、プレミアリーグ、リーグ・アン、ブンデスリーガを制した「チャンピオンズリーグ最多優勝監督」の招聘は、マンチェスター・ユナイテッドのファーガソン勇退後のような長期政権後の混乱を避けるという観点では、最適な人選だと思います。ティエリ・アンリやミケル・アルテタのようなOBか、あるいはホッフェンハイムのユリアン・ナーゲルスマンやボーンマスのエディ・ハウのような新進気鋭の監督か、先々は若い才能を抜擢して長期的なチーム作りを進めるというプランもあるかもしれませんが、ホップとジャンプの間にはステップが必要。まずはしゃがまないことを重視するという考え方は、リアリストの支持は得られるのではないでしょうか。

この話が事実だとすれば、ヴェンゲル監督にはぜひヨーロッパリーグを制していただきたいと思います。2005-06シーズンに母国のスタッド・ドゥ・フランスで開催されたチャンピオンズリーグ決勝で、残り15分までリードしながらビッグイヤーに手が届かなかった悲運の名将にとっては色褪せたトロフィーかもしれませんが、2017-18シーズンのEL決勝の舞台も同じフランスのパルク・オリンピック・リヨンです。名古屋グランパスエイト時代からのヴェンゲルファンとしては、欧州のファイナルでトロフィーを手にしてはにかむ姿を想像しただけでも涙腺が緩みます。昨季プレミアリーグ前半戦でアレクシス・サンチェスのゼロトップ戦術を見て、「優勝を置き土産に勇退」というストーリーを期待した者としては、1990年代後半からイングランドサッカーの新しい流れを築いてきた名監督には、その最後にふさわしい花道があってほしいと切に思います。

しかし一方で、終盤戦で怒涛の追い込みを見せて2位に食い込み、一転ヴェンゲル留任というオチもなかなか味わい深いとも思ったりしますが、クラブ目線に立てば変化を志向するなら2018年」でしょう。浪人中の名将がいるだけでなく、ワールドカップという大仕事を終えた指揮官たちが大挙して次の就職先を探すオフシーズンは、新しい指揮官の人選を進めるタイミングとしては最高です。アーセナルらしさというロマンより、プレミアリーグ4位以内を外し続ける損失回避というソロバンのほうが明らかに大事。勝ち続けていれば、その後の未来はいかようにも描けます。元チェルシーであることをはじめ、気になることが多い監督ではあるものの「来てくれるというなら一気に決めるべき」ではないでしょうか。今思い出せば、やっぱり苦しかったです、モイーズの頃。(カルロ・アンチェロッティ 写真著作者/Светлана Бекетова)

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“合意報道まであり…!アーセナルの来季監督にカルロ・アンチェロッティ…ってホントですか!?” への5件のフィードバック

  1. sini より:

    アンチェロッティは、ミランで理不尽な解任をされるまでは「ミランのファーガソンになりたい」と長期政権を思考していた指揮官でしたし、これまでにクレスポやピルロなどを原石から育て上げた監督としても、案外アーセナルはハマるのではと思っております。
    私はスパーズファンなので、もちろんアーセナルには茨の道を進んで頂きたく思っているので、アンチェロッティには大反対ですが。
    何はともあれ、求心力も育成力もあり、戦術的にも懐の広いアーセナルにアンチェロッティはハマると思っています。経営陣次第とはいえ。バイエルンでのことで若干ハズレを引いた感のある監督ですが、まだまだやれるはずでしょうし。アーセナルは合ってると思うわので、是非アーセナル以外に行っていただきたいです。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    これからエジルやサンチェスがいなくなって戦力が低下するアーセナルにアンチェロッティが来ても立て直せるとは思いませんね。
    モチベータータイプの監督ではなくシメオネやナーゲルスマンなどの戦力が不十分でも戦術で勝てるタイプの監督じゃないと今後のアーセナルは立て直せないと思います。

  3. めるてぃ より:

    アンチェロッティに決まったとして、賛否両論激しくなりそうです。もし、アンチェロッティに決まれば少しがっかりです。良い監督ではあるものの少しく旧時代に属する監督のイメージが強いのがその理由。

    選手をチェスや将棋の様に動かすペップ・シティに挑むには、それを上回る戦術家を抜擢してチャレンジして欲しいと思います。選手の質量ではかないませんから。

    ベンゲルが手塩にかけた愛弟子か銀河の彼方から見つけてきた未知の天才を見たかった。まあ、ハイリスクハイリターンなのですけれどね。アンチェロッテイなら当たっても外れても無難過ぎて。

    —–
    昨今のアーセナルに不満がある者としては、ビエルサの様な稀代の戦術家に率いられてマンCやバルサを打ち破るのを妄想してしまいます。
    実現の可能性は別として。
    現実的には筆者さんの仰るとおりアンチェロッティはベターな選択肢ですがアーセナル就任時、無名でも改革者だったヴェンゲルの様な監督の再来を望んでしまうのです。

    —–
    アンチェロッティなら失礼な言い方になりますがつなぎとしてはいいんじゃないかと。
    ペップ以上の戦術家なんてどこ見渡してもいないでしょうし、監督経験の少ないアーセナルOBを連れてくるのはリスクが大きすぎると思います。
    何にせよ意地でもELを獲ってCL権を取らないと監督にしろ選手にしろ補強が難しくなると思うので、ヴェンゲルにはなんとか頑張ってもらいたいものです。

  4. 新参 より:

    自分はトゥヘルを後任に推します。ドルトムントでクロップの後を継いで、クラブ史上最高勝ち点を記録した彼は最適なように思えます。クラブの首脳陣やベテランとうまくやれなかったことが気になりますが、失敗を恐れず戦術を試す彼にペップを上回る姿を想像してしまいます。次いで、ナーゲルスマンですかね。アーセナルには安定より、革新が似合うと思います。たとえ、失敗に終わろうとも…

  5. makoto より:

    siniさん>
    はまりそうですよね。極私的にはびっくりするような「who?」に期待しているのですが、いい人選だと思います。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    経済的な力は強いので、クラブが危機感を高めればレッズやスパーズ以上の選手を集めることができるはずです。ヴェンゲルさんという大御所の後に選手を大量に獲ってくれといえなければならないので、ハートが強いことが最大必須条件かもしれません。

    だしまるさん>
    当たっても外れても無難、というのはそのとおりですね。「おもしろい人選」とはいえません。

    Davinciさん>
    それでこそアーセナル、という感じですね。

    めるてぃさん>
    三段跳びのステップ、というイメージで捉えていました。失敗しないことを最重要とするなら最高の人選ですよね。

    新参さん>
    「アーセナルには安定より、革新が似合う」→わかります。ただし今は失敗したときの立て直しに相当コストがかかるので、補強だけは怠ってはいけないと思います。マン・ユナイテッドの失敗は、モイーズさんを呼んできたことよりも世代交代をうまくできなかったことのほうが大きいのではないか、と。

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