偏愛的プレミアリーグ見聞録

アレクシス・サンチェスとマイケル・キャリックの姿があります。フライデーナイトのFAカップ4回戦、ヨーヴィル・タウンVSマンチェスター・ユナイテッド。収容人員が1万人にも満たないハイッシュスタジアムは、プレミアリーグの人気チームを迎えるとあって超満員です。心臓疾患の手術を受けてようやく立ち直った36歳のキャリックと、期待の7番はもちろん、若いマクトミネイやトップに入ったラシュフォードなど、サポーターとしては注目ポイントが多い一戦です。

リーグ2で21位のチーム相手に、プレミアリーグ2位が苦戦しています。15分まではヨーヴィルのアタックのほうが多く、マン・ユナイテッドは自陣でのファールが目立ちます。アウェイチームは全体的に足元へのパスが多く、アレクシス・サンチェスにガナーズの頃のアグレッシブな仕掛けはありません。21分のカウンターは、アレクシス・サンチェスのパスをもらったラシュフォードが縦に抜けてGKクリシアクと1対1になるも、タッチが大きくゴールラインを割ってしまいます。24分には7番がニアのマクトミネイに預け、21歳の左隅を狙ったシュートはクリシアクがファインセーブ。この時間になって、チームもアレクシス・サンチェスも、ようやく調子が上がってきました。

30分、7番が右隅に落とした直接FKはクリシアクがキャッチ。34分にはアレクシスとのワンツーでダルミアンが右から抜け出し、クロスのクリアを拾ったエレーラが左足でミドルを放つも枠にいきません。39分にはマタの速いグラウンダーがボックス手前のアレクシスに通りますが、クロスに打ったシュートは枠の外に切れてしまいます。プレミアリーグのクラブがようやくゴールを決めたのは、41分でした。アレクシス・サンチェスのパスを中央で受けたラシュフォードがドリブルで仕掛けると、トム・ジェームスが一度はカットしますが、GKに向かって転がっていくボールをトム・ジェームスがクリアしようとした瞬間、背後から走り込んだラシュフォードが奪って右足で蹴り込みました。前半は、この1点のみ。後半も、開始早々からマンチェスター・ユナイテッドペースです。

左サイドの7番から、ボックス脇に出る斜めのパスが効果的です。50分にこのパスを受けてドリブルで中に斬り込んだラシュフォードは、2人かわして左隅を狙うもポストの左に外してしまいます。59分、左から上がったアレクシスのクロスは走り込んだマタにぴったりでしたが、チェックされて打ち切れず、こぼれ球を叩いたルーク・ショーの一撃もDFがブロック。追加点が決まったのは61分、マタからアレクシス・サンチェスとつながったカウンターからでした。マーカーを引きつけた7番が、左でフリーになっていたエレーラにラストパスを通すと、左足で放った完璧なシュートがゴール右隅に突き刺さります。モウリーニョ監督は、65分にマタを下げてルカク。今季プレミアリーグ11ゴールのエースと新戦力とのコンビネーションを試したかったのでしょうか。

72分、アレクシス・サンチェスは拍手に送られてアウト。代わって入ったのはリンガードです。78分にはリンガードのスルーパスでラシュフォードがクリシアクと1対1になりますが、シュートは左手に阻まれ3点めはなりません。88分、3人に囲まれながらドリブルで上がったリンガードが、クロスに放ったシュートが左隅に決まって0-3。追加タイムには得意のカウンターが作動し、左サイドを攻め上がったロホのクロスをルカクがボレーで合わせ、4点めをゲットしました。

スロースタートだったマンチェスター・ユナイテッドは、最後に速攻から2ゴールを重ねて0-4で順当勝ち。2ゴールに絡み、1アシストを記録したアレクシス・サンチェスはまずまずのスタート。最前線に入ったラシュフォードは、サイドよりもこちらが本職であることをアピールし、先制ゴールという結果を出しました。キャリックは得意の高速縦パスを披露し、ルーク・ショーのスペースを創る動きも秀逸。ラシュフォードに代わって最後の5分だけプレイした17歳のアンヘル・ゴメスは、いきなりGKと1対1になるなど、将来が楽しみな選手です。モウリーニョ監督の55回めのバースデーは、ニューフェイスのクオリティと選手層の厚さを確認できた素敵な1日だったのではないでしょうか。FAカップ4回戦2日めとなる27日は、リヴァプールとトッテナムが登場します。（アンヘル・ゴメス　写真著作者/Kane Brooker）