イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「ネガティブな声は気にしない」高額移籍金が話題のファン・ダイク、冷静沈着なコメントに注目!

冬の移籍市場における高額移籍金ランキングを見ると、TOP20のうち12人がプレミアリーグのクラブが獲得した選手です。エンディアイェ、ロス・バークリー、ジルー、エメルソン、カリージョ、ジェンク・トスン。11位以下の名前を見ると、負傷明けの選手が何人か入っており、彼らが真価を発揮するのは少し先の話になりそうです。一方、TOP10に入っている6人は、鮮烈デビュー組とスロースタート組が鮮やかなコントラストを描いています。レスター戦で2ゴールを決めたエヴァートンのウォルコット、エヴァートンとの一戦で3アシストを記録したムヒタリアンは上々のスタート。「彼の移籍手続きが完了したと聞いたのは、ここに来る大きな理由になったね」と語るオーバメヤンは、ドルトムント時代のパートナーであるミキのラストパスでプレミアリーグデビュー戦ゴールを決めています。

プレミアリーグ19位と与しやすいWBA戦で無難な滑り出しを見せたのは、マンチェスター・シティに入団したアイメリク・ラポルテ。パリからやってきたスパーズのルーカス・モウラと、ジョルダンとの兄弟コンビが期待されるスウォンジー出戻りのアンドレ・アイェウは未だ顔を見せておらず、27節以降に初戦を迎えることになります。さて、冬の移籍組で最も微妙な立場に置かれているのは、リヴァプールのヴィルジル・ファン・ダイクでしょう。移籍決定は昨年の12月27日で、この冬のプレミアリーグ勢では最速。移籍金7500万ポンド(約113億円)は、バルセロナに移籍したフィリペ・コウチーニョに続く冬の欧州第2位で、プレミアリーグのDFとしては史上最高額です。クロップ監督が、獲得発表直後に「移籍金の額は忘れてほしい」といっておりましたが、FAカップ3回戦のマージーサイドダービーでレッズデビュー戦決勝ゴールをゲットした選手をメディアが放っておくわけがありません。以来、ファン・ダイクは、現地の記者に格好のネタとしてマークされることになります。

上々のスタートを切ったファン・ダイクは、プレミアリーグの2試合では損な役回りを担うことになりました。当時最下位だったスウォンジーにまさかの敗戦を喫した24節では、空中戦に競り勝ったもののクリアが短くなり、モーソンに決勝ゴールを献上。先日のスパーズ戦では、94分のラメラとの接触をラインズマンに咎められ、同点PKを与えた張本人となってしまいました。この試合の後、ジェイミー・キャラガーに「ウェイトを落とすべき」とまでいわれたファン・ダイクは、インタビューに応えてライバルとのシックスポインターで起こった出来事や、自身の置かれている状況について思うところを率直に語っています。「Liverpool’s Virgil van Dijk: I can handle the pressure of £75m price tag(リヴァプールのヴィルジル・ファン・ダイク:私は7500万ポンドというタグのプレッシャーをさばくことができる)」と題された「ガーディアン」の記事を読むと、レッズの最終ラインを統率するであろうCBが、いかに冷静でクレバーかがわかります。

キャラガーの容赦ないツッコミに対しては、「彼はドレッシングルームに来て僕がウェイトを落とすべきか確認する必要がある。僕はそうは思わないけどね」と軽くスルー。自分にかけられた多額の移籍金については、「これだけの大金でビッグステップを踏んだのだから、何でも分析されると心得てる。みんな、いいところは見ずに、悪い面を注目してどうこういおうとするだろうね」と批判が多くなることは織り込み済みのようです。「でも、僕は自分をよくしていける人たちと会話を重ねていく。監督とまわりにいる選手たちだ。正しいといえることを、前に進めていけばいい」。ビッグクラブでのキャリアをスタートさせたばかりの26歳のCBは、自らの強みについて、こんなふうに語っています。

「僕の強みは、多くの人の意見―とりわけネガティブな声をあまり気にしないこと。うまくやれているときと、何かが間違っているときは自分でわかるものだ。(スパーズ戦について)誰も僕のパフォーマンスに関して、普通に話そうとしない。でも、僕らはとてもうまく守れていた。大いに疑問がある2つのペナルティがあったから、誰もいわないけど、僕らはヨーロッパで最高のストライカーと対峙しながら、チームとしてよく戦ったと思ってる」

私がこのたび、ファン・ダイクのインタビューを取り上げようと思ったのは、彼の振り返りが極めて冷静で、映像で見ていた私の認識と変わらなかったことに興味を覚えたからでした。スパーズ戦でPKを取られたシーンについても、客観的に状況を把握しています。「ラメラが近づいてきたのが見えて、僕は足を引っ込めた。彼はボールの前に体を入れて、自ら倒れたんだ。主審は試合を続けるように指示したのに、副審が違う解釈をしたのに非常にがっかりした。より近くにいた主審が、先に決断していたのだから。アンラッキーだね。そもそもラメラはオフサイドだし、自分から体を預けてきた。ペナルティでないのは明らかだ」。レフェリーのジャッジの是非はともかく、ファン・ダイクが主張していることは、映像が伝える事実と一致しています。

クロップ監督は、ファン・ダイクが真価を発揮できるのは次のシーズンだといっています。チームの戦術を理解し、適応するまでに時間が必要ということなのでしょう。「1月から9月まで、8ヵ月の間プレミアリーグでプレイできなかった。戻ってくるのは簡単なことではなかったし、ビッグステップを踏んだためにどんな些細なことも注目される状況でもある。自分に集中しなければいけない」「プレッシング、オプション…すべてが違う。慣れるのに時間がかかるね。監督や、サポートしてくれるスタッフと日々話してるよ」。ファン・ダイク自身も、指揮官と同じ認識をしているようです。冷静で、自らをコントロールできるCBは、レッズで成功するのではないでしょうか。古巣対決となるセインツ戦についてのコメントも彼らしく、リアリティ溢れるものでした。セインツとサポーターが自分にしてくれたことには感謝している、といいながら。

Maybe they can boo the whole game. What can you do about it? You can’t do anything.(たぶん、彼らは試合中ずっとブーイングするよ。それに対して何ができる?何もできないよね!)」

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“「ネガティブな声は気にしない」高額移籍金が話題のファン・ダイク、冷静沈着なコメントに注目!” への2件のフィードバック

  1. ドン より:

    今の市場で適正なお値段の取引なんて絶滅危惧種だと思います だから選手達は自チームのサポーターだけを喜ばす為だけに頑張ってくれれば良いんですよ お金の事は気にせずに ダイク大好きです

  2. 西公 より:

    ファンダイクはピッチ内でも常に冷静ですし、高いインテリジェンスを感じてましたが、やはりコメントも冷静で良いですね。15〜16シーズンのフォンテ、ファンダイクのコンビが個人的にはここ10年のプレミアでリッキーカルバーリョ、テリーのコンビの次に好きなCBコンビだったので、早くパフォーマンスを取り戻して欲しいなと思ってます

コメントを残す