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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

報道は事実ベースか?確執はあるのか?コンテ監督の解任報道について思うこと。

「私の仕事が充分ではないというなら、クラブは別な決定を下さなければならない」。プレミアリーグの優勝監督が3季連続で1年持たずに解任などという残念な事件は起こるのでしょうか。ボーンマス戦とワトフォード戦の連敗があまりにショッキングだったこともあり、現地メディアにおけるチェルシーのアントニオ・コンテ監督の去就報道がヒートアップしています。ワトフォード戦で敗れたら解任とぶち上げた「エクスプレス」は、後任はルイス・エンリケと主張し、「ガーディアン」はカルロ・アンチェロッティも可能性ありと報じています。解任について話を振られることが増えたコンテ監督は、自ら辞任することはないとし、引き続きチームの改善に取り組んでいくと語っています。

今回の解任云々という報道については、メディアの憶測でしかないのではないかと思います。WBA、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティと続くプレミアリーグで全て敗れ、5連敗となれば別ですが、現在のチェルシーは15勝5分6敗で4位。アブラモヴィッチ体制となった2003年以降、のべ14人の監督を招聘しているクラブではありますが、CL出場権圏内のプレミアリーグ4位以内に残り、チャンピオンズリーグで勝ち進んでいる監督を期中に解任するというギャンブルに出るのは関係修復不可能なレベルで揉めたときだけでしょう。

とはいえ、年明け以降のチェルシーがいい状態ではないのは明らかです。2勝4分(1PK戦勝ちを含む)3敗で得点はわずか10、失点も10。1年前、2ヵ月で1勝しかできなかったリヴァプール同様、リーグカップ準決勝のホーム&アウェイを戦うチームが陥りがちな不振にあえいでいます。モラタが最後にゴールを決めたのは12月26日。エースは1月中旬より個人的な事情で戦列を離れてしまい、バチュアイはその穴を埋め切れないままドルトムントに旅立つことになりました。アーセナルから来たオリヴィエ・ジルーは、1月末に負傷から復帰したばかり。自身のコンディショニングと新チームの戦術のインストールという2つの課題をクリアしなければ、ゴール量産は望めません。当面のキーマンは、ペドロとウィリアンなのではないでしょうか。彼らがボックスにどれだけ入っていけるかが、チェルシーが得点力を取り戻すポイントなのではないかと思います。

マティッチがいなくなった中盤もまた、チェルシーのウイークポイントと化している感がありますが、ポテンシャルが高いバカヨコは、チームにフィットするまで長い目で見てあげる必要があるのではないでしょうか。調子の波がある彼が機能していないときは、セスクやドリンクウォーターでフォローするしかありません。レスターでカンテの相棒だったドリンクウォーターは、ラニエリ仕込みのスペースを埋める守り方ができる選手です。3点差で敗れた2戦ともベンチで過ごしたセントラルMFをうまく活用できれば、CBの負担は軽くなるでしょう。

ワトフォードに敗れた試合の観戦記のコメント欄で、「フロント主導の補強と監督の要望ベースの補強の是非」が熱く話題になっておりましたが(みなさん書き込みありがとうございます)、私なりの見解を書かせていただくとすれば、「どちらも一長一短」です。監督の要望通りに選手を獲得するチームは、「アタッカーは充実、守備は平均的」など指揮官の得手不得手が編成に出てしまうリスクがあり、今季の戦績向上といった短期的な成果視点のみでチームを創ることにもなりかねません。FDがうまく機能しているチームは、監督の足りない部分をうまく補い、長期的な視点やマーケティング観点などを加味しながら編成しています。善し悪しあるなかで、ひとついえるのは、「フロントと監督のコミュニケーションがうまくいっていなければ、どちら主導でも失敗する」ということではないかと思います。

チェルシーの場合は、従前から報じられていた通り、監督とフロントの間に思惑の違いはあったのかもしれません。また、仮にそうだとしても、彼らの関係が「確執」といわれるようなストレスフルなものなのか、「お互いが要求し合うプロフェッショナルな関係」といえるポジティブな要素を含むものなのかまではわかりません。そんななかで私は、「チェルシーの経営ボードはコンテ監督のオーダーを受け止めて、尽力しているのではないか」と感じています。確かに夏は、足りなかったかもしれません。しかしこの冬は、実力派を新たに3人加えました。ロス・バークリーは長期的な視点でチームに軸を作る補強、エメルソン・パルミエリは層が薄い左WBの即戦力、プレミアリーグをよく知るオリヴィエ・ジルーは監督の悩みを解消するための頼れるベテラン…。コンテ監督をバックアップすべく、打てる手は打っているという印象があります。

先日、コンテ監督が、クラブに噂を一蹴するための声明を出してほしいといっているという報道がありました。これは、クラブと指揮官の関係が悪くないことを物語るひとつのエピソードであり、コンテ監督のストレスの源はマスコミと戦績であることを証明しているのではないかと考えたのですが、いかがでしょうか。今、重要なことは、チームが抱えているいくつかの課題を指揮官と選手たちが解決することだけでしょう。次戦のWBA戦で、チェルシーらしい勝ち方を観られることを期待しています。昨季プレミアリーグ王者は、2位まで視界に入るポジションにいます。優勝監督が辞める理由など、どこにもありません。

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“報道は事実ベースか?確執はあるのか?コンテ監督の解任報道について思うこと。” への3件のフィードバック

  1. ランプス より:

    チェルサポです
    管理人さんのおっしゃる通りだと思います。
    今の時代にはプレミア連覇が難しい事は言うまでもありません。
    一年位 優勝出来ない位で監督を変えていたら。今のシテイも無かったでしょうね
    正直今年はシティは優勝するでしょうが 翌年シティが優勝出来なくても正直不思議はない。(驚きはしますけど。。)
    一昨年だって誰がレスターが優勝すると思いました??
    ここはそういうリーグなのですから。。

    逆に優勝がなくなった分 早めに来期に向けて色々試して欲しい位です。ではでは

  2. ASAP より:

    今回のケースを別角度から見ると、優勝チームがちょっとしたボタンの掛け違いで足元をすくわれてしまうEPLの過酷さが見えてきます。

    ただ、「優勝チームの監督が翌年解任(辞任)された2ケース」のうち、ひとつがチェルシー(モウリーニョ)である事実は、メディアのコンテ解任報道の発想(妄想?)のポイントだと思います。

    昨シーズン優勝、現状CL圏内で、コンテ解任の必然性はありませんが、これまでもシビアな解任劇があり、もしかすると、EPLの熾烈さに耐性がない(ようにみえる)チェルシーの「フロント」のイメージが、今回の報道を加熱させているのではないでしょうか。

    (※ レスター=ラニエリのケースに関しては、心情的にはラニエリに応援していたのですが、順位的には明らかに危険水域を超えており、フロントの判断もやむなしという印象です)

  3. ぐら より:

    優勝した昨シーズンは憎たらしいくらい強かったですが…
    勝負強く、ゴールを決め続けていたジエゴ・コスタと揉めたあたりから怪しくなっていた雰囲気はありましたが、勝ち続けることで払拭していました
    選手と監督の立場上難しかったのでしょうが、彼が今もいてくれたらと思ってしまいますね
    昨シーズンの強かったチェルシーをCLで見たかった…
    コンテ監督には立て直しを期待してます

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