エティハドで見せたコンテ戦術と用兵は是か非か?バルサ&ペップ攻略のベースは攻めか守りか!?
チェルシーOBの嘆きを理解するうえで、あるいはわれわれがこのテーマについて整理するために、論点を2つに分けたほうがよさそうです。ひとつは「コンテの戦術は妥当だったのか」、そしていまひとつは「コンテの用兵は適切だったのか」。ルート・フリットは、この両方に「NO」といっています。戦術については、「プレミアリーグ最下位のチームなら、クオリティが低いのでバスを停めて、1-0でダウンしながらチャンスがくるのを祈っているのもわかる。しかしチェルシーはディフェンディングチャンピオンだ。機能していなかったにも関わらず、変えようとしなかった理由がわからない」。選手の起用に関しては、「オリヴィエ・ジルーのような選手がベンチにいるのに、ハイボールを上げて紛れを起こそうとしなかったのはなぜか。ボールをゴールから遠ざけ、セカンドボールを奪えばそこから上がることもできるだろう」と、プレミアリーグ屈指のポストプレーヤーを活かせなかったことに疑問を投げかけています。
さらにフリットは、チェルシーのフォーメーションは深すぎたと指摘。3トップに対して5バックで対応したために2人が遊びがちなのに対して、セスクとドリンクウォーターはデブライネ、ダヴィド・シルヴァ、ギュンドアンの3人に対峙しなければならず、マンチェスター・シティの中盤は必ずひとりがフリーだったと分析しています。「最終ラインと中盤の間のスペースで好きなようにやられてしまった」「ボールを持っても誰も前にいないので、蹴るしかなかった」。前半はまったくシュートを打てず、後半の3本も枠に飛ばせなかったチームについて、退屈だったと総括していました。
私がこの記事に興味を覚えたのは、2つのテーマがあったからです。まずは、「カンプ・ノウに乗り込むチャンピオンズリーグのテストのような布陣で敗れたコンテ監督は、ゴールを決めないと敗退となる試合でどんな戦い方を選ぶのか」。さらに、「マンチェスター・シティ戦で後ろにこもりそうなチェルシータイプのマンチェスター・ユナイテッドと、中盤で全面戦争を仕掛ける可能性が高いレッズタイプのトッテナムのどちらがうまくいくのか」。マンチェスター・シティ戦のコンテ監督が、アザールのワントップでゲームを始めた意図はよくわかります。ジルー先発で0-1とされれば、カウンターは警戒されて終盤のオプションがなくなりますが、試合開始からカウンター狙いのフォーメーションで戦えば、リードされたときにジルーをジョーカーとして投入できます。
バルサ戦が日曜日の試合と大きく違うのは、0-0では終わってしまうチェルシーがキックオフからビハインドを背負っており、絶対に先制ゴールが必要ということです。コンテ監督は、頭からジルーを使うのではないでしょうか。後ろで奪ったボールをジルーに当て、落としを受けた中盤がアザールやウィリアンに展開できれば、勝機はあると思います。スペインで戦う大一番は、私たちプレミアリーグファンとっては、エティハドで見たかった「もうひとつのチェルシー」に出会うことができる試合。コンテ監督にしてみれば、苦い記憶をいい教科書に変えるチャンスです。このうえ、再度アザールを最前線に据えたら、フリットさんの指摘に深くうなずくしかなくなります。
33節から最強の首位チームと連戦となるマンチェスター・ユナイテッドとトッテナムは、クロップ監督のコンセプチュアルな戦い方とコンテ監督のリアリティのどちらを選ぶのか。ルカクとポグバがいるモウリーニョ監督のチームは、チェルシーよりもうまくやれるのではないかと思いますが、ポチェッティーノ監督が前線からのプレスと中盤のガチンコ勝負を選べば、レッズの後に続けずガナーズと同じような結末になると予想します。
プレスもラストパスもフィニッシュも巧みなフィルミーノという稀有な存在がフェルナンジーニョと最終ラインを攪乱したこと、3枚同士で戦った中盤がプレッシング合戦を制したことが、レッズ勝利のポイントだったように思います。ポチェッティーノ監督が「走るサッカー」でペップのチームを蹂躙しようと考えれば、ミラーリング戦術で中盤を3枚にすると見ていますが、プレスの強度とアンカーの力量でマン・シティが上回るのではないでしょうか。相手が上と見てコンテのリアリティを踏襲するか、正面から向き合えると判断するかが、優勝決定の場となる可能性も充分な2試合の勝敗につながるのではないかと考えています。いずれにしても、チャンピオンズリーグもプレミアリーグも、戦術性に富んだおもしろい試合になるはずです。今から、楽しみです。
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ダイアー、デンベレ、ワニャマをぶつける433なら中盤の制圧力では上を行くのではないかと思います。ただシティに勝つにはそれに加えてサイドも制圧しないと厳しいのが現状です。ウォーカーが相手にいるのが相当な痛手であることは変わりません。