意外な選手が上位進出!プレミアリーグ2017-18「決定機のミス回数ランキング」を徹底分析!
「Mohamed Salah may be the Premier League’s top goalscorer but the Liverpool star has missed more big chances than any other player(モハメド・サラーはプレミアリーグのトップスコアラーだが、リヴァプールのスターは他の選手よりもビッグチャンスでより多くのミスをしている)」。サラーは決定機にGKにぶつけたり、枠を外してしまったりすることが最も多いという記事なのですが、記事タイトルを見た第一印象は「そりゃあ、そうでしょう」でした。フィルミーノ、マネと強力な3トップを組む快足アタッカーは、あれだけ素晴らしいお膳立てがあり、ゴールを決めていればその数に応じてミスも増えるはず。ゴール数と決定機逃しの数はほぼ比例するのではないかと思いながら、ランキングをチェックしてみると、話はそんなに単純ではありませんでした。タブロイド紙は、プレミアリーグ公式サイトの「Big Chances Missed」の数字をそのまま掲載しているのですが、私まで同じことをするのはあまりに芸がないので、シュート本数、オンターゲット、ゴール数も添えてみました。まずはランキングをご覧ください。
【プレミアリーグ2017-18シーズン 決定機におけるミス回数ランキング】
1位/サラー(リヴァプール)⇒118本&57本/28ゴール/19回
2位/ベンテケ(クリスタル・パレス)⇒55本&19本/2ゴール/18回
3位/ハリー・ケイン(トッテナム)⇒162本&67本/24ゴール/16回
4位/モラタ(チェルシー)⇒66本&29本/10ゴール/15回
5位/アグエロ(マンチェスター・シティ)⇒93本&41本/21ゴール/13回
6位/ラカゼット(アーセナル)⇒57本&29本/9ゴール/12回
7位/リシャルリソン(ワトフォード)⇒86本&19本/5ゴール/11回
7位/ガブリエウ・ジェズス(マンチェスター・シティ)⇒39本&23本/8ゴール/11回
7位/マネ(リヴァプール)⇒52本&18本/8ゴール/11回
10位/ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)⇒78本&37本/14ゴール/10回
どうした、ベンテケ!クリスタル・パレスに移籍した最初の年だった昨季は、プレミアリーグ36試合15ゴール。クロップ戦術にフィットしていない、ミスが多いと散々叩かれたリヴァプール時代でも29試合9ゴールと最低限の結果は出しています。今季は25試合でたったの2ゴールなのに、決定機のミスは18回!最前線に張っているのに、ザハやマッカーサーよりもゴールが少ないストライカーは、最後の7試合で帳尻を合わせてクラブのプレミアリーグ残留に貢献したいところです。余談ですが、ベンテケのシュート本数がグラニト・ジャカより少ないという事実にびっくりしました。フランク・デブールの衝撃的な解任で始まったクリスタル・パレスの苦闘の跡が、ストライカーのスタッツに色濃く反映されているようです。
シュート数が最も多いのはミドルレンジからでも打ってくるハリー・ケイン、2位はゴールランキングTOPのサラー、3位は右から持ち込んでニアに打つ形を得意とするアグエロ。オンターゲットの本数もプレミアリーグ20発越えの3人がTOP3を占めており、プレミアリーグのストライカー業界においては、「数打てば当たる」はあながち乱暴な表現でもないのかと納得しかけました。ところが…。
シュート86本で4位のリシャルリソンは、オンターゲットが1/4以下の19本しかなく、5ゴールに対してビッグチャンス逃しが11回。獰猛なドリブルと強引なシュートは多くのクラブのコーチングスタッフを警戒させたはずですが、コースさえ切っていればさほど怖いボールは飛んでこないと数字が教えてくれています。20歳の若きサイドアタッカーの課題は明確。残り7試合で2ケタ到達は厳しそうですが、来季はぜひ倍以上のゴールシーンを見せていただければと思います。
最も気になった2人をチェックしたところで、26試合に出て57本しかシュートを打っていないラカゼットと、39本中23本を枠に収めているガブリエウ・ジェズスに目を移しましょう。出場時間1821分はトップの選手では6番めに長く、決定機のミスが12回では、ラカゼットのゴール数が2ケタに乗っていない理由を負傷に求めることはできません。2年めのプレミアリーグでは、オーバメヤンの後ろに控えるオプションとなってしまうのか、あるいは2トップの一角として真価を発揮するのか。大物ストライカーの移籍が話題となった2017-18シーズンですが、カップ戦やCLも含めれば貢献度が高かったルカクに対して、モラタとラカゼットはフィットするのに時間を要した苦しいシーズンとなりました。
プレミアリーグで先発13試合と出場時間が少なかったガブリエウ・ジェズスは、シュートの精度が高い割にチャンスで外しているのが気になります。多少無理な体勢でも打ってくる選手のほうが、相手に脅威を与えられるためにチャンスで心理的に優位に立てるという見方は強引でしょうか。ハリー・ケインは102分で1ゴール、153分でチャンスミス1回。サラーは85分で1ゴールを決めて126分に1回ミス、アグエロは93分で1発ゲットして逸機は150分に1回。ガブリエウ・ジェズスの139分で1ゴール&101分に決定機逃し1回という数字を見ると、明快にコースが空かないと打ってこないスタンスが相手を守りやすくしているのかもしれないと考えた次第です。
最後に、「決定力No.1」を発表してこの稿を締めたいと思います。出場時間2535分はリシャルリソンに次ぐプレミアリーグのFWの第2位、シュート51本で14ゴールを決めながらビッグチャンスで4回しか外していないレスターのジェイミー・ヴァーディ!TOP6の全クラブ相手にゴールを決めた勝負強さは、ゴール数とチャンスミスの回数の関係からも証明されたのではないでしょうか。いやー、調べものに結構時間がかかってしまいました。最後まで読んでいただいた方々にお楽しみいただけたのなら、大変うれしく思います。
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ラカゼットはチームの混乱に引っ張られた部分が大きかったように思えます。ビルドアップが安定していなかったために、エジルがセントラルのポジションに下りてきて、ラカゼットとの距離が遠ざかった。ラカゼットも低い位置をとり、チャンスメイクという本来の仕事ではない仕事をさせられていました。彼を評価するのは、チームがビルドアップの問題を解決してからのほうがフェアだと思います。
ただ、彼を純然たるストライカーとして起用するのではなく、シャドウストライカーとして起用して欲しいです。オーバメヤンがディフェンスを引きつけ、空いたスペースに走り込んだラカゼットが落ち着いてゴールにボールを流し込む。そういうイメージがもっともしっくりきます。
素晴らしい記事でした
ありがとうございます