日本代表、オランダとドロー。香川真司が起こした「変化」とオレンジ軍団の凋落
前半プレイした長谷部、清武と、同じポジションに後半投入された香川、遠藤の差は、相手にスキがあればいいプレイができる選手と、自ら相手のスキを創りにいける選手の違いでしょう。短いパス交換で相手の居場所を動かし、空いたスペースに自らが入って前を向いてパスをもらい、決定的なパスやシュートを打てる香川がいると、確実に相手センターMFの守備の時間を増やすことができます。前半、吉田麻也のパスカットと長谷部のドリブルでの抜け出しから大迫がダイレクトシュートを決めたのは、あくまでもオランダがみせたふたつのミスをついたもの。対して後半の同点ゴールは、遠藤がフリーの内田を見つけてすかさず出したサイドチェンジと、サイドにDFを引っ張り出しながらゴール右のスペースに本田圭祐を呼び込んだ内田、岡崎、大迫らの見事なダイレクトパスからでした。ふたりのMFが入ってポジションの流動性が増し、攻撃にバリエーションがもたらされたことが、ゴールという結果につながりました。
このゴールには香川真司は直接関与していませんが、51分の裏への走り込みからのシュート、53分の本田のポストに当たるミドルシュートにつなげた遠藤とのコンビネーション、67分に見せたドリブルで中央を切り裂いてのミドルシュート、78分のスルーパスと、後半の45分だけで決定的なシーンを4回演出しています。前半押していたオランダが、後半はデパイのミドルシュート1本しかチャンスを創れなかったことを考えれば、いかに香川が効果的だったかがわかります。出来がよかっただけに、ゴールを決めておきたいゲームでしたね。
一方で、この試合はオランダの凋落を目の当たりにしたゲームでもあります。プレミアリーグにおける香川の同僚ファン・ペルシや、内田篤人のチームメイトであるフンテラール、前回ワールドカップ準優勝の立役者ウェズレイ・スナイデルらを欠いていたとはいえ、中盤から後ろはグダグダ。ナイジェル・デ・ヨンクとファン・デル・ファールトのベテラン勢からしか有効なパスが出てこず、日本代表の守備を崩すシーンは一度もなく、ゴール前ではロッベンの個人技しか脅威がありませんでした。セリエAでセンセーショナルなサッカーを展開しているASローマで売出し中のストロートマンや、今季からプレミアリーグに参入し、スウォンジーで頭角を表しつつあるデ・グズマンなど注目の若手はいますが、彼らもゲームをコントロールするようなプレイはできていません。新旧交代がうまくいかなければ、来年の夏のブラジルでは峠を越えたベテランを何人か投入した布陣で戦うよりほかはなく、このままではオランダの上位進出は難しいと思われます。
ワールドカップブラジル大会は、ベスト8に南米勢が半分入ってくるような、欧州受難の大会になりそうです。上位にきそうなのは、ドイツとスペイン、ベルギー、ポルトガル(出られれば…)くらいでしょう。シャビやイニエスタが歳を取り、ストライカーが決まらないスペインは、もしかしたら危ないかもしれません。そう考えれば、日本代表にとって重要なのは、次のベルギー戦です。そして、本番までに2~3試合、チリやコロンビアあたりの南米勢と戦っておいたほうがいいですね。できれば、現地入りしてから。
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