偏愛的プレミアリーグ見聞録

降格候補と目されながら、プレミアリーグ6節のエヴァートン戦ではアウェイで0-2完勝。勢いに乗るシェフィールド・ユナイテッドに対して、敵地ブラモール・レーンに乗り込んだリヴァプールはガチガチのベストメンバーです。GKアドリアン、DFアーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソン、MFファビーニョ、ヘンダーソン、ワイナルドゥム。3トップのサラー、フィルミーノ、マネは、今季プレミアリーグでトータル11発と絶好調です。キックオフからリヴァプールの怒涛のアタックに耐えていたシェフィールド・ユナイテッドは、3分に左サイドからカウンターを仕掛けます。

ドリブルで上がり、ボックスに入ったマクバーニーは、切り返しからのシュートをアドリアンの正面に打ってしまいます。レッズが中盤を支配し、サイドに展開して隙を窺う時間が続きますが、10分にアーノルドのミスパスを拾ったホームチームが3度めのカウンター。右からのクロスは中央に絞ったアーノルドがクリアし、レッズ守備陣はシュートを打たせませんでした。16分にワイナルドゥムが右のサラーを使ったチャンスは、高く上がったクリアに反応したワイナルドゥムのボレーがDFにヒットしてCKです。

21分、前を向いてパスを受けたフレックが右にスルーパスを通すと、ファン・ダイクと向き合ったロビンソンのシュートは左にアウト。プレミアリーグ首位チームは5バックに手を焼き、ラストパスが3トップにつながりません。26分、ボックス右でスティーヴンスから奪ったサラーのコントロールショットはファーポストの外。33分にファン・ダイクが縦に出したロングフィードで、ラインの裏を取ったマネがGKヘンダーソンと1対1になりますが、シュートは明らかなミスキックで右に逸れていきました。

36分、クロスのクリアをトラップしたロバートソンの左足ミドルは、力んでしまい右に大きく切れていきます。43分、サラーが中央に斬り込んでフィルミーノに預けると、左でフリーのマネにラストパスが通りますが、右足のフィニッシュはポストにヒット。前半は0-0で、プレミアリーグ首位はオンターゲットゼロに終わりました。後半開始早々にフレックが持ち込んだカウンターは、左足のグラウンダーをファン・ダイクがカット。スタンドの盛り上がりは、FAカップで強豪に挑む下部リーグのクラブを思い出させます。

53分、左からのCKで競り勝ったマクバーニーのヘッドはクロスバー越え。3分後にロバートソンのパスからボックスに入ったマネは、右足アウトでパスを出した後のアフターチャージを取ってもらえません。60分にアーノルドが蹴ったFKは大きく浮いてしまいました。残り30分を切っても、レッズにオンターゲットはありません。63分、ヘンダーソンに代わってオリギ。64分に左から仕掛けたホームチームのカウンターは、陣形を立て直した後のノルウッドのミドルを、アドリアンが右に飛んでセーブしました。

70分、フィルミーノ、ロバートソンとつながったボールが左のオリギへ。クロスのクリアをワイナルドゥムがダイレクトで叩くと、正面でキャッチしようとしたヘンダーソンが股間に落として後逸してしまいました。78分、バックパスをさらったサラーがヘンダーソンと1対1になると、左足でニアを狙ったフィニッシュはGKが足で弾くビッグセーブ。85分にアーリークロスに飛び込んだクラークは、アドリアンの飛び出しを気にしてスライディングボレーを打ち上げてしまいます。87分にフィルミーノが下がってミルナー。最後まで攻め続けたシェフィールド・ユナイテッドは、ラストパスを味方に通すことができず、0-1で涙を呑みました。

マネとサラーがチャンスを活かしていれば、早い時間に勝負を決められていたはずですが、昨季プレミアリーグの得点王たちがフィニッシュの精度を欠き、レッズは難しい展開を強いられました。マンチェスター・ユナイテッドからレンタルされた守護神の痛恨のエラーで得た、貴重な勝ち点3。前線の選手たちは、体を張ってピンチをしのいだファン・ダイクやロバートソンに感謝しなければなりません。

アグレッシブなプレスとシンプルな速攻で欧州王者を苦しめたチームは、残留を勝ち取れるかもしれません。クリス・ワイルダーがタクトを揮うチームは攻守にメリハリがあり、アーノルドとマティプのサイドを何度も蹂躙しました。出足で負けない5バックはポジショニングが的確で、7試合で失点7は天晴れ。9節で当たるアーセナルは、今の中盤の守備では足元をすくわれるでしょう。番狂わせの予感が漂っていたゲームは、終わってみれば強者の順当勝ち。リヴァプールは開幕から7連勝で、昨季からのプレミアリーグ連勝記録を15に伸ばしています。