偏愛的プレミアリーグ見聞録

吉田麻也がブログで休日に長友とミラノでメシを食った話を書いてまして、「僕の中のリトル吉田に聞いたんです。そしたら『ミラノに行きたい』って言うからね…」という、本田の入団会見のパクリコメントがあまりにおもしろかったので、それを書こうと思ったのですが…。もうさんざん、スポーツ新聞や大手ポータルが取り上げてしまっており、弱小ブログが後からおもしろがってもなぁ、と冷静にさせられ、ここは涙をのんで諦めることにしました。というわけで、気分を変えて、うれしいニュースをひとつ。アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督が、「トマシュ・ロシツキは来季もアーセナルに残ることになるだろう」と、契約延長の見通しを語りました。慎重なボスがオフィシャルにコメントしているのですから、間違いないでしょう。グーナーのみなさん、よかったですね！プレミアリーグを盛り上げてくれる選手の残留は、ライバルクラブのサポーターといえどもうれしいものです。

来季でプレミアリーグ8年め、もう34歳になるんですね。入団当初はケガで長期間の離脱を余儀なくされ、獲得は失敗だったのではないかとさえいわれましたが、これまでに彼がアーセナルで果たした役割は絶大です。ここで負けたらチャンピオンズリーグ出場権危うし！というピンチを、何回救ってくれたでしょうか。ロシツキのプレイをひとことで表現するならば、「速く、前へ」。後ろからパスを受けると、あの特徴的な「くるくるターン」で素早く前を向き、常にチーム全体を押し上げるプレイをしてくれます。

最大の魅力は、FWに入れる縦パスのタイミングのよさと、サイドチェンジやクロスボールの正確さでしょう。ロシツキが左サイドでボールを持ったら、DFのみなさんは、縦はいいから横を切りましょう。右足でファーサイドのジルーやウォルコットにカーブをかけたプラスのクロスを入れられれば、一発で「ゴールや否や」というピンチに追い込まれます。狭いスペースでもあっさり通すパスのスピードは、プレミアリーグナンバーワンといっていいのではないでしょうか。「アーセナルらしさとは、ロシツキのプレイである」といっても過言ではないとすら思います。

そしてもうひとつ、忘れてはいけないのは、献身的なディフェンスです。ボールを獲られたときのなりふり構わないスライディングは、テレビ画面で観るとイエローやレッドをもらいやしないかとハラハラしますが、ピッチの上で見たら、あれは気が引き締まりますよ。私は高校の頃、サッカー部だったのですが、真横で先輩にあんな鬼気迫るスライディングを見せつけられたら「これは俺もいかないとやばい」と緊張感が上がります（レベルの低い卑近な例で恐縮です）。そのへん、どうなんでしょう、エジルさん。ね、いきますよね、あれ見たら！

願わくば、アーセナルのレジェンドのひとりであるロシツキには、プレミアリーグでそのキャリアを全うしていただきたいと思います。ぜひ、心のなかの「リトル・ロシツキ」に聞いてみてください。「ロンドンでシューズを脱ぐよ」というはずですから！