イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

えっ!?「マンチェスター・シティが来季チャンピオンズリーグ出場権を剥奪される」ってホント?

不謹慎かもしれませんが、この話が事実なら、マンチェスター・ユナイテッドやトッテナム、リヴァプールのサポーターは、心のなかで「よっしゃー!」と叫んでしまうのではないでしょうか。正々堂々とピッチのなかで戦って勝ち負けを決めたい、と口ではいっていても、プレミアリーグ4位をめぐる争いは過去にないほど熾烈で、チャンピオンズリーグに出られる・出られないでは天国と地獄といっていいほどの差があります。前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。ネタ元はロイターですが、「マンチェスター・シティが来季のチャンピオンズリーグ出場権を剥奪される可能性がある」そうです。理由は、1点。フィナンシャル・フェアプレー規則違反です。マンチェスター・シティはUEFAが定めた赤字許容基準まで、過去の損失を減額できない状況だそうです。

ここで、フィナンシャル・フェアプレーについて整理しましょう。目的は、大きな投資をできるクラブとできないクラブの戦力不均衡を一定の範囲で抑え、コンペティティブな状態を維持することと、極端な投資により赤字がかさみ、つぶれていくクラブが続出するのを防ぐことです。プレミアリーグ関連でも、1990年代には当時のイングランドリーグで優勝までしていたリーズ・ユナイテッドが、2007年に破産してしまうなどの事件があり、過剰な投資をどこかでチェックしないと、サッカー界が衰退してしまうという危機感があるわけです。

今季、2013-14シーズンは最初の審査の年となり、過去2シーズン(2011-12、2012-13)の収支をチェックされることになっています。基本的には「赤字はNG」なのですが、いきなりそういわれても…というクラブがあるのを考慮し、2014-15シーズンまでは、上限4500万ユーロ(約62億9000万円)までの赤字は許容されます。

というわけで、ここからいよいよマンチェスター・シティのお話に入ります。アブダビからシェイク・マンスール氏がオーナーとしてやってきて5年半が経ちますが、この間のマンチェスター・シティの選手獲得への投資は凄まじく、過去2年で1億5000万ポンド(約254億円)も使っているそうです。当然、この規模の収益を短期間で加えることなどできるわけもなく、彼らの赤字は、2012-13シーズンで5160万ポンド(約87億5000万円)。これでも前年より半分に減らしたとのことですが、UEFAの許容ラインとはまだ25億円ほどの乖離があります。これが埋まらないとすると、さて、どうなるの!?というわけですね。

「そうはいったって、チャンピオンズリーグ出場権剥奪なんて、そう簡単にやれないでしょう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いやいや、UEFAは容赦ないですよ。欧州をなめてはいけません。ユヴェントスが八百長事件を起こしたとき、下部リーグへの降格はもちろん、セリエAは過去に遡ってリーグ優勝を剥奪。UEFAも、同じ八百長事件ではチャンピオンズリーグのマルセイユ優勝をデリートし、マジョルカの経営破綻では、ヨーロッパリーグへの出場権をあっさり取り上げています。ましてや、UEFA現会長はミシェル・プラティニ。交渉による「なあなあ解決」で恩を売るよりも、むしろ「いい見せしめ」とばかりに喜んで権利を奪うほうを選ぶ男です。私は、1970年代からプラティニのファンだったのでわかります。ユヴェントスの司令塔時代は、あまりに尊大な振る舞いでチームメイトから煙たがられていた人間です。彼は、やるでしょう!

…とまあ、すみません。テンションが上がりすぎたようですが、事実だけ記すと、「マンチェスター・シティは、現状のままではフィナンシャル・フェアプレーの審査でアウトになる見通し。クリアできなかった場合は、チャンピオンズリーグ出場権を剥奪されるのが現行ルールであり、実際にそれが施行される可能性は決して低くはない」ということになりますね。

われわれマンチェスター・ユナイテッドサポーターも、トッテナムやリヴァプールサポーターの方も、当面しばらくは「プレミアリーグ4位は大変だなぁ」と、難しい顔をしていましょう。そして、このストップ機能が作動したときは、さらに難しい顔で「マンチェスター・シティも大変だなぁ」とうなずくのがよいでしょう。いずれにしても、お互い、来季のチャンピオンズリーグには、ぜひ出場したいものですね。

応援しているサポーターの方々には申し訳ありませんが、マンチェスター・シティにいいたいのは、「わかってたのに選手を買い漁ったのだから、仕方ありませんよね」ということだけです。ルールはルール。守るべきこそルール。プラティニ会長、今後のためにも遠慮は要りません。ここは是々非々でいきましょう。だいたい、経営者視点、株主目線でいえば、大した資産もないのに人件費比率が80%を超える会社の株なんて持ってられませんよ。プレミアリーグがフェアな戦いの場であり続けるためにも、こういった話に変に政治が介在せず、正しく運用されることを望みます。念のために付け加えておきますが、決してライバル憎しでいっているわけではないので、もしマンチェスター・ユナイテッドが赤字基準をクリアできなかった場合は、どうぞ、チャンピオンズリーグ出場権は剥奪してください。もちろん「権利を持っていれば」の話ですが。

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“えっ!?「マンチェスター・シティが来季チャンピオンズリーグ出場権を剥奪される」ってホント?” への15件のフィードバック

  1. あああ より:

    アンチシティとしてはなれば最高という感じですが、抜け目をずっと指摘されてるFFPですからねー。
    うろ覚えですが、以前に話題になったエティハドスポンサー?だかの件がOKならいくらでも大手を振ってくぐり抜けれそうですよ(笑)
    PSGやモナコなんてどう考えてもアウトですよね。
    ついでにチェルシーもハズレてくれないかな・・・なんて

  2. makoto より:

    あああさん>
    そうですね。オーナーの金を裏からぐるっと動かしてロンダリングして、「寄付、いただきましたー!」といえば通るのが、現行のルールです。もしルールに抜け道があって、マン・シティがそれをうまく使ってかいくぐったなら、今回は「OK」ですね。

    嫌なのは1点。アウトなのにゴリ押しでうやむやにするのだけは、FFPというコストのかかる施策自体を無力化するので、やめてほしいと思います。裏道・抜け道は、おっつけで解消していっていただくしかないですね。寄付による穴埋めOKなど、企業会計では考えられない杜撰なルールだと思いますので。パリとモナコは、どうするんですかね…。特にモナコは、収益が増えるイメージがまったくないのですが。

  3. makoto より:

    FFPがしっかり機能してくれればむちゃむくちゃなオーナーが介入してくることも少なくなりますかね?
    ガナーズはこれも見越してのチーム経営なので、これが報われることを祈ります。

    —–
    せおさん>
    めちゃめちゃ機能するか、めちゃめちゃ形骸化するかどちらかでしょうね。後者の場合は、スペインの2強やバイエルン、マンチェスター・ユナイテッド、ユヴェントスなど、古くから欧州のイニシアティブを握っていたクラブの胸先三寸になると思います。この人たち、都合悪くなると逆ギレ&結託して「CLボイコット」とか脅しかけてきたりするので。

    私も、これがしっかり機能してくれることを望みます。が、むちゃくちゃなオーナーは減らないでしょうね(笑)。放映権料などでかい収入が入るサッカークラブは、不動産や株などを一定持ってしまった金持ちにとって、投資案件として魅力的に映るんじゃないでしょうか。

  4. んむ より:

    もしマンシティだけがペナルティを受けるようなことになったら、裁判でSもしますかね?
    プラティニもPSGだけ守るわけにはいかないでしょうし
    個人的には、マンシティはPSGを風よけに使ってるイメージがあります笑

  5. makoto より:

    んむさん>
    金持ちクラブの刺し合いには発展しないでしょう。各クラブとも、金の流れについては、UEFAよりも知られたくない機関があるでしょうし。

  6. ACOLE より:

    そのシティはポルトのマンガラとフェルナンドを獲得間近とかなんとか
    これ以上獲得するのはやめてくれと思うのですが実際仮にこれで獲得成功して4冠しても収支的には厳しいのでしょうかね?
    チェルシーファンとしては他人事ではないので心配です

  7. コウチ より:

    レッズサポとしては剥奪にこしたことはないんですが(笑)
    バイエルンを倒せるのはシティだけなんで出て欲しい気持ちもあります(笑)
    赤字なら選手買い取りたいですよホント(笑)

  8. スパーズ推し より:

    正直、シティやPSG、モナコに資本が投入されていくのを見ているのはあまり面白くありません

    さらには、同じリーグのチーム
    シティの現状はやりすぎですねw
    (PSGも全く同様だと思いますが)

    毎年のように選手を買い集め、ドリームチームを作ったはいいが、CLに出られないなんて笑い話にもなりません
    (*我がスパーズもかなりの補強をしましたが、決して油田から金を集めたのではなく
    ベイルという素晴らしい選手についた、正当な売り上げですので悪しからずw)

    もう一つ、これを機に、リーガの放映権配分問題にもメスを入れるべきでしょう

    レアルとバルサにゴッソリ収益を持っていかれ
    他のチームには申し訳程度の額しか入りません

    バレンシアやマラガが財政難で毎年選手を放出しなければならない状況には涙が出てきますし

    今季、二強と互角の競り合いを見せるアトレティコも
    財政の影響で、今シーズン終了にはクルトワの問題を抱え、また選手は流出するでしょう

    バルサレアル以外のリーガチームが主力選手を放出せざるおえず、毎年のように喰われていくのは、もう見ていられません

    この手の問題はすぐにでも打開すべきです
    そうすれば、金満と呼ばれたチームも自ずと、育成を見直すでしょう
    リーグの質は真の意味で上がると思います

    育成を改善すれば、イングランドの未来も明るいんだけどなぁ……

  9. makoto より:

    シティがCL出られないのはプレミアにとってはマイナスだと思うけれど

    —–
    コウチさん ACOLEさん>
    4冠獲れば、チャンピオンズリーグの収益で、マンガラとフェルナンドの移籍金は思いっきりペイして多額のオツリがきますが、全体の収益は好転しないでしょう。彼らの問題は、移籍金もさることながら、高い年俸支払いと、マン・ユナイテッドやアーセナルほどチケットやグッズの収入が入らないことなので。レスコットに週給1300万、年俸7億ですから、固定人件費がクラブの損益計算書を相当、圧迫しているはずです。

    コウチさん>バイエルンを倒せるのは、スアレスとスタリッジという世界一のFWコンビがいるチームでは(笑)?マン・シティに頼らずとも、プレミアリーグ勢で倒しましょうよ。もしかして、ガナーズがリベンジを果たすかもしれませんよ(結構マジ)。

  10. makoto より:

    スパーズ推しさん プレミア大好き!さん>
    「マンチェスター・シティがチャンピオンズリーグに出られないのがマイナスかどうか」でいえば、これ自体はマイナスではないですね。「他のチームが出てグループリーグや決勝トーナメントで早期敗退した」場合に、はじめてマイナスになります。その意味でいえば、ここ2年は「マン・シティはグループリーグで敗れて、他クラブの足を引っ張っていたクラブ」だったのです。

    現状は、イタリアにランキングで抜かれない限りは4チーム出場できるので、イタリアよりも上であればOK。スペインを抜いてトップに立つことには直接的なメリットはありません。

    リーガ・エスパニョーラの放映権問題については、おそらく改善しないでしょうね…。あのまま、他クラブが弱体化して、リーガ自体がつまらなくなって放映権の総額が目減りし、バルサやレアル・マドリードも困る等で思い知るしかないんじゃないですか。一度、リーグアンやエールデヴィジぐらいまで、地方のクラブの興業規模が縮小すれば、さすがにスペインのみなさんも目が覚めると思われます。

  11. makoto より:

    プレミアファンとしてはCLでプレミア勢が勝ち進むのなら嬉しいですが流石にやりすぎだと思います
    擁護するつもりはないですが財政難のクラブを助けた面も否定できないですよね
    これだけ金を使って弱ければ笑いものなんですが攻撃的な魅力あるサッカーをしていて嫉妬せずにはいられないです

    —–
    通りすがりさん>
    ただ金を使っているだけでなく、スカウティングなど、獲り方がうまいのでやっかいです。彼らが選手の年俸を引き上げてしまうと、全体相場が高騰してクラブ経営を圧迫する、といったことが進むかもしれません。そうなると、メジャーリーグベースボールのようなサラリーキャップ制も真剣に検討せざるをえなくなりますね。マーケット荒らしはほどほどにしていただき、赤字隠し等は絶対にやめていただきたいと思います。

  12. シティサポじゃない より:

    言われてることはよくわかります。
    実際昨シーズンのシティのCLの戦い方を観てがっかりした記憶があります。
    でも今シーズンのシティはCLでいい戦いをしているし、プレミアでも魅力的な戦いをしている(好き嫌いはあるとは思うけれど)
    おそらくプレミア屈指の対外アピールの出来るクラブだと思います。
    プレミアリーグに人の注目を集める意味では、やはりあまり喜べない部分もあると思いますし、シティが優勝してしまえばなおさら。
    ルールを犯しているならしょうがないとも思うけれど、もしそうなれば
    やはり残念だと思う。

    —–
    ユナイテッドサポらしい記事ですねー
    いくらなんでもロイターの記事についてここまで言うとは・・
    私はシティは現時点でプレミア最強だと思うので、CLでも勝ち上がってほしいと思います。
    まあお金の使いすぎでCL出れないとかなったらさすがに笑うけど。

  13. プレミア大好き! より:

    年間PSG

  14. ガジ より:

    初コメです。よろしくお願いします。
    基本的にプレミアリーグに興味はないんですが、FFPについてちょっと。
    PSGって確か審査を掻い潜るために、オーナー(カタール王族)の息のかかった公的機関から180億円のスポンサー契約を結び、赤字を見事に補填してしまったみたいな記事を見たことがあります。これこそ抜け道ってやつでしょうか。実際12-13シーズンのPSGのコマーシャル収入は「世界一マーケティング上手なクラブ」として知られるバイエルンよりも上で、No.1のコマーシャル収入を得ている結果に。

    FFP、もうちょっと明確にならないものでしょうか^^;
    個人的にオーナーの資金を頼りに大型補強を繰り返し、強豪になっちゃうようなクラブってどうも好きになれなくて^^;僕はインテリスタですが、新会長トヒルに期待するのは「大型補強」ではなく「新スタジアム建設、それに伴う収入UP」です。経営モデルとしてはブンデスリーガがいいですね。

  15. makoto より:

    ガジさん>
    抜け道は、「スポンサー」と「寄付」のようですね。私も、オイルマネーで強くなっちゃうクラブが好きではないので、規制の明確化をお願いしたいと思ってます。インテルがスタジアムを造るとなると、かなり大変そうですね。ミラノは都会なので、土地も上物も、予定地の地ならしも反対するサポーターの説得も、お金とパワーがかかりそうです。

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