香川真司久々の登場もむなしく、マンチェスター・ユナイテッドはオリンピアコスに初の敗戦!
ギリシャのトップクラブであるオリンピアコスは、ゲームを観る限りはさして強いチームに見えませんが、昨年の11月27日にチャンピオンズリーグのグループリーグで、アウェイのパリ・サンジェルマン戦を2-1で敗れてから19試合負けなし。フラムとストークの2戦を足しても勝ち点1しか奪えず、プレミアリーグ下位チームと当たってもなかなか勝てないマンチェスター・ユナイテッドより自信と勢いがあります。ゲームが始まって間もなく、ボールをまわすマンチェスター・ユナイテッド、カウンターのオリンピアコスという構図が出来上がります。
8分、最初のチャンスはオリンピアコス。ハーフライン付近で奪取したボールをドミンゲスにつなぐと、活きのいいアタッカーは迷わずドリブル開始。中盤で3人を抜き去り、あっという間にヴィディッチと1対1です。ここはベテランのセルビア代表がうまく守って事なきを得ましたが、中盤でボールが獲れないため、簡単にゴール前まで運ばれるのが気になります。25分にも、やはりドリブルでエルナン・ペレスが中に切れ込みニアにシュートしますが、こちらは枠を外れてホームチームの先制はなりません。
マンチェスター・ユナイテッドの攻撃は、バレンシア、エヴラが縦に勝負するという個人技まかせ。トップのファン・ペルシにうまくボールが入らず、サイドを数的優位を創って攻略するといった工夫がないため、ルーニーがボールキープしないと攻撃になりません。両チームとも、決め手がないため保たれていた均衡は、38分のオリンピアコスの一撃で崩れます。
右サイドからのクロスのクリアを真ん中で拾ったのはキャプテン、マニアティス。シュートコースが空いているのに、誰もチェックにいきません。ミドルシュートはうまく当たらず、デヘアの守備範囲に飛んでいきますが、このボールの角度を変えたのは、最前線でやはりノープレッシャーだったアルゼンチン人FW、アレハンドロ・ドミンゲス。逆を突かれたGKデ・ヘアのダイビングは間に合わず、過去マンチェスター・ユナイテッドに4戦全敗のオリンピアコスが先制します。前半のマンチェスター・ユナイテッドのシュートはわずか2本。これでは勝負になりません。モウリーニョ監督なら、後半頭から動いてくるところでしょう。
後半に入っても、オリンピアコスが単独ドリブルを仕掛けてくると、中盤センターで奪えず、DFがゴールエリアまで下がってしまうという臆病なディフェンスは改善しません。そこをついたのが、55分のキャンベルでした。ドミンゲスに入ったくさびの戻しを受け、チェックにこないファーディナンドのポジションを確認すると、その外を巻いてゴール左に刺さる左足ミドルを決め、2-0。このまま終われば、マンチェスター・ユナイテッドのホーム巻き返しは難しいものになります。61分、遅まきながらモイーズ監督が動きます。孤立していたバレンシアと、何もしていなかったクレヴァリーout。ウェルベック、そして香川真司の登場です。
モイーズ監督の選手交代には、常に明確な意図はないのでしょう。香川真司が最初にボールを触ったのは、ピッチに入ってから7分後でした。狙いがないので、いつもながら選手交代しても攻撃に変化がありません。72分には、またもやドミンゲスが中盤の選手を引きずってドリブル。アウェイチームは決定的な3点め寸前まで追い込まれます。マンチェスター・ユナイテッドはハーフライン付近でボールを失う場面が多く、攻撃の手数が増えません。
しかし、ラスト10分からわずかながら状況が動きます。きっかけは、勝ちを意識し始めたオリンピアコスが、鋭い速攻をやめてマイボールキープにギアチェンジしたことでしょう。中盤センターの背後の脅威が減ったマンチェスター・ユナイテッドは、相手の穴である右サイドから、スモーリングやアシュリー・ヤングがアーリークロスを入れ始めます。ああ、最初から敵はここが弱いとわかっていたのに。バイエルン・ミュンヘンのグアルディオラ監督が、アーセナル戦で後半開始からラフィーニャを投入して徹底的にモンレアルをいじめたように、誰か選手を入れるなら、後半早い時間から右にヤヌザイだったでしょう。え?ヤヌザイ、いない?珍しく、サイドアタックのスペシャリストを誰もベンチに置いていなかったのですね。だとすると、どういう意図で選んだ遠征メンバーだったのでしょうか。やっているサッカーは、ひたすらサイド攻撃なのに…。
79分にアシュリー・ヤングからファン・ペルシにアーリークロスが入るも、これは届かず。81分、この試合最大のチャンスがやっと訪れます。香川真司が右サイドでスモーリングに絶妙のスルーパス。スモーリングがこれを中央のファン・ペルシに合わせると、エースはトラップで相手CBをかわし、詰めてくるGKヒメネスを見てフリーで右足シュート!決まった!?…ああ、やはり右足、ボールは枠の上!
残り時間わずかとなり、香川真司が動きます。日本代表の10番とルーニーが合うのは、ふたりとも、狭いすき間を「パスが通る広さ」と認識できるからでしょう。中盤でのルーニーとの緻密なパス交換で、MFふたりの間のわずかなスペースを通したルーニーのパスを受けて香川真司がフリーで突破。中央でDF3人を引きつけると、どフリーで走り込んできた左のエヴラへラストパス。そのまま打つか、短く持ってすぐにクロスを入れていれば1点ものでしたが、エヴラが選んだのは長いドリブル。これは時間をかけたためにDFに戻られ、ゴールならず。よし、ようやく香川真司を入れた効果が出始めた、後はこれを繰り返し…え?タイムアップ!?ところでウェルベックはどこにいました?
残り30分で2人代えて、ひとりめの交代の成果がやっと出たのが追加タイム、ふたりめは完全に消えていたのでは、勝てるわけがありません。かくしてプレミアリーグ勢初ゴールの期待がかかったマンチェスター・ユナイテッドは、マンチェスター・シティとアーセナルに続けとばかりに、同じ2-0で敗れ、次戦のハードルを上げただけで終わってしまいました。
プレミアリーグファンのみなさん、申し訳ありませんでした。何をいわれても返す言葉がなく、もう、「てへぺろ」としかいえません。このうえは、みんなで肩組んで涙ぐみながら、セカンドレグを応援しましょう。いやいや、クリスタル・パレス戦ではよくなってたんですけどね…先週末は相手が消極的だっただけ、ということを本日やっと認識しました。開幕直後の上位対決ラッシュという拷問に始まり、チームバラバラという拷問が続く今季のプレミアリーグは、やけに長い。うう。(アレハンドロ・ドミンゲス 写真著作者/Mikhail Slain)
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業務開始直前に拝見しています。寝不足の自分が悲しい今日この頃です…。
明日に期待をかけ、2レグを待つしかありません。
それでもバルサ、バイエルンのホームに行くシティやアーセナルよりも恵まれているはずです。ユナイテッドがんばって欲しいです。香川は使って下さい。
あまりにも監督交代が続き、どうかなと思っていましたが、ユナイテッドの場合には、もうモイーズ交代しかない気もしますが。
更新お疲れさまです
今回の試合はワーストゲームだったのではないでしょうか……
ほんとうにひどかったですね。
それにしてもてへぺろ……笑
koさん>
まったく同感です。ラストの香川のエヴラへの展開をみて、「クロス以外でこういう違いを生み出せるのは、やっぱり香川とルーニーだ」と思いました。次戦は頭からいってほしいですね。モイーズについては、この次の記事で書きましたので、お昼休みにでもどうぞ。
ウィルシェアさん>
最悪でした。人間、我慢や怒りが限界を超えると、思いもよらぬ言葉や行動が内側から生まれてくるようです。で、てへぺろ。
更新お疲れ様です。
まいりましたね。プレミアの顔であるユナイテッドがこんな具合じゃあ、リーグ全体が舐められてしまい。
何気に今回のCLでは予選通過1位組が初黒星なんですね。
リバサポさん>
「予選通過1位組が初黒星」→これは「知らないふり」をしてとぼけていたのですが。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグを通じて、プレミアリーグ勢でいちばん言い訳ができないのは、何をかくそう、マンチェスター・ユナイテッドです。
心中お察しします。
モイーズ監督はホントにどういうフットボールをしたいのかわかりません。
補強もよくわからない。
極論ですが、サイドごり押しをしたいならマタよりベイルですよね。
今、ベッカムがいたら最高戦力になりそう(笑)
未だに、「監督解任はユナイテッドではない」とか「ファギーの後だから苦戦は当然」とか「ファギーも最初は苦しんだ」というのは盲目的すぎるでしょうね。
これらの免罪符をとりだす人がやたら多いのが気になります。
僕としては九十五とまではいかないまでも(もしかしたらいってる人も居るかもしれない)、様々な論題をたたき付けたいもんです。
モイーズが産みの苦しみなら良いですが、将来のために種を蒔いてるわけでもないのに、今後花が咲くとはとは思えませんよ。
嗚呼、娯楽の為のフットボールが苦痛となる、この論理的矛盾・・・
あああさん>
「監督解任はユナイテッドではない」⇒前任者が長かっただけ。過去には「3人連続1年」もあります。
「ファギーの後だから苦戦は当然」⇒チャンピオンを引き継いだのだから、6位は苦戦しすぎ。
「ファギーも最初は苦しんだ」⇒イングランドリーグでずっと勝てていなかったクラブを引き受けたファーガソンと、前年優勝チームを率いるモイーズは、発射台が違います。
といったところでしょうか。
いつも楽しく見させていただいております、
っていうコメントがよくあるけど、
まさにこれ。
いつも仕事の合間の息抜きになっております。感謝!
ユナイテッドのOBが「モイーズには時間が必要だ」という話をずっとしているので、とりあえず解任論は来季の冬まで控えようと思っているのですが、それにしても采配に一貫性がないのが気になります。
CLのアウェイゴールルールを考えるとユナイテッドは攻撃的布陣を敷くべきでした。ところがウイングがバレンシアとヤング。いやまあクロス攻撃を徹底させるならそれでも良いんですが、それなら何故フェライニを使わない?クリスタルパレス戦でそれなりに機能してたのに…。で、消極的になったところで相手のカウンターサッカーでやられる。ストーク戦やフラム戦より酷かったんじゃないでしょうか。
ホント、モイーズ監督、何がやりたいのかわかりません。どうせならかつて率いたエヴァートンのサッカーを徹底してやれば良いと思うのですが。
バナー、いつもポチポチっと押させてもらってます。次はユナイテッドにとって楽しい記事が読みたいですねぇ(ため息)。
プレミア大好き!さん>
ありがとうございます。これからもぜひ、お時間あるときに読んでやってください。
Uボマーさん>
モイーズ監督は、今季40通りにも及ぶスタメンを使っているそうですね。われわれサポーターから見ても、これだけ「狙いがわからない」「何で出したのか・外したのかわからない」という声が出ている状態なのがまずいですね。
バナー、ありがとうございます!私も、楽しい記事を書きたいです…。