リヴァプール紀行 (4)体の芯まで温まるパブのアイリッシュ・シチュー
12月30日、午前。早起きして、のんびりアルバートドックの散策を愉しみ、ライムストリート駅前のホテルへの帰り道。13時30分からエヴァートンVSチェルシーがあるので、その前に何か食べようということになり、少し回り道しながら、お店がありそうな通りをぷらぷら歩いていました。目に入るのは、カフェかパブかファーストフード。朝食をそれなりに食べたので、カフェのサンドイッチにはあまり惹かれません。ファーストフードにいくぐらいなら、いわゆる”スタジアム飯”のほうがいい。そうなると、パブということになります。うーん、パブか。
これまでの「リヴァプール紀行」「ロンドンのおいしいもの」を読んでお察しの方もいらっしゃるかと思いますが、正直に申し上げると私はパブに対する警戒心が強いのです。理由は簡単。ハズレのインパクトがバカでかい、ということに尽きます。「イギリスは食事がまずい」と以前はよくいわれていたわけですが、パブにはその象徴ともいうべき「煮すぎてくずれた味のない野菜」「シャビシャビに薄いグレービーソースをぶっかけた硬い肉」「どこの部位か不明な臭い臓物」をにこにこ出してくるお店が未だにあるのです。これはねぇ…ホントに心臓に悪いです。脈拍が上がります。あのスマイルがウリの川越達也先生でも悪魔の形相、断末魔の叫び、採点不能です。できれば、そんな目に合わずに気持ちよくグディソン・パークに向かいたいわけです。
ほどよく煮込まれたジャガイモ、玉ねぎ、ニンジンと、いい香りが漂う羊肉。アイリッシュシチューは「家庭の数だけ味がある」といわれているそうで、ホワイトシチューだったり塩シチューだったり、ベースも味付けも千差万別らしいのですが、このお店はグレイビーベースで、マトンによく合う素朴で優しい味。そして、肉や野菜もさることながら、上にちょこんと乗っかっているタイム・コブラー(thyme cobbler)がおいしいんです。これは、少しハーブの香りが立った、甘くないお食事ビスケット、とでも形容するのがいいのでしょうか。
風が冷たい冬のリヴァプールにあって、体が温まるシチューに出会えたのはとてもありがたく、エールをお代わりしながら(ビールばかり飲んでますね)、すっかりくつろいでしまいました。こちらはロンドンを始め、イングランドの各地で展開しているパブだそうですが、次回、イギリスを訪ねたら、ぜひまたこのシチューをいただきたいと思いました。
われわれのすぐ近くでは、チェルシーやエヴァートンのユニフォームを着た親子、若者たちがやはり食事をしており、さあ、いよいよという気分が盛り上がってきます。キックオフまであと2時間。そろそろ、行こうか。
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ちなみにアイリッシュ・シチュー&タイム・コブラ―のレシピがありますので、ご紹介します。
このブログとかなり趣旨違いですが⇒「BBC GoodFood」
(5)リヴァプールで見つけたあまりにも緩いサッカーグッズ に続く
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