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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】ESPNが日本の敗戦を分析!「香川は臆病」「8年前のオーストラリア戦のようだった」

昨日の日本VSコートジボアール戦について、アメリカのスポーツメディア「ESPN」が的確な分析をしていたので、紹介しましょう。彼らは、日本代表を 「2006年ドイツ・ワールドカップにおける日本代表の初戦、オーストラリア戦のようだった」と表現。前半に、中村俊輔のFKがGKの頭上を越える、幸運なゴールで先制したにもかかわらず、後半押されて、ラスト7分で3点を失ったあの試合です。この試合で2ゴールを決めたのが、当時プレミアリーグのエヴァートンで活躍していたティム・ケーヒル。彼は、今回のワールドカップでもチリ戦でゴールを挙げており、長い年月に渡って素晴らしい活躍を続けています。

1-0でリード、しかし劣勢という局面で、8年前のジーコ監督が、守りに徹する稲本起用ではなく追加点に色気を出して小野伸二を投入したのも、2点めのために長谷部を遠藤に代え、明らかに悪かった香川真司を残したザッケローニ監督と共通しています。そういえば、この両監督は、「相手によってやり方を変えるのではなく、自分たちのサッカーを追求して勝つ」というスタンスも似ています。

さらにESPNは、「後半から入ってくるのは明らかだったドログバが、自信たっぷりにピッチに出てきたとき、日本代表には全く自信が感じられなかった。しかし、ドログバはさほど特別なことをしていない。ただ彼がドログバであるということだけで、日本は恐れ、他の選手がピッチにいるのを忘れているようだった」と、ドログバ投入後の混乱について指摘しています。確かに、失点はドログバ登場の2分後。彼を自由にさせるまいと中盤が下がり過ぎ、前半にもましてサイドを開けてしまったことが、3分間でヘディング2発を喰らうという逆転につながってしまいました。ゴールエリア付近に3人も侵入させてしまい、そこにフリーの選手からクロスが入れば、先に触られて枠に入れられる可能性は一気に高まります。日本のDF陣がいちばん避けたかったのは、「ドログバやボニーと、ペナルティエリア内で1対1の勝負になること」だったはずです。

そしてもうひとつ、ESPNが指摘しているのは、香川真司と本田圭祐の不調ぶり。私も昨日、「プレミアリーグで悪戦苦闘していたときでも、こんなにひどい香川は観たことがない」という趣旨の記事を書きましたが、ESPNは「香川真司がゲームメークで本田圭祐と連携できたら、試合は違っていた。香川は自らの強みを消してしまっており、臆病だった」と表現しています。「前半の本田圭祐のゴールは彼の実力を見せつけたが、後半の日本代表には、本田も含めてがっかりした」と。

これを読んで思い出したのは、2002年ワールドカップ、埼玉で行われた日本VSベルギーの試合です。私はこの日の前半、GK楢崎のすぐ後ろで試合を観戦していたのですが、CB松田がビルドアップの際に、市川と柳沢がいる右サイドに、縦のロングボールを再三送っていました。後で調べると、これはトルシエ監督の指示だったそうで、「敵陣奥深く、サイドのエリアに縦に入ったボールからはカウンターに転じにくい」というリスクヘッジの意味があったとのこと。早い時間に、ベルギー得意の速攻を喰らわないという「相手なりの戦い方」をしていたということでもあります。

今回の日本代表には、こういった工夫がありませんでした。自分たちの形を急いで作ろうとして、香川真司も本田圭祐も無理な勝負を仕掛け、前半半ばからはショートカウンターの餌食になり、対応に追われて体力を消耗しました。コートジボアールが、ヤヤ・トゥレとセレ・ディエの中央からのドリブル突破が脅威だっただけに、「香川真司と本田圭祐が上がる時間を稼ぎ、不用意なミスでカウンターを喰らわないために、中央で勝負を急がず、比較的押し込みやすかった岡崎慎司と内田篤人の右サイドにシンプルに展開する」という戦術もあったと思います。

とはいえ、ザッケローニ監督は、相手を分析して対応する戦術をとるということをしない監督です。彼のスタイルは、ひたすら自分たちのスタイルを徹底するというもの。難易度の高いザック流3-4-3戦術を徹底してウディネーゼで成功し、3-4-3を強引に定着させようとしてチームが瓦解したACミランでは、主力選手に糾弾されてクラブを去りました。それを考えれば、そもそもザッケローニの指南書のなかには、「敵に合わせて戦術をチューニングする」「リスクヘッジしながら攻撃を仕掛ける」というメニュー自体が、ないのかもしれません。

いや、「れば・たら」の話は、ここまでにしましょう。日本サッカー協会とわれわれサポーターは、ザッケローニのスタイルで、世界の強豪と互角に攻め合って勝つことを望み、ここまできたわけですから。ギリシャ戦に向けて、あれこれいじって過去にやったことのない戦術をとるより、初戦で見えた課題だけ修正して、今までどおりのサッカーで戦ってもらえればと思います。ESPNもこういっています。「グループリーグを突破するためには、すぐに立て直せるという自信を持たないといけない。攻撃的で、調和のとれたパフォーマンスが必要であり、初戦でがっかりさせられた香川真司と岡崎慎司は、もっと攻撃的なプレイをしてほしい。ディフェンス陣も、うまくシンプルにボールを処理することが望まれる」。

ギリシャ戦、期待しています。香川真司や柿谷曜一朗の、ワールドカップ初ゴールが観たい!(岡崎慎司 写真著作者/jeollo von)

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