2020.04.12 アーセナルの話題
リーグ中止の影響が大きいアーセナル、最悪のシナリオと打開策をシミュレーション!
マンチェスター・ユナイテッドは45%、マンチェスター・シティは43%、チェルシーは41%。1月にリリースされた「デロイト・フットボールマネーリーグ2020」を見ると、コロナウイルスの影響で中断しているプレミアリーグにおいて、どのクラブがより苦しい状況に置かれているのかが一目瞭然です。
冒頭の数字は、2018-19シーズンにおけるコマーシャル収入(スポンサーフィー)の比率です。クラブと企業との契約は長期に渡るものが多く、さまざまな業界からフィーが入れば、直近の試合が飛んだことによる短期的な減収の影響は小さくなります。マンチェスター・シティはいち早く「政府のサポートは受けない」と発表。マンチェスター・ユナイテッドはマン・シティとともに地元のフードバンクに寄付を行い、チェルシーはスタジアム併設のホテルを医療スタッフに提供するなどのサポートを実施しています。
リヴァプールのコマーシャル比率は35%、トッテナムは29%。2018-19のチャンピオンズリーグでファイナルを戦った彼らは、テレビ放映権料の比率が高く、早期敗退となった今季は減収が予想されています。トッテナムは、スタッフの一時解雇に伴う政府の援助を利用して彼らのサラリーを支払うと決断し、リヴァプールも同じスキームに乗っかろうとして囂々たる批難を浴び、すぐに撤回しました。収益力では欧州のTOP8に顔を出しているクラブでさえ、先行き不透明ななかで、人件費負担が重くのしかかっているであろうことは容易に想像できます。
プレミアリーグのビッグ6のなかで、最もコマーシャル比率が低いのは、28%のアーセナルです。高額のシーズンチケットを悠々と売りさばいている彼らは、マッチデイ収入のウェイトが高く、マン・シティの10%やチェルシーの15%を大きく上回る25%をチケットやグッズの売上が占めています。近年の不振によって売上が停滞し、欧州のランキング11位に甘んじているノースロンドンのクラブは、プレミアリーグ2019-20シーズンが中止となれば、テレビ放映権の減収とシーズンチケットの補償というダブルショックに見舞われます。彼らの現状については、「流動資金をキープできているが、潜在的なリスクが最も高いクラブ」という表現が妥当と思われます。
そんな背景をふまえて、アルテタ監督の言葉を聞くと、より納得感が高まります。「現実に起こりえる2~3のシナリオがある。そのなかのひとつを採用するが、想定より多くのことができるか、少ないか、あるいは何もないかはわからない」。CB、SB、セカンドストライカー、サイドアタッカーなどの補強が噂されているアーセナルの変動要素は、「補強予算」「オーバメヤンの身の振り方」「ダニ・セバージョス、パブロ・マリ、セドリク・ソアレスといったローンで獲った選手の去就」といったあたりでしょう。
最悪の4点セットは、「プレミアリーグ2019-20シーズンの中止&欧州失権」「オーバメヤン移籍」「ローン移籍選手を全員返却」「投資余力不足による現状維持」。エースを泣く泣く手離して得たお金を補強にまわす余裕がなくなり、フリーエージェントで入手できるライアン・フレイザーのような選手のみの補強となれば、次のシーズンの期待値は若手のブレイクとアルテタ監督の手腕に限定されます。
ネガティブな表現が並んでしまい、恐縮ですが、私はアーセナルの未来について、さほど悲観していません。8ヵ月前に、補強禁止とアザール移籍というノックアウト必至の連打を喰らったランパード監督が、若手を開花させてプレミアリーグ4位をキープしているように、アルテタ監督が補強を断念させられたとしても、現有戦力を活かしてチームを強化できるのではないでしょうか。最終ラインは、夏にやってくるウイリアム・サリバとプレミアリーグの初年度を棒に振ったキーラン・ティアニーに期待。ニコラ・ペペがフィット感を高め、サカを前で起用できるようになれば、サイドアタックのクオリティも向上します。
ダニ・セバージョスを失うのは激痛ですが、グエンドゥジとルーカス・トレイラは、まだまだよくなると信じましょう。放出の噂があるメートランド=ナイルズを本人希望のセントラルMFにコンバートするという奥の手もあります。マルティネッリをトップ下あるいはセカンドストライカーに固定し、エンケティアにはタミー・アブラハムのような覚醒を促し、ネルソンがホッフェンハイム時代のプレイを思い出せば、前線も戦える布陣になるのではないかと思います。
オーバメヤン、パブロ・マリ、ダニ・セバージョスにはぜひとも残ってほしいのですが、彼らなしのチームを預かったアルテタ監督の立ち回りも見てみたい気がします。最悪のシナリオは、言い換えれば「失うものは何もなし。ただし伸びしろはNo.1」。ニコラ・ペペ、マルティネッリ、エンケティア、サカ、ネルソン、ウィロック、ティアニー、グエンドゥジ、メートランド=ナイルズ、ウィリアム・サリバ、ホールディングと、前年より格段によくなる可能性がある選手が10人以上いるのですから。
冒頭の数字は、2018-19シーズンにおけるコマーシャル収入(スポンサーフィー)の比率です。クラブと企業との契約は長期に渡るものが多く、さまざまな業界からフィーが入れば、直近の試合が飛んだことによる短期的な減収の影響は小さくなります。マンチェスター・シティはいち早く「政府のサポートは受けない」と発表。マンチェスター・ユナイテッドはマン・シティとともに地元のフードバンクに寄付を行い、チェルシーはスタジアム併設のホテルを医療スタッフに提供するなどのサポートを実施しています。
リヴァプールのコマーシャル比率は35%、トッテナムは29%。2018-19のチャンピオンズリーグでファイナルを戦った彼らは、テレビ放映権料の比率が高く、早期敗退となった今季は減収が予想されています。トッテナムは、スタッフの一時解雇に伴う政府の援助を利用して彼らのサラリーを支払うと決断し、リヴァプールも同じスキームに乗っかろうとして囂々たる批難を浴び、すぐに撤回しました。収益力では欧州のTOP8に顔を出しているクラブでさえ、先行き不透明ななかで、人件費負担が重くのしかかっているであろうことは容易に想像できます。
プレミアリーグのビッグ6のなかで、最もコマーシャル比率が低いのは、28%のアーセナルです。高額のシーズンチケットを悠々と売りさばいている彼らは、マッチデイ収入のウェイトが高く、マン・シティの10%やチェルシーの15%を大きく上回る25%をチケットやグッズの売上が占めています。近年の不振によって売上が停滞し、欧州のランキング11位に甘んじているノースロンドンのクラブは、プレミアリーグ2019-20シーズンが中止となれば、テレビ放映権の減収とシーズンチケットの補償というダブルショックに見舞われます。彼らの現状については、「流動資金をキープできているが、潜在的なリスクが最も高いクラブ」という表現が妥当と思われます。
そんな背景をふまえて、アルテタ監督の言葉を聞くと、より納得感が高まります。「現実に起こりえる2~3のシナリオがある。そのなかのひとつを採用するが、想定より多くのことができるか、少ないか、あるいは何もないかはわからない」。CB、SB、セカンドストライカー、サイドアタッカーなどの補強が噂されているアーセナルの変動要素は、「補強予算」「オーバメヤンの身の振り方」「ダニ・セバージョス、パブロ・マリ、セドリク・ソアレスといったローンで獲った選手の去就」といったあたりでしょう。
最悪の4点セットは、「プレミアリーグ2019-20シーズンの中止&欧州失権」「オーバメヤン移籍」「ローン移籍選手を全員返却」「投資余力不足による現状維持」。エースを泣く泣く手離して得たお金を補強にまわす余裕がなくなり、フリーエージェントで入手できるライアン・フレイザーのような選手のみの補強となれば、次のシーズンの期待値は若手のブレイクとアルテタ監督の手腕に限定されます。
ネガティブな表現が並んでしまい、恐縮ですが、私はアーセナルの未来について、さほど悲観していません。8ヵ月前に、補強禁止とアザール移籍というノックアウト必至の連打を喰らったランパード監督が、若手を開花させてプレミアリーグ4位をキープしているように、アルテタ監督が補強を断念させられたとしても、現有戦力を活かしてチームを強化できるのではないでしょうか。最終ラインは、夏にやってくるウイリアム・サリバとプレミアリーグの初年度を棒に振ったキーラン・ティアニーに期待。ニコラ・ペペがフィット感を高め、サカを前で起用できるようになれば、サイドアタックのクオリティも向上します。
ダニ・セバージョスを失うのは激痛ですが、グエンドゥジとルーカス・トレイラは、まだまだよくなると信じましょう。放出の噂があるメートランド=ナイルズを本人希望のセントラルMFにコンバートするという奥の手もあります。マルティネッリをトップ下あるいはセカンドストライカーに固定し、エンケティアにはタミー・アブラハムのような覚醒を促し、ネルソンがホッフェンハイム時代のプレイを思い出せば、前線も戦える布陣になるのではないかと思います。
オーバメヤン、パブロ・マリ、ダニ・セバージョスにはぜひとも残ってほしいのですが、彼らなしのチームを預かったアルテタ監督の立ち回りも見てみたい気がします。最悪のシナリオは、言い換えれば「失うものは何もなし。ただし伸びしろはNo.1」。ニコラ・ペペ、マルティネッリ、エンケティア、サカ、ネルソン、ウィロック、ティアニー、グエンドゥジ、メートランド=ナイルズ、ウィリアム・サリバ、ホールディングと、前年より格段によくなる可能性がある選手が10人以上いるのですから。
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