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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ミケル・アルテタ監督とクラブドクターたちが指摘する「プレミアリーグ再開に関する最大の懸念」

「選手たちは、トレーニングセッションが始まる5分前に、自分の車で、自分の服で、自ら用意した水とプロテインバーを携えて到着しなければならない。ひとつのピッチにひとりのプレーヤーがいる。他には何もない。彼らは互いに接触することはない。見かけることすらないかもしれない。フィットネスコーチもいない。それぞれ、独自のプログラムが用意されている。セッションは1時間で終了する。公園に行くより安全だ。スタッフにプロテクトされているからね。何かが発生したときは、緊急の対応を要求できる」

ロンドンのコロニーで行われているトレーニングについて、ミケル・アルテタ監督は「現状で考えうる限りの最高の環境が用意されている」と語っています。ロックダウンを実施する政府のヘルスガイドラインに基づき、選手たちにはフィットネスをチェックするアプリが付けられ、12月からプレミアリーグに出場できなかったキーラン・ティアニーが印象的な数値を記録したと伝えられています。しかし…。

これほどの周到な体制のなかで行われているトレーニングを理解している指揮官をしても、「プレミアリーグの再開には困難が伴う」といわしめる状況です。「最も難しいのは、プレーヤー、マッチデースタッフ、グラウンドワーカーなど、トレーニングや試合に関わるすべての関係者に対する教育だろう。われわれは、プロトコルに相当厳格でなければならない。これを常識化することによって、次のステップに進めるかどうかが決まる」。3月にコロナウイルスの感染によって苦しんだ若いマネージャーの指摘は、プレミアリーグのクラブに所属する20人のドクターが示した懸念と符合します。

4月25日より、プレミアリーグとクラブドクター、医療のエキスパート、公衆衛生局の担当者が参加する電話会議がスタート。選手、マネージャー、クラブスタッフの同意を得ながら、フットボールを安全に再開できるようにするための健康と衛生対策を考案する週2回の場で、ドクターたちがさまざまな問題を指摘したと報じられています。「BBC」によると、とりわけ重いテーマは、選手が感染した際の責任の所在と保険について。厳格なプロトコルと運用プランがあったとしても、個々に対する浸透と実践がなければ、ウイルス感染のリスクを低減することはできません。

フットボール・メディシン・パフォーマンス・アソシエーション(FMPA)のCEOイーモン・サーモン氏は、「再開プランに関するクラブドクターと専門家の意見はさまざまだ」とコメントしています。「メンバーの見解は、社会のスナップショットといえるのかもしれない。可能だという人もいる。疑わしいと思っている人も、おそらく不可能と示唆する人もいる」「われわれは待たなければならない。これは常に待たされるゲームでもある。日々、風景は変化しているからね。まだ、始まりにすぎない。どんな提案があったとしても、その後の議論のなかで取り入れることができる」。

プレミアリーグは、2020-21シーズンを無観客で実施する可能性を視野に入れています。全20クラブにおけるマッチデー収入の比率は13%。クラブの破綻を防ぐべく、テレビ放映権料やスポンサーフィーが占める87%をすべて得ようとすれば、6月再開がぎりぎりのタイミングになります。与えられた時間は6週間。拙速と評価した際に止める勇気も、リスクに脅えて止めない勇気も求められます。プレミアリーグもFAも、PFA(プロサッカー選手協会)、LMA(リーグ監督協会)、FMPAといった関連団体も、クラブも、ドクターも、スタッフも、選手たちも。

リーグ再開が待ち遠しいと語る選手がいる一方で、アグエロやランシーニのように怖れる選手がいるのも、社会を切り取ったスナップショットです。来週月曜日に開催される会議で、再開に踏み切るか、あるいは中止や延期となるかはまったくわかりませんが、もし、6月のピッチに選手たちやスタッフのみなさんが戻ってきたときには、心からの拍手をもって迎えたいと思います。世界のファンにフットボールを届けるために、厳しいプロトコルを遵守し、週2回のドライブスルーテストを受け、できる限りのコンディショニングによってシーズンを全うしようと努力してきた人々に敬意を表して。


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