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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

シュート決定率はリーグ最下位…序盤のスタッツに見る「今のアーセナルに足りないこと」

「それだ!」。そのパスが通った瞬間、思わず叫んでしまいました。クルルのキックを追ったスミス・ロウが敵陣左サイドで奪い、落としたボールを受けたティアニーが脇にいた味方に預けたシーンです。敵陣を斜めに切り裂く高速パスを出したのは、4分前に入ったばかりのトーマス・パーティー。ハンリーをかわしてドリブルで持ち込んだのは、曖昧なポジショニングが目立っていたブカヨ・サカでした。

数秒後、ニコラ・ペペが左右のポストにシュートを当て、こぼれ球がオーバメヤンの前に出ると、今季プレミアリーグでチーム初となるイージーなシュートがネットを揺らしました。それまで、ゴールを決められなかったアーセナルに足りなかったのは、トーマスが見せてくれた「リスクをとって味方に勝負させるアグレッシブなパス」でした。ノリッジ戦のウーデゴーアのパス成功率93%は、ポジティブな数字とはいえないのかもしれません。セーフティな横パスが多かったノルウェー代表に、味方を前に動かせと教えるような鮮烈な1本でした。

得意のドリブルで周囲が動く時間を創ってくれるスミス・ロウと、前への意識が強いトーマスが入ってから、アーセナルのアタックは活性化しました。前半はシュート10本でオンターゲット1本だったのに対して、後半は20本のうちオンターゲットが6本。フリーの左足シュートをGKの正面に打ってしまったオーバメヤンと、ブランドン・ウィリアムズをかわした決定的なシーンでクルルが弾きやすい高さに蹴ってしまったスミス・ロウに冷静さがあれば、ガナーズは自信を取り戻せるスコアで試合を終えていたでしょう。

それでも、この試合のラスト10分は次につながる希望に満ちた時間でした。ガブリエウ・マガリャンイス、トーマス・パーティー、スミス・ロウ、オーバメヤンという背骨が揃えば、ガナーズは戦えるとあらためて証明したのですから。

これまでのアーセナルには、何が足りなかったのでしょうか。今季プレミアリーグにおける課題が窺えるスタッツを、いくつか紹介しましょう。シュート59本で1ゴール。決定率1.7%はリーグワーストです。理由のひとつは、中央からのシュート比率が低いこと。54%は最下位で、クロスが上がった際に前線の厚みがなく、カウンターでラインの裏を取るシーンも少ないのがわかります。

インターセプトはリーグ19位の28回。ポゼッション比率が高いチームは小さくなる数字ですが、今季のアーセナルはリーグ16位の42.1%です。シュートブロック26回はTOPなので、中盤センターやサイドでうまく奪えず、後方が何とか耐えたシーンが多かったということになります(マン・シティと当たったチームは軒並み多いのですが…)。

攻撃の起点が低く、ロングフィードで前線を動かす工夫もなく、サイドアタックに厚みを欠き、鋭いカウンターもなければ、決定率が下がるのは当然でしょう。ファイナルサードにおける流動性も高いとはいえません。印象的だったのは、ノリッジ戦の冨安の空回りです。オーバーラップするとき、ボックスの内側に入るシーンが多かったのは、指揮官のオーダーでしょう。52分と56分にボールを持っている選手の内側から冨安が上がってもパスは出ず、スペースを使おうとする動きもありませんでした。

アルテタ監督のチームは、解決すべき課題だらけではありますが、キーマンの復帰によって自信と冷静さを取り戻すのではないでしょうか。週末に開催されるプレミアリーグ5節のバーンリー戦は、ジャカ、エルネニー、ホールディング以外の主力が全員揃う一戦です。サカ、スミス・ロウ、ウーデゴーアが、どれだけフィニッシュに絡む仕事ができるかが、巻き返しのスピードを占う指標になるのではないかと思います。必勝のアウェイゲームは、土曜日の15時。私の最注目は、トーマスのフィードです。


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