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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

キーマンはサリバとトーマス。チェルシーを完封した圧巻の守備とビルドアップを振り返る。

最終スコアが0-1なら、「接戦」「辛勝」などと表現されるのが一般的です。しかし、あのゲームは、アーセナルの完勝と形容すべきでしょう。プレミアリーグ15節、スタンフォード・ブリッジのロンドンダービー。チェルシーのオンターゲットは、スターリングのスルーパスをカイ・ハヴェルツがダイレクトで蹴った34分の1本のみでした。

90分を通じて、チェルシーの決定機はゼロ。古巣対決のオーバメヤンのタッチは、前半も後半も4回だけです。ハイライトといえるのは、ベン・ホワイトへのチャージでもらったイエローカードと、ウィリアム・サリバの空振りでまわってきたボールを左足で叩いたシーンのみ。彼につながるパスコースは遮断され、何もできないまま、63分にアルマンド・ブロヤにポジションを譲りました。

アーセナルは、スタンフォード・ブリッジで3連勝ですが、過去2試合のポゼッションはいずれも32%。主導権を相手に渡し、速攻に徹してもぎ取った勝利でした。しかし今回は、シュート数5対14、オンターゲット1対2、ポゼッション43%対57%、パス成功率73%対82%、CK4対6、クロス成功1対4、ドリブル成功3対8と大半のスタッツで圧倒。最後までゲームをコントロールし、押し切った3ポイントでした。

圧巻だったのは、ウィリアム・サリバ、ガブリエウ、トーマス・パーティーを中心とした守備とビルドアップです。オーバメヤンのみならず、カイ・ハヴェルツとアルマンド・ブロヤも封じたサリバのボール奪取は13回。ブルーズのプレスをしばしば無力化したトーマスも、12回を記録しています。

攻守の切り替えが速かったジャカは、タックル4戦全勝。背後をカバーするジンチェンコとともに、スターリングを骨抜きにしました。ドリブルをことごとく止められたウインガーは帰陣が遅く、アスピリクエタというファイターがいなければ、右サイドは崩壊していたでしょう。

前半のチェルシーのプレスは、最終ラインに詰めるより、トーマスとジンチェンコへのコースを切るほうに重きが置かれていました。ハーフタイムのポッター監督は、劣勢を打開する必要があると考えたのでしょう。後半に入ると、CBとトーマスへの圧力を強めたのですが、彼らのチェックが左右どちらかに寄ると、あっさり逆サイドに展開されてしまいました。

あれだけプレッシャーを受けながら、パス成功率93%とは…!トーマスのパスワークは、ガナーズの勝因のひとつです。そしてもうひとつ、ガブリエウ・ジェズスの粘り強い守備も忘れてはいけません。20分にロフタス=チークから奪ってシュートを放ったストライカーは、62分にもチアゴ・シウヴァを突いて決定機を創り、決勝点を生んだCKをゲットしました。

1年半前、スミス・ロウのゴールを守り切ったロンドンダービーのCBは、ガブリエウ、ホールディング、パブロ・マリ。ビルドアップが不安定だったあのチームが、プレミアリーグ最強レベルの守備力を得るという未来は想像できませんでした。夏に獲得した新戦力のNo.1といわれれば、迷わずジェズスを推しますが、最も成功した「補強」という問いなら、マルセイユから呼び戻した若きCBと即答します。


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“キーマンはサリバとトーマス。チェルシーを完封した圧巻の守備とビルドアップを振り返る。” への1件のコメント

  1. グーナーです より:

    ヘッドバンキングするかのように首肯しながら読ませていただきました。
    間違いなくこの10年で最強のアーセナル。
    今年の優勝は間違いありません!!

    …………水色のあのチームさえいなければ

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