2023.03.11 アーセナルの話題
彼らがいるから今がある…ドロー決着のヨーロッパリーグで見えたアーセナルの凄さと課題。
敵地エスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデで2-2ドロー。ノックアウトラウンドのファーストレグとしては、悪くない結果です。スポルティングCPと戦うアーセナルにとって、エミレーツで勝てばOKというミッションは望むところでしょう。あくまでも「ヨーロッパリーグのみにフォーカスすれば」という但し書き付きですが…。
この試合は、アーセナルの凄みと課題が露わになった一戦でした。攻撃において目を引いたのは、前線の突破力です。最前線をまかされたガブリエウ・マルティネッリはドリブル成功7回、いつものポジションにいたブカヨ・サカは8回!左サイドに抜擢されたボーンマス戦のヒーロー、リース・ネルソンの4回を加えると、トータル19回も相手の最終ラインをちぎっています。
プレミアリーグのドリブル成功数ランキングで、53回のサカはぶっちぎりのTOP。43回のマルティネッリは、ベンラーマと並んで2位に着けています。最強ドリブラーコンビが存分に力を発揮したと聞けば、大量得点をイメージしますが、実際のゴールシーンはセットピースとオウンゴールでした。
サカとマルティネッリの個人技が冴えれば冴えるほど、レギュラーとサブの力量差とウーデゴーアの重要性を痛感します。今回は、トロサールとエンケティアの負傷という事情がありましたが、大事な試合で7番と11番を休ませるのは勇気が要ります。プレミアリーグは残り12試合、ELは優勝まで6試合。木曜日開催の大会で、ラウンド16からフル出場する2人を見ていると、最終盤に息切れしないか心配になります。
ウインガーが好調だったのに、ゴールを決めたのがサリバで、オウンゴールを誘発したのがジャカだったのも気になるポイントです。ウーデゴーアがいれば、個の力を活かした速攻とシンプルなサイドアタックだけでなく、多様な攻撃を仕掛けられたはずです。「3人揃えば脅威」は、「3人が揃わなければパワーダウン」と背中合わせです。
一方、守備は課題のほうが目立ちました。「勝ち続けたければ、大幅に改善しなければならない」と語った指揮官は、「ヨーロッパでのアウェイ戦で2失点を許したら、いい結果を残すのは非常に難しい。ボールを与えすぎた。ボックスをもっとうまく守らなければならない」と振り返っています。
スポルティングCP戦で浮き彫りになった課題は2つ。「ジョルジーニョの弱点を埋める機能」「ジンチェンコが中央に絞った際のカバーリング」です。チェルシーからやってきたセントラルMFがピンチの原因となった象徴的なシーンは、開始5分の決定機。自陣左からイナシオがロングフィードを前線に送ると、ジョルジーニョはゴンサウヴェスに走り負けてしまいました。
左から上がってきた28番にサリバもかわされたピンチは、シュートミスに救われました。トーマスなら、ゴンサウヴェスに入った瞬間に刈り取っていたでしょう。走力がウィークポイントのセントラルMFを起用するときは、ベン・ホワイトやサリバとの距離感は重要なテーマとなります。
話が逸れますが、トーマスの素晴らしさを思い知ったスタッツを紹介しましょう。71分に下がったジョルジーニョはファイナルサードへのパスが7本、19分しかプレイしていないトーマスは8本。ジョルジーニョはいい選手ですが、このチームにおける彼の存在感が凄すぎるのです。終盤戦で失点を減らしたければ、トーマス不在時の連携は改善すべきポイントのひとつです。
左サイドに目を移すと、ガナーズのデビュー戦となったキヴィオルは、ジンチェンコという変態SBのカバーという特殊任務をこなせませんでした。ジョルジーニョの脇でプレイする時間が長い偽SBをフォローするためには、左サイドへのパスコースを読み、スペースを埋めるという仕事が重要になります。
キヴィオルのポジションは低く、サイドのスペースが気になるシーンが目立ちました。逆転ゴールを決められたときも、中途半端なポジショニングで背後にパスを通されてしまい、アルテタ監督は冨安とガブリエウで修正する必要に迫られています。ティアニーのプレイとジンチェンコの役割をダブルでこなした冨安の存在は絶大で、63分以降に左から許したシュートはゼロでした。
今のアーセナルは、サカ、マルティネッリ、ウーデゴーア、トーマス、ジンチェンコ、ガブリエウがあまりにも特別で、代役を入れると綻びが生じるチームです。アルテタ監督はレギュラーを固定したいわけではなく、そうしなければクオリティが落ちるとわかっているのでしょう。
今月はもうひとり、アンタッチャブルなジェズスが戻ってきます。最強ドリブラー、天才プレーメイカー、偉大なセントラル、変態SBとクレバーなCBを揃えて王国を築いた指揮官は、彼らをうまく休ませながらゴールに辿り着けるでしょうか。マン・シティ、チェルシー、ニューカッスル、ブライトンと続く4月の難敵4連戦を、絶好調のレギュラー全員集合で戦えれば…!
この試合は、アーセナルの凄みと課題が露わになった一戦でした。攻撃において目を引いたのは、前線の突破力です。最前線をまかされたガブリエウ・マルティネッリはドリブル成功7回、いつものポジションにいたブカヨ・サカは8回!左サイドに抜擢されたボーンマス戦のヒーロー、リース・ネルソンの4回を加えると、トータル19回も相手の最終ラインをちぎっています。
プレミアリーグのドリブル成功数ランキングで、53回のサカはぶっちぎりのTOP。43回のマルティネッリは、ベンラーマと並んで2位に着けています。最強ドリブラーコンビが存分に力を発揮したと聞けば、大量得点をイメージしますが、実際のゴールシーンはセットピースとオウンゴールでした。
サカとマルティネッリの個人技が冴えれば冴えるほど、レギュラーとサブの力量差とウーデゴーアの重要性を痛感します。今回は、トロサールとエンケティアの負傷という事情がありましたが、大事な試合で7番と11番を休ませるのは勇気が要ります。プレミアリーグは残り12試合、ELは優勝まで6試合。木曜日開催の大会で、ラウンド16からフル出場する2人を見ていると、最終盤に息切れしないか心配になります。
ウインガーが好調だったのに、ゴールを決めたのがサリバで、オウンゴールを誘発したのがジャカだったのも気になるポイントです。ウーデゴーアがいれば、個の力を活かした速攻とシンプルなサイドアタックだけでなく、多様な攻撃を仕掛けられたはずです。「3人揃えば脅威」は、「3人が揃わなければパワーダウン」と背中合わせです。
一方、守備は課題のほうが目立ちました。「勝ち続けたければ、大幅に改善しなければならない」と語った指揮官は、「ヨーロッパでのアウェイ戦で2失点を許したら、いい結果を残すのは非常に難しい。ボールを与えすぎた。ボックスをもっとうまく守らなければならない」と振り返っています。
スポルティングCP戦で浮き彫りになった課題は2つ。「ジョルジーニョの弱点を埋める機能」「ジンチェンコが中央に絞った際のカバーリング」です。チェルシーからやってきたセントラルMFがピンチの原因となった象徴的なシーンは、開始5分の決定機。自陣左からイナシオがロングフィードを前線に送ると、ジョルジーニョはゴンサウヴェスに走り負けてしまいました。
左から上がってきた28番にサリバもかわされたピンチは、シュートミスに救われました。トーマスなら、ゴンサウヴェスに入った瞬間に刈り取っていたでしょう。走力がウィークポイントのセントラルMFを起用するときは、ベン・ホワイトやサリバとの距離感は重要なテーマとなります。
話が逸れますが、トーマスの素晴らしさを思い知ったスタッツを紹介しましょう。71分に下がったジョルジーニョはファイナルサードへのパスが7本、19分しかプレイしていないトーマスは8本。ジョルジーニョはいい選手ですが、このチームにおける彼の存在感が凄すぎるのです。終盤戦で失点を減らしたければ、トーマス不在時の連携は改善すべきポイントのひとつです。
左サイドに目を移すと、ガナーズのデビュー戦となったキヴィオルは、ジンチェンコという変態SBのカバーという特殊任務をこなせませんでした。ジョルジーニョの脇でプレイする時間が長い偽SBをフォローするためには、左サイドへのパスコースを読み、スペースを埋めるという仕事が重要になります。
キヴィオルのポジションは低く、サイドのスペースが気になるシーンが目立ちました。逆転ゴールを決められたときも、中途半端なポジショニングで背後にパスを通されてしまい、アルテタ監督は冨安とガブリエウで修正する必要に迫られています。ティアニーのプレイとジンチェンコの役割をダブルでこなした冨安の存在は絶大で、63分以降に左から許したシュートはゼロでした。
今のアーセナルは、サカ、マルティネッリ、ウーデゴーア、トーマス、ジンチェンコ、ガブリエウがあまりにも特別で、代役を入れると綻びが生じるチームです。アルテタ監督はレギュラーを固定したいわけではなく、そうしなければクオリティが落ちるとわかっているのでしょう。
今月はもうひとり、アンタッチャブルなジェズスが戻ってきます。最強ドリブラー、天才プレーメイカー、偉大なセントラル、変態SBとクレバーなCBを揃えて王国を築いた指揮官は、彼らをうまく休ませながらゴールに辿り着けるでしょうか。マン・シティ、チェルシー、ニューカッスル、ブライトンと続く4月の難敵4連戦を、絶好調のレギュラー全員集合で戦えれば…!
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