ストライカーがいなかった冬…数字で見るアーセナル失速の足跡
残り4試合となった今、オリヴィエ・ジルーにとってはレッズ戦のゴールが最後のゴール。チャンスメイクの数が激減したわけではないエジルは、その後12試合を戦ったにもかかわらず、レスター戦でウェルベックに合わせたFKの1アシストしか積めませんでした。リヴァプール戦の4日後、ドローに終わったストーク戦までが、アーセナルが首位にいた季節でした。チェルシーに敗れて転落したヴェンゲル監督のチームは、その後1度も巻き返すことのないまま、現在は10勝ち点差の3位。レスターがひとつでも勝てば、プレミアリーグ優勝の夢は途絶えます。
アーセナルが残してきた数字をあらためて見ると、いちばん目を引くのはストライカーの不足感、ストレートにいえばオリヴィエ・ジルーの不振です。前半戦では12勝を積み上げていたチームは、後半戦の15試合を6勝と停滞。ドローが6つと2015年の倍に増えており、勝ちきれなくなったことが、レスターとトッテナムの後塵を拝する大きな理由となりました。今季のガナーズは、34試合で34失点。過去5年の優勝クラブを見ると、2013-14シーズンのマンチェスター・シティと2010-11シーズンのマンチェスター・ユナイテッドは最終的に37失点しており、2012-13シーズンのマンチェスター・ユナイテッドは43。1試合1点ペースのアーセナルの失点は、優勝できないレベルまで多いわけではありません。一方で、ここまでの58ゴールは、過去5シーズンで最も少ない昨季のチェルシーの73を大きく下回っており、未曽有の混戦で全体のラインが下がっていることを考慮しても、明らかに足りないレベルです。
プレミアリーグ2015-16シーズン 3位/アーセナル
ホーム10勝4分3敗/アウェイ8勝5分4敗
■前半戦ホーム 6勝2分1敗→得点15/失点6
アウェイ6勝1分3敗→得点18/失点12
■後半戦ホーム 4勝2分2敗→得点11/失点5
アウェイ2勝4分1敗→得点14/失点11
カソルラの長期離脱、勝負どころでのチェフのリタイア、復帰後に調子が上がらなかったアレクシス・サンチェスの停滞…。アーセナルの停滞は複合的な理由によるもので、特定の選手に背負わせるべきものではありませんが、ストライカーが決められなくなったことは、ここ一番でドローや敗戦を積み重ねてしまった最たる理由でしょう。ジルーが最後のゴールを挙げた21節までの戦績と、それ以降の数字を比較してみましょう。
★ジルー好調期のアーセナル(プレミアリーグ開幕~21節)
21試合13勝3分5敗(首位) 得点37/失点21
オリヴィエ・ジルー/21試合12ゴール
38試合なら22ゴールペース
★ジルー失速後のアーセナル(プレミアリーグ22節~34節)
13試合5勝5分3敗 得点21/失点13
ホーム 3勝2分2敗→得点10/失点5
アウェイ2勝3分1敗→得点11/失点8
オリヴィエ・ジルー/13試合ノーゴール
21試合で勝てなかったゲームが8試合だったチームは、13試合で既に8つ落としています。これは、ジルーひとりの責任といいたいわけではありません。問題は、「最前線がゴールを決められなくなった穴を、埋める手立てがなかった」ことでしょう。振り返ってみれば、今季のジルーはプレミアリーグ全試合出場ながら、8月末からの2ヵ月弱はウォルコットにポジションを奪われていました。しかしこの間、ジルーは途中出場で3ゴールを挙げ、2ゴールに留まりボールがおさまらないウォルコットからレギュラーを奪取。忘れてはならないのは、この時期はアレクシス・サンチェスが絶好調だったことで、レスター戦のハットトリックの後、3-0完勝のマン・ユナイテッド戦で2発。続くワトフォード戦でも先制ゴールを挙げています。ストライカーが苦しんでいるゲームで、脇から斬り込みゴールを挙げてくれていたワールドクラスのアタッカーが、1月末の復帰以降の2ヵ月を1ゴールのみで過ごしてしまったのも見逃せません。
1月にストーク、チェルシー、セインツと3試合連続スコアレス。チャンピオンズリーグのバルサ戦の敗戦を引きずったのか、3月上旬には3試合7失点と崩れてノースロンドンダービーを含む3試合未勝利。ジルーを狂わせたのは、メルテザッカー退場の煽りで22分で代えられたチェルシー戦のショックだったのか。明らかに苛立つ顔を見せ始めたエジルや、アグレッシブな姿勢が影を潜めていたアレクシスに代表されるチームの空気の淀みなのか。これだけ長く続くノーゴールは、メンタルの問題が大きいのではないかと思います。
「アーセナルが失速したのはホームで勝てなくなったからだ」と報じていたメディアがあったので、「いや、ホーム⇔アウェイという整理ではなく、得点力が落ちたのが大きいのではないかと疑問に思い、調べさせていただきました。今朝の観戦レポートにも書きましたが、サイドでボールを持ったときに中にいる選手のポジショニングがよくないのが気になっています。前の選手がエジルのボールを決められなくなったのは、不調というだけでなく、戦術的な問題も大きいのではないかと思います。
開幕前に「ベンゼマを獲得すればプレミアリーグもチャンピオンズリーグも勝てる」「20ゴールを決められるストライカーは必須」とコメントしていたティエリ・アンリと、「来季タイトルをめざすためには補強が必要」と指摘したメスト・エジルは、同じベクトルで語っているのでしょう。ベルバトフ、アグエロ、ファン・ペルシ、アグエロ、ジエゴ・コスタ。直近5年の優勝チームには、20ゴールを挙げたストライカーが必ずいます。私は、ジルーの憎めないキャラクターが好きなこともあり、彼がここに名を連ねるのではないかと秘かに期待していたのですが、来季のアーセナルが真っ先に手を付けないといけないポジションは最前線のようです。来季のジルーが、自分より実績のあるストライカー相手に腐らずレギュラー争いを挑み、勝てないまでも彼らしく価値を発揮したとき、アーセナルは今よりも頂点に近づいているのではないでしょうか。懸案のポジションは他にもあれど、アンリの言葉は若干乱暴ながらも的を射ているのだと思います。
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ジルーは好きだけど、ジルーじゃリーグ戦を勝てない。このジレンマはグーナーの多くが抱えている悩みだと思います。
今シーズンのベンゲルは、ジルー、ウェルベック、ウォルコットのストライカーに加え、サンチェス、チェンバレン、エジル等のアタッカー陣でゴールを分け合うことを考えていたんだと思いますが、うまくいかなかったですね。
コクランやベジェリンのようなブレイクが前線で起きなかった(またその期待に依存しすぎた)ことが今シーズンの結果を招いてると思うのですが‥怖いのは来シーズンもベンゲルが同じ考えを貫くのではないかということです。
これも今多くのグーナーが抱えるジレンマではないでしょうか笑
僕も顔は笑っていますが、心はヒヤヒヤです。愛想尽かしてエジルが出て行くことだけは避けてもらいたい‥。
失礼しました。
アーセナルの今期の物足りなさ、不振は正におっしゃる通りかと思います。毎度のことながらさらに関連するスタッツを WhoScored.comで調べてみました。まずはガナーズ ストライカーの1試合平均シュート数は下記の通りでした。
1, サンチェス 3.6 (12/24)
2, ジルー 2.7 (12/24)
3, ラムジー 2.4 (5/26)
4, ウェルベック 2.3 (3/6)
5, ウォルコット 1.7(5/15)
括弧内はトータルゴール/出場ゲームです。
同じ記録をプレミアトップスコアラーと比較すると下記の通りになります。
ケイン 4.1 (24/34)
ヴァーディー 3.1 (22/34)
アグエロ 4.0 (22/24)
ルカク 3.2 (18/33)
今期活躍しているストライカーは、1試合平均3シュート以上打ち、アグエロを除けばほぼ全試合出場しています。これから見るとサンチェスのストライカーとしてのパフォーマンスは合格点だったものの怪我での欠場が痛かったと言えるでしょう。問題のジルーは両条件を満たしておらず、ウォルコットは問題外のパフォーマンスだったことになります。
ちなみにチームスタッツでも1試合平均のベナルティーエリア内シュート数はアーセナルは1位の9.8 (2位シティ9.2、3位トッテナム8.5)ですが、ボックス外からの平均シュート数は何と下から3番目の4.0(1位トッテナム 7.8、2位リバプール 7.6)と、シュートもボックス内にかなり片寄っています。相手ディフェンダーからしたら中を固めればアーセナルの攻撃は怖くないのではないでしょうか。
この事からもエジルのアシストが活き、外からも中からもシュートを打てるワールドクラスのストライカーを是非とも補強してサンチェスとの相乗効果を狙い、ジルー、ウェルベックには奮起を促して欲しいです。今日のWBAとのゲームでも攻撃で違いを作り出していたのはキレキレだったサンチェスと後から入ったキャンベル位でした。オフザボールの動きも含め、戦術面も含めた改善が必要かと思います!
たら、ればを言っても仕方ないのですが、「誰か補強するならば誰かを出す」前提で、バッサリ切っていただきたいです。個人的には、前線ならウォルコットは諦めるでしょうか。。ジルーは、短時間で結果を残す、守備も頑張ってくれるという意味で残すべきと考えてます。ウェルベックも、ジョーカーとしてと、カップ戦要因、では貴重かと。
ファンペルシが出たのも、タイトルを本気で獲る姿勢が見られなかったからですよね。お金もなくはないと思いますが。コロやソングもおそらく同じ理由でしょう(おそらくお金が一番の動機で出ていったアデバのキャリアは皮肉なものですが)。
解任ではなく年齢的に、ヴェンゲルの政権がそう長くないことは分かっています。栄光の色あせた監督として去るか、偉大な指揮官として花道を飾るか、もう時間がありませんよね。長期的視野なんて言葉はもう今は要りません。決断すべきと思います。
ワールドクラスのストライカー獲れるんですかね?
プレミアだけでもマンU,チェルシー、トッテナム、リバプール、もしかしたらマンCも補強を狙っているポジションですからね。