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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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メスト・エジル、まさかの落選…PFA年間ベストイレブン発表!

今週末は、大忙しです。プレミアリーグ35節と並行して、ウェンブリーではFAカップ準決勝が開催されます。本日はエヴァートンVSマンチェスター・ユナイテッド、明日はクリスタル・パレスVSワトフォード。最近のチームコンディションを考えれば、マンチェスター・ユナイテッドが3年ぶりのタイトルに近づいているといっていいでしょう。日曜日には、サンダーランドVSアーセナル、レスターVSスウォンジーと注目の上位チームのプレミアリーグがあり、同日のロンドンでは選手たちの投票で選ばれるPFA(イングランドサッカー選手協会)の年間最優秀選手が発表されます。

このMVPに先立ち、木曜日にPFAベストイレブンが選出されたのですが、後ろと前は納得の顔ぶれ、真ん中にサプライズがありました。今季プレミアリーグで18アシストと、アーセナルの攻撃を牽引してきたメスト・エジルの名前がありません。カンテ、マフレズのレスターコンビは鉄板、トッテナムの新星デル・アリも納得。もうひとりはエジルではなく、ウェストハムの躍進のシンボル、ディミトリ・パイェです。

「選手たちがなぜ彼に投票しなかったのか、理解できない」と、アシストランキングの頂点にいる選手の不在についてヴェンゲル監督が不満を表明しました。お気持ちはわかるものの、誰かの鶴のひと声で決まったわけではない結果について、文句をいっても仕方がありません。選手たちからすれば、個人表彰とはいえチームの勝利への貢献度は重要であり、「記録より記憶」でもあるのでしょう。昨季は優勝したチェルシーから6人が選ばれており、今季も首位にいるレスターから4人、2位トッテナムから4人。「勝てば官軍」の世界のなかで、昨季と同じ順位にいるアーセナルには「停滞」「失速」のイメージがあるのに対して、リヴァプールやチェルシーより上位というめざましいジャンプアップを遂げたウェストハムのエースのほうに、より評価が集まったのではないでしょうか。

そしてもうひとつ、選手たちにとっては、パイェは戦った際の印象が鮮烈だったのではないかと思います。ルーレットを駆使し、囲まれても奪われないドリブルや、守備の選手たちを沈黙させる直接FK。貢献度が変わらなければ、玄人好みのエジルのゲームメイクより、華やかな飛び道具を持つパイェの衝撃的なプレミアリーグデビューのほうに気持ちが傾くのもわかります。

さらにいえば、選出時期の問題もあります。昨季はプレミアリーグ得点王のアグエロが選出されず、後半戦だけで15ゴールのハリー・ケインと、後半戦は9試合欠場でわずか3ゴールながら、序盤の活躍でチェルシーの独走を牽引したジエゴ・コスタが選ばれました。最終的には、2位に5ゴール差となる26ゴールでフィニッシュしたアグエロが得点王レースを圧勝したものの、彼が4月以降9ゴールという「差し馬」だったことが災いしています。投票の時期は、三つ巴。19ゴールだったハリー・ケインが頭ひとつ抜けている状況でした。「今頃そんなに固め獲りされても困るよ、投票しちゃったし」と選手たちがいいたくなるような鮮やかな追い込みを見せたアグエロは、プレゼンテーションのタイミングが悪かったと諦めてもらうしかありませんでした。

エジルが選ばれるためには、アーセナルが優勝争いに絡んでいることに加えて、3月にプレミアリーグ新記録となる21アシストを決めていなければならなかったのでしょう。ドイツ代表MFが披露したワールドクラスのクオリティにテンションが上がりっぱなしだった私としては、悔しさは残るものの、ここはいさぎよくパイェをリスペクトしたいと思います。

【プレミアリーグ2015-16シーズン PFA年間ベストイレブン】
■GK
ダヴィド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)
■DF
ダニー・ローズ(トッテナム)、トビー・アルデルヴァイレルト(トッテナム)
ウェズ・モーガン(レスター)、エクトル・ベジェリン(アーセナル)
■MF
ディミトリ・パイェ(ウェストハム)、エンゴロ・カンテ(レスター)
デル・アリ(トッテナム)、リヤド・マフレズ(レスター)
■FW
ハリー・ケイン(トッテナム)、ジェイミー・ヴァーディ(レスター)

エジルはさておき、他のポジションは見れば見るほど納得の顔ぶれです。縦へのスピードには定評があったベジェリンは、今季は攻守ともに中に入るプレイのクオリティが上がり、ベストイレブンにふさわしいプレイヤーになったと思います。ここにいない選手で投票したくなるのは、前半戦は間違いなくモーガンより上だったマンチェスター・ユナイテッドのクリス・スモーリング、パイェと一緒に左サイドで暴れまわったアーロン・クレスウェル、アルデルヴァイレルトと一緒にトッテナムの守備を落ち着かせたエリック・ダイアー。カイル・ウォーカーとベジェリンはどちらが入ってもOKです。もう10試合ほど出場機会が多ければ、フィリペ・コウチーニョにもチャンスはあったでしょう。

最前線と最後方は文句なしでしょう。デ・ヘアがいなければ、この2年のファン・ハール監督は、モイーズ監督と大して変わらない順位にいたのではないでしょうか。ベストイレブンに選出されたみなさん、素晴らしいシーズンです。まだ数試合残っていますが、最後までプレミアリーグを盛り上げていただければと思います。おめでとうございます!

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“メスト・エジル、まさかの落選…PFA年間ベストイレブン発表!” への3件のフィードバック

  1. おハム より:

    パイエが選出されてうれしいです。しかし、ペナルティエリア内に侵入しシュートを打てる状況にもかかわらず仲間を探してロストをしたり、シュートを打たずにパスを選択する光景を最近よく見ます。
    ここ最近のパイエはFKこそいいものの、何か物足りないような気がします。
    このままですと悪い意味で、来季はパイエよりランシーニが活躍する気がします。

  2. yuto より:

    納得の選出ですね。
    エジルがいないことには多少の違和感も感じますが、MFの顔ぶれをみれば文句なしです。
    まだ、優勝チームが決まってはいませんがシーズン終了後に投票を行ったとしてもこのメンツのような気がします。
    ユナイテッドファンとしてもデヘアが選出され、今シーズンは契約延長もしてくれたことに感謝の一言です。(今夏にいなくならないですよね・・・)
    来シーズンのベストイレブンはどのような顔ぶれになるのか・・・
    できることなら厳しいシーズンとなったメンフィス・デパイが飛躍することを願います。

  3. makoto より:

    おハムさん>
    ひと頃の勢いはなかったとしても、パイェはやっぱり素晴らしいなと思います。キャロルの出場時間が長くなっているからではないでしょうか。

    yutoさん>
    デパイ、このまま終わらないでほしいですね。来季はマルシアルにMVPを獲ってもらいましょう。

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