2023.08.24 アーセナルの話題
記者もグーナーもモヤモヤ…中盤で戦うカイ・ハヴェルツはアーセナルで持ち味を発揮できるのか?
「彼は存在しなかった」。口の悪い現地のプレミアリーグファンや、チームに対する期待値が高まったグーナーは、6500万ポンドで獲得したアタッカーに対して苛立ちを感じているようです。プレミアリーグ2023-24シーズンを連勝でスタートさせたアーセナルのなかで、カイ・ハヴェルツだけが持ち味を発揮できていないように見えます。
同じく新加入のデクラン・ライスは高評価。「テレグラフ」のサム・ディーン記者は、「後半になって、冨安が物議を醸す2枚目のイエローを提示された後、守備による抵抗は疲れ知らずのデクラン・ライスがリードした。ウーデゴ―アはキャプテンらしくゴールを決め、中盤のライスは彼の背後で真のリーダーシップを発揮したのだ」と、手放しで称賛しています。
「スカイスポーツ」のジェイミー・キャラガーも、あらゆるエリアに出没した41番を絶賛しています。「すべてが彼を経由しているように感じた。中央でボールを受け、プレイをスイッチしていた。50~60ヤードの素晴らしいパスが何本もあった。ピッチ上で最高の選手。傑出していた」。アーセナルの投資の何割かは、類まれなるリーダーシップに対するものだったといいたいのでしょう。
さて、カイ・ハヴェルツです。クリスタル・パレスのロンドンダービーで、「存在しなかった」はいいすぎでしょう。デュエルと空中戦の戦績を見ると、開幕戦の8勝8敗に続いて、セルハーストパークでも8勝7敗。目下のところ、チームのデュエル最多勝です。開始直後に右から仕掛け、ボックス左のマルティネッリに通したラストパスは見事でした。
右サイドのサカからエンケティアにボールが渡り、GKと1対1になった29分のチャンスも、シュラップから奪ったのはカイ・ハヴェルツです。66分には、エンケティアのシュートのこぼれ球を拾い、きわどい一撃を右のポスト際に放っています。とはいえ、これが唯一のシュートで、もの足りないといわれる理由のひとつではあるのですが…。
彼に対する大方の評価が低いのは、左サイドを活性化できなかったからでしょう。「フットボールロンドン」のトム・カントン記者によると、この日に通した23本のパスのうち、前に出したパスはたったの3本。サリバと冨安に15本で、マルティネッリやエンケティアを動かすボールが少なく、ガナーズの決定機の大半は右サイドからの仕掛けでした。
問題は、アルテタ監督が求めるカイ・ハヴェルツの役割とめざす姿が見えないこと。6500万ポンドで移籍決定と聞いたグーナーの多くは、チームに必要なタイプの選手だと思っておらず、SNSは賛否両論でした。かくいう私も、どこで起用するのかわからなかったひとりで、ペップが採用した3-2-4-1の2列めならありえるけれど、左のインサイトはピンとこないと思っていました。
チェルシーでは最前線を任されており、グラニト・ジャカと同じようなプレイを見せてくれれば合格というわけではないでしょう。エンケティアをGKの前に送り出したデクラン・ライスのスルーパスや、マルティネッリをラインの裏に走らせた冨安の縦パスは、カイ・ハヴェルツに出してほしいボールだったのではないでしょうか。
プレミアリーグ2023-24が始まって、まだ2試合。新戦力が、この時期にフィットしていないというのはよくある話で、焦る必要はありません。そうはいってもモヤモヤするのは、ベストポジションがわからないからでしょうか。ストライカー、偽9番、トップ下、ウイング。アルテタ監督にインサイドをまかせるといわれたのが、入団を決断した理由と伝える記事もあるのですが…。
今しばらくは、彼の持ち味がチーム戦術に活かされていくプロセスに注目し、やがて「アルテタ監督がめざしていたのは、こういうことだったのか!」と腹落ちする日が来るのを楽しみにしたいと思います。ゴールやアシストといった目に見える結果が出れば、メディアやファンのトーンも本人の姿勢も変わるのではないかと期待しつつ。(カイ・ハヴェルツ 写真著作者/ David)
同じく新加入のデクラン・ライスは高評価。「テレグラフ」のサム・ディーン記者は、「後半になって、冨安が物議を醸す2枚目のイエローを提示された後、守備による抵抗は疲れ知らずのデクラン・ライスがリードした。ウーデゴ―アはキャプテンらしくゴールを決め、中盤のライスは彼の背後で真のリーダーシップを発揮したのだ」と、手放しで称賛しています。
「スカイスポーツ」のジェイミー・キャラガーも、あらゆるエリアに出没した41番を絶賛しています。「すべてが彼を経由しているように感じた。中央でボールを受け、プレイをスイッチしていた。50~60ヤードの素晴らしいパスが何本もあった。ピッチ上で最高の選手。傑出していた」。アーセナルの投資の何割かは、類まれなるリーダーシップに対するものだったといいたいのでしょう。
さて、カイ・ハヴェルツです。クリスタル・パレスのロンドンダービーで、「存在しなかった」はいいすぎでしょう。デュエルと空中戦の戦績を見ると、開幕戦の8勝8敗に続いて、セルハーストパークでも8勝7敗。目下のところ、チームのデュエル最多勝です。開始直後に右から仕掛け、ボックス左のマルティネッリに通したラストパスは見事でした。
右サイドのサカからエンケティアにボールが渡り、GKと1対1になった29分のチャンスも、シュラップから奪ったのはカイ・ハヴェルツです。66分には、エンケティアのシュートのこぼれ球を拾い、きわどい一撃を右のポスト際に放っています。とはいえ、これが唯一のシュートで、もの足りないといわれる理由のひとつではあるのですが…。
彼に対する大方の評価が低いのは、左サイドを活性化できなかったからでしょう。「フットボールロンドン」のトム・カントン記者によると、この日に通した23本のパスのうち、前に出したパスはたったの3本。サリバと冨安に15本で、マルティネッリやエンケティアを動かすボールが少なく、ガナーズの決定機の大半は右サイドからの仕掛けでした。
問題は、アルテタ監督が求めるカイ・ハヴェルツの役割とめざす姿が見えないこと。6500万ポンドで移籍決定と聞いたグーナーの多くは、チームに必要なタイプの選手だと思っておらず、SNSは賛否両論でした。かくいう私も、どこで起用するのかわからなかったひとりで、ペップが採用した3-2-4-1の2列めならありえるけれど、左のインサイトはピンとこないと思っていました。
チェルシーでは最前線を任されており、グラニト・ジャカと同じようなプレイを見せてくれれば合格というわけではないでしょう。エンケティアをGKの前に送り出したデクラン・ライスのスルーパスや、マルティネッリをラインの裏に走らせた冨安の縦パスは、カイ・ハヴェルツに出してほしいボールだったのではないでしょうか。
プレミアリーグ2023-24が始まって、まだ2試合。新戦力が、この時期にフィットしていないというのはよくある話で、焦る必要はありません。そうはいってもモヤモヤするのは、ベストポジションがわからないからでしょうか。ストライカー、偽9番、トップ下、ウイング。アルテタ監督にインサイドをまかせるといわれたのが、入団を決断した理由と伝える記事もあるのですが…。
今しばらくは、彼の持ち味がチーム戦術に活かされていくプロセスに注目し、やがて「アルテタ監督がめざしていたのは、こういうことだったのか!」と腹落ちする日が来るのを楽しみにしたいと思います。ゴールやアシストといった目に見える結果が出れば、メディアやファンのトーンも本人の姿勢も変わるのではないかと期待しつつ。(カイ・ハヴェルツ 写真著作者/ David)
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更新お疲れ様です。
ライスとハヴァーツの件ですが、現地記者やパンディット、特にキャラガーやリオ・ファーディナンド等、どこまで表面的にしかフットボールを見れないのか、だから現代の監督として全く成功できないのだろうと思ってしまいます。(ロイ・キーンは論外ですが…)
ハヴァーツの気の利いたポジショニングは特筆すべきであり、攻撃時のデコイの動きや守備時の的確なプレスと立ち位置、個人的には才能に溢れてると思っています。
それを活かしきれていない、チームとしての問題があるのではないのでしょうか。
ライスは確かにオンザボールや対人は凄まじいものがあり、大好きな選手ではあるのですが、
ポゼッション時にライスが低い位置をとりすぎるせいで、トーマスの左(ハヴァーツの後ろ)のスペースが空いており、そこにハヴァーツが降りてこなければならないせいでいい位置でもらうことができず、攻撃が停滞しているように見えます。
冨安もいるにも関わらず、ライスは降りてきすぎ、ボールを欲しがりすぎです。
手放しに派手なライスを称賛し、地味なハヴァーツを批判する。なぜイングランド人監督が成功できないかが明白になってしまう議論な気がしますね。