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厳しすぎるテン・ハフ戦術…マン・ユナイテッドの中盤の課題とメイソン・マウントを活かす方法。

プレミアリーグ2節のトッテナム戦で、85分にベンチに下がったメイソン・マウントが負傷リタイア。ノッティンガム・フォレスト戦とアーセナル戦を欠場し、インターナショナルブレイク明けのブライトン戦で復帰する見通しといわれています。

攻守ともにクオリティを上げたいテン・ハフ監督にとっては悩ましいアクシデントですが、戦術的な課題を抱えている今は、彼の離脱はチーム力ダウンにつながらないでしょう。カゼミーロとエリクセンを並べて、ブルーノ・フェルナンデス、サンチョ、ラシュフォードが2列め、最前線にマルシアルという昨季の布陣で充分戦えるはずです。

開幕からまだ2試合ですが、2023-24シーズンのマンチェスター・ユナイテッドは、明らかに中盤に課題を抱えています。「スカイスポーツ」で戦術アナリストを務めるダルニシュ・イクバル記者が、スパーズ戦における前半と後半の違いを解説しながら、現状の戦い方の問題を指摘しています。

36分にブルーノ・フェルナンデスが決定的なヘッドをミスするまで優勢だったチームは、ポステコグルーの打開策によってアドバンテージを失いました。記者の分析を要約すると、テン・ハフのマンツーマンプレスに苦しんでいたスパーズは、ジェームズ・マディソンとパペ・マタル・サールの動きを変えてメイソン・マウントを無力化し、カゼミーロの負担を増やしたという説明になります。

前半は機能していたプレスをかいくぐられ、メイソン・マウントがパペ・マタル・サールに引っ張られたため、カゼミーロの持ち場と右脇に広いスペースができるようになりました。これを活かしたのがジェームズ・マディソン、イヴ・ビスマ、ソン・フンミンです。50分に先制された後も、いつ追加点を奪われてもおかしくない展開が続きました。

テン・ハフ監督のチームが主導権を取り戻したのは、66分にサンチョ、エリクセン、ダロトを投入してからです。ピンチの連続を20分以上も放置した采配は、対応が遅いと咎められても仕方ないでしょう。攻めに転じた後、ポステコグルーが投入したペリシッチとベン・デイヴィスのアタックから、オウンゴールを誘われて万事休す。新任監督の作戦勝ちという結末でした。

ここからは、私見です。最も気になったのは、ウルヴス戦とスパーズ戦におけるメイソン・マウントのスタッツです。強烈なミドルが持ち味のMFは、2戦ともシュートゼロ。パス本数は、中盤の選手としては少ない17本と15本で、デュエルは2勝5敗と1勝6敗です。ここから導き出せるマン・ユナイテッドの課題は、「7番の仕事が多すぎること」です。

厳しいプレスを託されたメイソン・マウントは、カゼミーロの脇のケアと中央に入ってパスを受ける役割も担っています。守備における上下動が多いため、反撃にスイッチしたときに上がるのが遅くなり、味方が後方でキープしたときは受けられるエリアに下がってこられず、オナナのパスコースは最終ラインとカゼミーロに限定されています。

ビルドアップ時にカゼミーロをケアされると、SBに出さざるをえなくなり、中へのコースを切られると、前線に苦しい縦パスを入れる形に追い込まれます。プレスに忙殺されて前線でパスをもらえず、上下動が多いために後手にまわるデュエルで負けているメイソン・マウントを活かしたければ、「デフォルトは前か後ろか」をはっきりさせたほうがいいでしょう。

メイソン・マウントをアントニーのポジションに据えてより前で機能させるか、カゼミーロの左をケアさせるべく、2列めのプレスのラインを下げるか。テン・ハフ監督がよくばりプランを見直さなければ、忙しすぎる7番が不振の元凶とされるのではないかと心配しています。次節はノッティンガム・フォレスト。カゼミーロとエリクセンが先発なら、とりあえず改善しそうですね…。(メイソン・マウント 写真著作者/مهدی مریزاد)


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