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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

濃密だった5分30秒。PKを決めた4人のキーマンと、止めた守護神に見るアーセナルの進化!

120分を終えて、トータル1-1。スタンドでチャントを切らさなかった情熱的なグーナーも、TVの前で息を詰めていた世界じゅうのファンも、これほど厳しい状況に追い込まれるとは思っていなかったのではないでしょうか。チャンピオンズリーグラウンド16のセカンドレグ、アーセナルVSポルト。PK戦というのは、強者が勝つのではなく、ミスをしなかったほうに傾くシステムです。

プレッシャーに負けず、決め切ったのはウーデゴーア、カイ・ハヴェルツ、サカ、デクラン・ライス。すべて左に飛んだダヴィド・ラヤは3本を手に当て、2本を止めてヒーローになりました。勇敢なキャプテン、ユース上がりのスター、3人のニューフェイスが手繰り寄せた14年ぶりのベスト8。濃密な5分30秒は、今のアーセナルの強さを物語る縮図のように思えました。

ブレントフォード戦の前まで、プレミアリーグ7連勝。3-1で制したリヴァプール戦以降は、すべて3点差以上の圧勝で、直近4戦を1分3敗と絶不調だったトーマス・フランクのチームに苦戦する姿は想像できませんでした。先制ゴールは、ベン・ホワイトのクロスをうまくコントロールしたデクラン・ライスのヘッダー。1億500万ポンドのMFは、今や2冠をめざすチームに不可欠です。

年明けからのプレミアリーグで8試合3ゴール4アシスト。リーグのTOP5に入る運動量で、ピッチのあらゆるエリアに顔を出すタフなアンカーは、ジョルジーニョが入って左のインサイドにまわると攻撃力が高まります。「疲労」「不調」といった言葉を想起させない彼がいなければ、残り10試合で首位というポジションに立つことはなかったでしょう。

1-0でリードしたアーセナルは、ラムズデールの信じられないキックミスで追いつかれ、残り5分までイーブンというピンチに陥りました。決勝ゴールは86分、ベン・ホワイトの絶品クロスを頭で合わせたカイ・ハヴェルツ。チームにフィットするまで時間を要した29番も、直近のプレミアリーグ4試合で4ゴール2アシストと絶好調です。

最前線でプレスを主導し、フィジカルの強さと高さを武器にゴールに絡むドイツ代表を見ていると、アーセナルにストライカーの補強は不要なのではないかと思えてきます。ブレントフォード戦の走行距離1位は11.6kmのカイ・ハヴェルツ、2位は11.5kmのデクラン・ライスという事実も、チームの進化を語るうえで押さえておきたいところです。

翌日のリヴァプールVSマン・シティが1-1のドローとなり、順位テーブルの頂点に躍り出てCLの決戦を迎えたチームは、またも厳しい展開を強いられました。ポルトに苦戦した最大の理由は、サイドアタックやセットピースを研究されていたからでしょう。CKではニアに人数を揃えて壁を作られ、インスイングのボールはことごとく跳ね返されました。

今季の公式戦37試合16ゴール13アシストのサカへの依存度が高く、なかなかシュートレンジに入れなかったゲームで、唯一のゴールを演出したのはウーデゴーアでした。ドリブルで左に流れたのは41分。相手のチェックを嫌がっているのかと思った人たちが、パスのアングルを創ろうとしていたと気づいたのは、トロサールに縦の超絶スルーパスが通った瞬間でした。

オープンプレーからのチャンスメイク62回は、欧州の主要リーグでNo.1。カイ・ハヴェルツがGKと競ってこぼれたボールを押し込み、決勝ゴールをゲットしたヒーローとなるはずだったクリエイティブリーダーは、最後までチームを鼓舞し続けました。PKは一番手。ラヤのセービングで勝った瞬間、先頭に立って駆け寄る姿もまさにキャプテンでした。

2本のPKを止めて主役となったラヤについては、序盤のチェルシー戦とニューカッスル戦のミスで過小評価されている感があるので、「昨季のセーブ率77%はリーグ1位」「今季のクロス阻止率15.1%もダントツで1位」とアピールしておきたいと思います。PK戦の1本めは、動き出しがやや早く逆を取られましたが、ぎりぎりまで動かなかった2本め以降は完璧な対応だったと思います。

1月にトロサールとジョルジーニョ、夏のマーケットでデクラン・ライス、カイ・ハヴェルツ、ダヴィド・ラヤ。2023年に入ってから、不運なティンバーを除くすべての補強が成功したアーセナルは、プレミアリーグ10試合とチャンピオンズリーグ5試合で最高の結果を得られるでしょうか。PKを決めた4人と止めた1人が、最後まで彼ららしいパフォーマンスを見せてくれることを期待しましょう。


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