メスト・エジルの言葉に、アーセン・ヴェンゲルが築いたカルチャーの素晴らしさを想う。
私がアーセナルについて夢想する最大の「たら・れば」は、「一昨年のカソルラと昨年のエジル、そして現在のアレクシス・サンチェスが同時にいれば」です。2014-15シーズンに、チームの軸として37試合7ゴールという数字を残していたカソルラが中盤を仕切り、昨季プレミアリーグで19アシストのエジルが前線の選手を操り、シーズン20ゴールに届きそうなアレクシス・サンチェスがゴール前をかき回す…すべてがかみ合えばバイエルン・ミュンヘンにも勝つチームが、プレミアリーグを制しても何の不思議もありません。今季、4位を死守してアレクシス・サンチェスとの契約を延長に持ち込み、ヴェンゲル監督が最後となるかもしれない1年を好調な3人と過ごせたら、アーセナルがどこまでいくのかを観てみたいという気持ちは消えません。裏を返せば、チェルシーとリヴァプールが崩れた2015-16シーズンも、マンチェスター勢が新チームの熟成に時間がかかった今季も、継続性と層の厚さを両方備えていたアーセナルにとってはチャンスだったと思います。カソルラの早期離脱と、エジルをはじめとする主力の年明けからの不振が、とにかく残念です。
さて、契約延長といえば、メスト・エジルがすぐに決めると明言しています。イギリスメディア「スカイスポーツ」が、「Mesut Ozil to hold talks with Arsenal over new contract decision ‘soon’(メスト・エジルは、アーセナルとの新しい契約を決めるべく”すぐに”交渉を行う)」と題した記事を掲載。ドイツ紙「ディ・ヴェルト」に応じたプレーメイカーのインタビューを紹介しているのですが、これがいちいち泣かせます。ヴェンゲル監督の去就については、
「アーセン・ヴェンゲルが、僕に直接話す前にジャーナリストにいうと思う?彼はそんな人間じゃないとわかってるよ」
…部下にこんなことをいわれてみたい、とうらやましがる上司が多いのではないでしょうか。最近のヴェンゲル監督の去就を巡る報道に動揺している選手もいるのかもしれませんが、エジルにはボスに対する揺るぎない信頼があります。2018年までロンドンでの契約が残っており、快適に過ごしていると語るドイツ代表MFは、すぐにでも交渉を始めて今後について決めるといっています。今季プレミアリーグでは、22試合5ゴール4アシストと満足な結果を残せていないものの、エジルはアーセナルにおける未来への希望を失っていません。
「僕の夢はチャンピオンズリーグで勝つことだけど、アーセナルでできないとなぜいえる?もちろん、今は難しい時間を過ごしているのは確かで、6位というポジションには満足していない。でも、すぐに追いつけると信じてる。どうなるか見てみよう」
彼の言葉に触れると、アーセン・ヴェンゲルとメスト・エジルの美しい旅を、もう1年だけでも追いかけたいという気分にさせられます。グーナーのみなさんは、幸せなのではないでしょうか。最近は、プレミアリーグを制覇したクラブがことごとく次のシーズンで崩れ、メディアに監督と選手の確執を煽られていますが、苦境に追い込まれてもアーセナルにはそんな空気は感じられません。大物選手に法外な移籍金を払って話題になることもなく、不振の選手を1年も経たないうちに放り出すようなドライなジャッジもなく、自らのポリシーを守りながら常時プレミアリーグの優勝候補でい続けるからこそ、選手はクラブを愛し、みなさんもまたガナーズを愛しているのではないかと思います。
私が長年応援しているマンチェスター・ユナイテッドは、サー・アレックス・ファーガソンという稀有なマネージャーの哲学の下、ヴェンゲル監督とテイストこそ違えど一貫性のあるクラブ運営で強者であり続けたところまでは同じです。ところが、ボスが勇退した後は、それまで築いてきたスタイルやプライドをずいぶん捨ててしまいました。納得しているかといわれれば、仕方がないとしか返せません。そうしないと勝てなくなってしまったのがわかるからです。今季は、われわれのほうが上で終わるかもしれません。しかしそれでも、アーセナルが今のスタイルを貫く限りは、リスペクトの気持ちが目減りすることはありません。クロップ監督の華やかなサッカーや、コンテ監督が持ち込んだ新しい戦術に胸をときめかせつつ、それらとは別な次元で、ノースロンドンに築かれたカルチャーに心を奪われます。この素晴らしいクラブが、負傷者に苦しむことなくプレミアリーグを戦えたら…。エジル、アレクシス・サンチェス、カソルラがシーズンを通じて本領を発揮すれば…。
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借金さえ返済すれば・・・
怪我人さえでなければ・・・
主力さえ残っていれば・・・
損切りできず、損失が青天井になってしまう人たちの考え方だと思います。
変化の時だと思います。
※1さん
若干ピント外れでは
ファンの楽しみ方の話ですよ
プレミアリーグ大好き!さん>
新しい発見でした。監督交代すべきではないかとおっしゃるアーセナルサポーターの多くは、「チャンピオンズリーグ出場権を毎年獲得し、最近FAカップ連覇をもたらしたという功績はあるが、さらなる発展のためにチャレンジを」というニュアンスだとばかり思っていました。ヴェンゲル監督を「損切り」と切り捨ててしまい、「監督交代=優勝できる=得」とあっさりいいきるのは、あれだけ実績があるモウリーニョ監督でも優勝できないかもしれないぐらいにプレミアリーグは厳しくなっていると考えていた私にはない発想でした。新鮮なご意見、ありがとうございました。
プレミアリーグ大好き!さん>
趣旨ご理解いただき、ありがとうございます。居酒屋でプレミアリーグファン同士で集まり、「たら・ればオッケー」で語り合うのも、ときには楽しいです。
更新お疲れ様です。
たられば考えるの楽しいですよね。確かにその3人が完調でフルシーズン戦えたら脅威ですね。間違いなくバイエルンとも渡り合えると思います。
自分もシャビアロンソが移籍しなければ…とか、スアレスが残っていれば…とか考えちゃいますね笑。最大のたらればはジェラードがスリップしなければ…ですが、以前ジェラードのインタビューでジェラード自身もスリップしなければ…と考えない日はないと語っていて涙が出てきました。
ヴェンゲル切る機会損失の方が「まだ」大きいでしょう。ただそもそも本人が手応えを感じておらず、モチベーションを保てないのであればこの後には何も残らないかもしれませんね…
勝っても負けてもいいんじゃない?良くも悪くもとにかく変化が欲しいサポーターもいるんでしょう。正直あのレベルの安定と実績、何よりその哲学と文化、そして継続性には他サポながら憧れます。しかし、いい加減何らかの変化が欲しい気持ちも分かる第三者の単純な感想でした
酒を飲みながらのたらればトーク楽しいですね。
熟成されたコシ&ムスのCBコンビ
セットプレーは攻守にジルー
エジル&ジルーのホットライン復活
ジルーの周りでサンチェス・エジル・チェンバレンの衛星トリオ
サンチェスは25点で得点王
エジルのアシスト王&二けた得点
ウイングでゲームメイクという新機軸を開くラムジー
ジャカのロングパス一発でシーズン10アシスト
獰猛なるボールハンター「コクラン」の究極覚醒
怪我のない中盤
カソルラ・ジャック・エジルの華麗なるパスワーク
4つ5つ同時に実現してくれれば・・・
毎年、たらればで疲れてしまい変化を求める気持ちも分かります。
私も時々、心が折れますから(>_<)
悪いたらればは、念願かないベンゲル監督を招き入れたパリSGのCL優勝でしょうか。
エジルの飄々としたプレースタイルと真逆の男らしい発言に心打たれました。
心の中ではヴェンゲルと現有戦力では優勝の可能性は低いんじゃないか….とは思ってますが、makotoさんの言う通りたらればが噛み合えば可能性はあります。
ヴェンゲルが辞めるというまで、最後の一花なんとか咲かせれるように、夢見て応援するだけです。