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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

年間収入4億ポンド超えと発表!アーセナルのクラブ経営は順調か、変革の時か!?

チャンピオンズリーグに出場しなかったマンチェスター・ユナイテッドが、5億8100万ポンド(約871億円)というプレミアリーグ史上最高額の売上を達成したと1週間前に発表しておりましたが、アーセナルもクラブ史上初の4億ポンド越えを実現したそうです。2016-17シーズンの収入は、4億2280万ポンド(約640億円)。1年前は3億5600万ポンド(約534億円)で、19%という高い伸び率です。収入UPを牽引したのは、5800万ポンド(約87億円)の増収となったプレミアリーグとチャンピオンズリーグの放映権料と、セカンダリーパートナーシップで590万ポンドを乗せて10%の増加となったコマーシャル収入。売上が増えた一方で、選手獲得にかかった費用とサラリーの総額も膨らんでいます。

2016-17シーズンに選手に支払ったサラリー総額は、約1億9940万ポンド(約300億円)。前年は1億9540万ポンドで、400万ポンドほど増えています。ただし全体の収入に対する比率は55.7%から47.2%に減少しており、クラブは「チャンピオンズリーグ出場のボーナスが払われなかったため、前年度と単純に比較すると数字が歪む」とコメントしています。移籍金の償却費のほうは、グラニト・ジャカ、ロブ・ホールディング、ルーカス・ペレス、シュコドラン・ムスタフィ、浅野琢磨の獲得によって、前年の5920万ポンドから7710万ポンド(約116億円)に増加。プレーヤーの売却益は680万ポンドに留まっており、多くの選手を抱えていたことが今年の夏の補強を難しくしました。

税引き前利益は、前期の290万ポンドから4460万ポンド(約67億円)に大幅UP。利益増加とイギリスの税率軽減を掛け合わせると、法人税は120万ポンドから930万ポンドとなるとのこと。これらを算出した後、債務返済準備金として指定された勘定を除く手元のキャッシュは1億4430万ポンド(約216億円)となります。2016年には1億9110万ポンド(約287億円)あった現金は4600万ポンドほど目減りしていますが、短期借入金がないアーセナルの経営状態は良好といっていいでしょう。

「われわれの野望は明確です。メジャーなトロフィーを獲得すること。トップで争うためには、あらゆる努力をして競争相手よりも優位に立たなければなりません。それこそが、クラブを前進させるために継続的に多額の投資を行ってきた理由です」「ピラミッドの頂点で、近年の私たちはファーストチームのスカッドへの投資を大幅に増やし、3年間で2億300万ポンドに及ぶ移籍金を費やしました。トレーニンググラウンドを改善し、アカデミーの総合的な再構築を完了させました。人材、専門知識、設備の面で、マネージャーやプレーヤーを取り巻く場が最高になるようできる限りの手を打とうとしています。適正な環境を作り、細かくチューニングを行うなど、ピッチで望む結果に到達するために最適な状態を創ります」(イヴァン・ガジディスCEO)

決算数字と、選手の顔ぶれをあらためて見ると、アーセナルはクラブの方向性を見直す転換期に来ているように思います。マンチェスター・ユナイテッドがコマーシャルとライセンスで2億7550万ポンド(約416億円)の収入を得ているのに対して、マッチデイで1億ポンドを売り上げているアーセナルは、1億2000万ポンドにも満たない数字(=2015-16シーズンのアニュアルレビューより試算)しか残していません。営業努力によってスポンサーを増やして収益性を高め、補強費や選手のサラリーにまわせるようにしなければ、ガジディスCEOがいう「メジャーなトロフィーのための投資と改善」は掛け声で終わってしまうでしょう。

スカッドに目を移すと、チェフ35歳、メルテザッカー33歳、コシールニー32歳、カソルラ32歳とリーダーシップがある選手たちの高齢化が気になります。次の世代は28歳のアレクシス・サンチェス、メスト・エジル、ウォルコットですが、彼らが来季いる可能性が低くなっている状態が、今のチームにおける最大の課題でしょう。経営的な目線に立つなら、リーダーとなれる人材の育成あるいは獲得、チャンピオンズリーグで上位をめざせる(=収益を最大化できる)チームを創れる指揮官招聘の検討は、喫緊の課題ではないかと思います。

ヴェンゲル監督を長年リスペクトしている者として、プレミアリーグで最後にひと花咲かせてほしいと願いつつも、クラブ運営的にはプレミアリーグのトップクラブであり続けるために抜本的な改革を進めなければならないタイミングに見えます。ペップを1本釣りで獲得し、高齢化したチームを一気に若返らせたマンチェスター・シティは近くにある最高の教科書ではないでしょうか。バイエルンの指揮官解任という衝撃のニュースが届き、メスト・エジルにマンチェスター・ユナイテッド入団希望という何ともいえない噂が立っている今、輝かしい戦績もワールドクラスの忠誠も手に入れられていない老将の行く末を案じる次第であります。

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“年間収入4億ポンド超えと発表!アーセナルのクラブ経営は順調か、変革の時か!?” への2件のフィードバック

  1. グッチ より:

    更新お疲れ様です。リーグ、ひいてはサッカーという市場そのものが順調に伸びている中ですから元々株主への意識が比較的強かったアーセナルは納得の好決算です。エジル、サンチェスという流れを維持して年1でワールドクラスを引き入れ続けて欲しかったと強く思います。今は…最終ラインはコシエルニーのフル稼働とムスタフィのアジャストを期待するとして中盤低めの位置で頭のいいパサーを引き入れて欲しいです。ジャカとラムジーがかっ飛ばして敵陣に突っ込むのをエジルが四苦八苦して埋めるシーンが上位相手に何度も見られたので、より快適にプレーさせればエリクセンに勝るとも劣らないセンスを見せてくれるのでは無いでしょうか

  2. makoto より:

    グッチさん>
    マティッチやヘンダーソンのようなタイプですかね。エジルが前に出られるようにしたいですよね。

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